【箕裘之業(ききゅうのぎょう)】の意味と例文と使い方

箕裘之業(ききゅうのぎょう)

「箕裘之業」とは「息子が祖父や父親から家業を引き継ぐ事」です。現在の跡継ぎとなる事で、将来が決まってしまう不自由さはありますが、家業の歴史を守るというのは他の仕事では得られない祖父や親子の深い愛情や絆を感じられますよね。親子で働けば互いの違った一面を窺えて、それが更なる親子関係に結びついたりします。

箕裘之業の意味

「箕裘之業」の意味は以下の通りです。
 ・祖父や父親から家業を引き継ぐ事。
 ・父祖伝来の業。家業。
 ・「箕裘の業」も同義。
”箕”は「弓作り職人の子は最初に枝を曲げて用具を作る」、”裘”は「鍛冶屋の子は最初に獣の皮から衣を作る」、”業”は「仕事」「生活を支える仕事」で、弓作りや鍛冶屋の子が家業を引き継ぐのが「箕裘之業」です。祖父や父親など代々から続く仕事を受け継ぐ事で、また最初は当然ながら仕事が出来ないので簡単な事から始めていくという意味も込められています。ですからニュアンスとしては、少しずつ仕事を覚えていずれは祖父や父のように仕事が出来る一人前を目指すとなります。現代的な解釈なら、二代目や三代目社長の誕生や実家の会社を継ぐといった感じでしょう。

箕裘之業の由来・出典

「箕裘之業」の由来は中国前漢時代の経書「礼記」の「学記」となります。

箕裘之業の類義語・同義語

「箕裘之業」の類義語には、「親譲り」「後継」「跡継ぎ」「遺伝継承」「世襲」「跡取り」などが挙げられます。

箕裘之業の使い方・例文

例文1.東京を抜け出し10年振りに九州の実家に帰ったのは箕裘之業として後を継ぐ為だ。
例文2.田舎では頭が悪くても箕裘之業となれば余裕で生活を送れるボンクラ息子も多いが、これから不景気が本格化するのでそんな余裕は通用しなくなると思った方がいい。
例文3.高校時代は絶対に地元で箕裘之業となるのは御免だと東京の大学ばかりを受験したが見事に全滅したので、この血からは逃れられないと親子でマルチ商法を生業にシャンプーや洗剤を売りまくっている。
例文4.我が子が箕裘之業となってくれるか今から心配で、抱っこをしたりお風呂に入れても貧乏社長とバカにされている気がしてどうにも落ち着かない。
例文5.儲かっているYouTuberもいずれは箕裘之業をして、息子にチャンネルを授与してその様子を当然撮影してはアップして喜ぶのだろう。
「箕裘之業」を使った例文となります。

箕裘之業の会話例

男性
うちの職場の人達がよく利用する定食屋の○○だけど、何か味が落ちたと思わない?
女性
そう言えば、最近はオヤジさんに代わって息子さんが料理しているみたいですよ。箕裘之業って事ですね。
男性
それが原因だよ。きっと、この辺りの不動産価格に目が眩み、父親が存命している間はいやいや店を続けて、亡くなったらすぐに不動産屋に売る気なんだよ。だから味はどうでもいいんだな、くそー。
女性
想像力があまりにも豊かで何も返答出来ないですよ。だってご主人ってまだ50代ぐらいだから、後数十年もお店を続ける事になりませんか?

同僚男女の会話で、男性の方が馴染みの定食屋の味が落ちたと非難しています。

箕裘之業の豆知識

「箕裘之業」から”仕事”に関する四字熟語は、仕事をやり遂げる最後のひと踏ん張り「一簣之功」、船が急流でも勇敢に引き返す事から仕事の調子がいい時に退く「急流勇退」、立派な仕事や事業を成し遂げ名声を得る「功成名遂」などがあります。

箕裘之業の難易度

「箕裘之業」は漢字検定1級から8級相当の文字組み合わせで、”裘”は1級、”箕”と”之”は準1級でそれぞれ大学一般レベル、”業”は8級で小学校中学年レベルの四字熟語となります。

箕裘之業のまとめ

「箕裘之業」は祖父や父親など実家から受け継いだ仕事の事です。なかなか珍しい意味合いの四字熟語ですが、古代中国でも実家の仕事を受け継ぐのは文化や習慣として当たり前の事だったのでしょう。また、受け継いだ子供を立派な一人前にする意味合いも込められていて、親子の愛情を感じさせます。

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