情緒纏綿(じょうしょてんめん)
｢情緒纏綿｣とは｢趣や雰囲気や情愛など様々な感情が心に纏わりつく事｣です。個人的には”情緒”をさらに強調したり、或いはさらに複雑にした感情だと思っていますが、あまりにも漠然としている言葉であるのも事実です。それぞれの捉え方次第と言えばそれまでですが、逆に言うなら様々な感情全般に使える便利な言葉でもあります。そんな捉えどころのない｢情緒纏綿｣の解説となります。
情緒纏綿の意味
｢情緒纏綿｣の意味は以下の通りです。
・情緒が深い。
・色々な情が纏わりついて離れがたい。
・喜怒哀楽などの感情が深く離れがたい事。
・趣や雰囲気や情愛などが心に絡む事。
・｢じょうちょてんめん｣とも読む。
”情緒”は｢感情や気分｣｢様々な微妙な感情｣｢感情を起こさせる特殊な雰囲気｣、”纏綿”は｢絡みつく｣｢複雑に入り組む｣｢心にまとわりつく｣で、心から離れない複雑な感情といった言葉が｢情緒纏綿｣です。要するに情緒がある人の事ですが、他者よりも感情が豊かであったり様々な感情を抱く人が｢情緒纏綿｣なのです。例えば、困っている人を本当に心配してしまう、捨て犬を放っておけない等々で、普通の人なら割り切りや気持ちの切り替えが可能なのですが、｢情緒纏綿な人｣の場合は余計なお世話と思われるぐらい色々と相手の事を考えてしまうのです。よって本来はとても素晴らしい心の持ち主人ですが、逆に言うなら騙されやすく正直者がバカをみる典型的なパターンに陥りがちです。一方で趣や雰囲気とする意味合いもあるので、下町情緒的な使い方として例えば｢下町は情緒纏綿を感じさせる｣、雰囲気が素晴らしい風景を｢情緒纏綿が溢れる景色｣といった風にもなります。
情緒纏綿の由来・出典
｢情緒纏綿｣の由来は残念ながら不明です。文献としては、作家･佐々木邦の著書｢珍太郎日記｣(1921年)などに文言が記されています。
情緒纏綿の類義語・同義語
｢情緒纏綿｣の類義語には、｢喜怒哀楽｣｢嬉笑怒罵｣などが挙げられます。
情緒纏綿の使い方・例文
例文1.結婚をする事になった親友を祝福したいが、相手の女性は私の初恋の相手でかれこれ20回は告白したりデートに誘って断られたので、内心は情緒纏綿な感情が渦巻き式当日も出席したくないほどだ。
例文2.課長は私とそれ以外の社員に対して明らかに話し方など態度が違く、それで情緒纏綿に思う所もあったが所詮は仕事なんだと割り切っていたら、偶然大人のお店の待合室で鉢合わせしてからは一気に距離が近くなった。
例文3.満開の桜や紅葉や花火に雪景色など、日本は全国各地で情緒纏綿な光景が楽しめる。
例文4.馴染みの惣菜店に旬の物が並ぶだけで情緒纏綿を感じ、その帰りに小鳥の鳴き声や満開の桜を見た時にはもう感極まって、そのまま自宅まで急いで帰り医者に止められている酒を浴びるように飲んでしまいたい衝動に駆られる。
例文5.誰もお客がいない古びたジャズバーの巨大スピーカーから艶やかなサックスと激しいドラムが鳴り響くと、これまでの失敗だらけの人生を肯定されている気がして、そこに綺麗な女性が一人で入店しようものなら情緒纏綿な妄想が膨らみ、何もないのに人生は素晴らしいと感じてしまう。
複雑な感情めいたもので｢情緒纏綿｣を使った例文です。
情緒纏綿の会話例
仲睦まじい夫婦がワインを飲もうとする前の会話です。
情緒纏綿の豆知識
｢情緒纏綿｣から”情緒”や”感情”に関する四字熟語は、外国らしい風情ある雰囲気や趣の｢異国情緒｣、美を最高の価値と考え追求を人生の唯一の目的とする｢耽美主義｣、自然の風物や芸術作品に抱く感情で対象物に投影する事でもある｢感情移入｣、心の中に描いた景色で想像上の風景である｢心象風景｣などがあります。
情緒纏綿の難易度
｢情緒纏綿｣は漢字検定準1級から6級相当の文字組み合わせで、”纏”は準1級で大学一般レベル、”緒”は準2級で高校レベル、”情”と”綿”は6級で小学校高学年レベルの四字熟語となります。
情緒纏綿のまとめ
｢情緒纏綿｣は情緒が深く細やかで、喜怒哀楽などの複雑な感情が心から離れがたい事です。普通の人よりも優しいや愛情深いなどで、要するに感情が豊かや感情豊かな人、又は複雑な感情を持ち合わせた情緒をさらに重くしたのが｢情緒纏綿｣です。
