【墨突不黔(ぼくとつふけん)】の意味を例文や会話、由来・出典まで解説!

墨突不黔(ぼくとつふけん)

「墨突不黔」とは「自宅でゆっくりする暇がないほど全国を奔走し仕事が忙しい喩え」です。世の中には様々な仕事が存在するので、残業や出張が多い仕事に就くと日常的に自宅でゆっくりするのは難しくなります。メリットデメリットがあるのでどの仕事を選択するかは個人の自由ですが、そんな現代事情とも関係がありそうな「墨突不黔」の解説となります。

墨突不黔の意味

「墨突不黔」の意味は以下の通りです。
 ・忙しく奔走する喩え。仕事が忙しい喩え。
 ・古代中国の偉人・墨子は世の中をよくしようと活動し、家でゆっくり家事をする暇が無く煙突は汚れで全く黒くならない事から、常に家を留守にするほど忙しい喩え。
 ・諺「孔席暖まらず墨突黔まず」も同義。
 ・「墨突黔まず」(ぼくとつくろまず)と読む。
”墨突”は「思想家・墨子の(家の)煙突」、”不黔”は「(煙突が)黒く汚れない」で、墨子はいつも忙しく家にいないので煙突が汚れないのが「墨突不黔」です。そこから仕事が忙しいや休む暇がない喩えとなります。古代中国の故事によると、中国戦国時代の思想家・墨子は孔子と同じように天下を良くする為に常に忙しく各地を渡り回り、家でゆっくりと炊事をする暇もなかったので煙突は煤がなくとても綺麗だった事から誕生しました。現代的には、仕事の忙しさをアピールする時などに「今週からは繁忙期で墨突不黔になる」といった風に使用します。

墨突不黔の由来・出典

「墨突不黔」の由来は中国唐時代の詩人・韓愈の書物「争臣論」となります。

墨突不黔の類義語・同義語

「墨突不黔」の類義語には、「孔席墨突」「孔突墨席」などが挙げられます。

墨突不黔の使い方・例文

例文1.小学生の息子は塾にスイミングに習字教室とゆっくり夕食をする暇もないぐらい墨突不黔な日々を過ごし、顔色が悪く疲れが溜まっている姿をみると可哀想になる。
例文2.人気俳優はドラマの撮影や報道番組に出演して墨突不黔となるのは分かるが、だからといって酒を飲んで暴れて憂さ晴らしをされたら周囲が迷惑だ。
例文3.3年間ニートをしていると、そう言えば自分も昔は墨突不黔な生活を送っていたなと思い出すが、途端に頭が痛くなり動悸がしてくるのでお守り代わりの壺を眺めながらマザームーンの顔を思い浮かべると心が落ち着く。
例文4.隣に住む半グレらしき輩は深夜に帰宅したと思ったら朝方になったらまた出掛ける生活を続け、そんなに墨突不黔で大丈夫なのかと心配になるが声を掛ける勇気はない。
例文5.コロナで自宅に籠るテレワークになって気が滅入るので、墨突不黔なあの頃に戻りたい。
「墨突不黔」を使った例文となります。

墨突不黔の会話例

男性
ただいまー。やっと長かった出張が終わったよ。
女性
おかえりー。久しぶりの帰還ね。ところで、今度は私の出張が入っていて…、墨突不黔でもう憂鬱よ。
男性
どうして? 出張は会社のお金で全国に出掛けて、その土地の美味しい物も食べられて嬉しいじゃない。
女性
旅行ならいいけど、仕事は疲れるから嫌よ。

お互いに出張が多い共働き夫婦の会話となります。

墨突不黔の豆知識

「墨突不黔」から”忙しい”に関する四字熟語は、訪問者が多く対応しきれない事から忙しい喩え「応接不暇」、仕事が多くて忙しい「多事多端」、忙しい中にもひと息つける「忙中有閑」、仕事や用事で東に西へと忙しく走り回る「東奔西走」などがあります。

墨突不黔の難易度

「墨突不黔」は漢字検定1級から7級相当の文字組み合わせで、”黔”は1級で大学一般レベル、”墨”は3級で中学卒業レベル、”突”は4級で中学レベル、”不”は7級で小学校中学年レベルの四字熟語となります。

墨突不黔のまとめ

「墨突不黔」は古代中国の偉人・墨子は世の中を良くしようと国中を駆け巡り自宅で寛ぐ時間がなかったので煙突が綺麗なままだった事から、休みが無いや仕事が忙しい喩えです。現代でもハードワークな人などが自ら使ったり、或いは心配する形で用いられる四字熟語となっています。

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