【遠慮近憂(えんりょきんゆう)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

遠慮近憂(えんりょきんゆう)

「未来はいつも不透明」と言うように、先の事はどうなるか誰にも分からないものです。しかし、だからといって楽観的に遊んでばかりいて良い事ではなく、何かしらの準備をしておく必要がありますよね。イソップ物語の「アリとキリギリス」ではないですが、冬に向けて準備をするアリの方が堅実で賢い生き方なのは間違いありません。そんな事を考えさせられる「遠慮近憂」についての解説となります。

遠慮近憂の意味

「遠慮近憂」の意味は以下の通りです。
・遠い将来を見通した考えをもって行動しないと、身近な所で差し迫った心配事が起こる。
・先の事を考えて行動しないと急な出来事に対応出来ないという教訓や喩え。
・諺「遠慮無ければ近憂あり」を略したもので同義となる。
”遠慮”は「言動や行動を慎み控える」「辞退する」「将来を思慮に入れて考える」、”近憂”は「迫りつつある悩みの種」「身近に迫った心配事」となり、将来を考えていないと不愉快な出来事や嘆かわしい気持ちとなる出来事が迫ってくるといった意味になります。簡単に言うなら、「将来を甘く見る」のが「遠慮近憂」で、だから将来に備えて対応すべきで、未来は不確定で必ず良くない出来事も起こる可能性があるので、今から万が一の事態に備えるべきと解釈できます。さらに拡大解釈するなら、今が良いからと何もしないでいたり、目先の損得に拘るのではなく、将来の為に少しでも努力をするべきとも読み取れます。実際の使い方としては、「遠慮近憂あり~」「遠慮近憂がある~」「遠慮近憂もない~」といった形が多くなります。

遠慮近憂の由来・出典

「遠慮近憂」の由来は、中国春秋時代の思想家・孔子の言行をまとめた書物「論語」の「衛霊公」となります。

遠慮近憂の類義語・同義語

「遠慮近憂」の類義語には、「有備無患」「常備不懈」などが挙げられます。

遠慮近憂の使い方・例文

例文1.何も考えずにだらけた人生を送っていたので、遠慮近憂が実現して嘆いたが、もう遅いので仕方がない。
例文2.息子に厳しく躾や教育をする両親は、遠慮近憂とならないように必死だったのだろう。
例文3.将来に遠慮近憂があるので、今からでも国家資格を取得する勉強に本腰をいれて頑張る。
例文4.遠慮近憂ありと人は言うが、上級国民なら親の遺産で生きていけるし、悪さをしても逮捕を逃れる事も出来てしまう。
例文5.真面目な両親の元で遠慮近憂の教えで育てられたが、大人になってからはその反動で根無し草の様な生活を送る方が性に合っていると気が付いた。
「遠慮近憂」を肯定と否定的に使った例文となります。

遠慮近憂の会話例

男性
コロナが想像以上に長引いていると思わない。俺なんて、数か月で終息すると思っていたよ。
女性
それはちょっと、楽観すぎない。遠慮近憂過ぎるよ!
男性
そうかな。少し性質の悪い風邪みたいなものでしょう。
女性
その風邪を治す薬って、開発できないの知ってる? コロナもそうで、完全終息には数年やそれ以上は覚悟しないとね。

男女2人がコロナの終息について意見をぶつけています。

遠慮近憂の豆知識

「遠慮近憂」の由来は古代中国を代表する思想家・孔子の「論語」ですが、「論語」を由来とする四字熟語には「悪衣悪食」「温故知新」「怪力乱神」「戦々恐々」「切磋琢磨」など多数あります。因みに、「論語」とは儒教の経書「四書」の一つで、他には「孟子」「大学」「中庸」があります。

遠慮近憂の難易度

「遠慮近憂」は漢字検定3級から9級相当の文字組み合わせで、”憂”は3級で中学卒業レベル、”慮”は4級で中学レベル、”遠”と”近”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

遠慮近憂のまとめ

「遠慮近憂」は、将来を考えて対策をしていないと急な出来事になった時に対応できないという意味で、要するに将来を甘く見ている事となります。だから、いつでも準備万態とは言い過ぎですが、いざという時に対応できるよう準備や努力すべきという教えで、両親が我が子に「将来の心配をしなさい」「しっかりしなさい」「勉強しなさい」と小言を言うのと基本的には同じような事です。

遠慮近憂を肝に銘じる
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