【先憂後楽(せんゆうこうらく)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

先憂後楽(せんゆうこうらく)

「先憂後楽」とは「為政者たる権力者は人々が楽しんだ後に楽しむべきという心得」です。国を引っ張る者や権力者は民衆を第一にするべきであり、大勢が楽しんだ後に自分も楽しむべきと説いています。要は、自分を犠牲にしたり、相手に譲る、また率先して先に苦労をするのが為政者たる使命なのでしょう。現在の利権や選挙ばかりを気にする政治家に、爪の垢を煎じて飲ませたいと思ってしまう「先憂後楽」についての解説です。

先憂後楽の意味

「先憂後楽」の意味は以下の通りです。
・優れた為政者は人々が心配する前に憂い、人々が楽しんだ後に自分が楽しむ事。
・憂うる事は人に先立ち、楽しむ事は人に遅れるべきという武士や政治家など立派な人の心構え。
・為政者に向けた言葉で、そこから、先に苦労を受け入れた者は後から楽が出来ると言う教え。
”先憂”は「先に苦労する」「辛い事を先にする」、”後楽”は「後から楽になる」「後で楽できる」となり、言葉通りに、先に苦労をすると後から楽になるとなります。これは、中国北宋時代の政治家・范仲淹が政治家(為政者)に向けた言葉でしたが、そこから君主や武士や仁者(道徳的に完全な人)などの立派な人全般の国家への心構えの言葉となっています。正しくは「天下の憂えに先んじて憂え、天下の楽しみに後れて楽しむ」という一文で、要するに、自分よりも他人を第一に考える気持ちを持つべきとなります。因みに、東京や岡山県にある後楽園の語源となった言葉でもあります。実際に使う際には、「先憂後楽を目指す」「先憂後楽を心掛ける」といった形になります。

先憂後楽の由来・出典

「先憂後楽」の由来は、中国北宋時代の政治家・范仲淹の散文「岳陽楼記」となります。

先憂後楽の類義語・同義語

「先憂後楽」の類義語には、「先難後獲」「先苦後甜」などが挙げられます。

先憂後楽の使い方・例文

例文1.担任教師が高校の卒業式後に語った、先憂後楽という教えを今でも鮮明に覚えている。
例文2.自分達はさておき、子供達に食事を腹一杯与える両親の姿は、先憂後楽を守っていたと大人になった今なら理解できる。
例文3.政治家が忘れてしまった先憂後楽を反面教師として、自分は絶対にそうならないと誓った。
例文4.片付けや宿題を終わらせてから遊ぶ息子は、自然と先憂後楽の精神を理解しているようだ。
例文5.先憂後楽とは、諺「残り物には福がある」に近い言葉だと理解している。
最初に苦労を受け入れるという文章に「先憂後楽」を使った例文です。

先憂後楽の会話例

男性
ちょっと、そこのリモコンと新聞も取ってくれない?
女性
もう、それぐらい自分で取ってよ! それより、いつまでもダラダラお酒呑んでいないで、早くお風呂入って!
男性
まだいいじゃん。というか、今日は風呂パス!
女性
あなたは面倒な事はいつも先延ばし。先憂後楽って言葉を知らないの?

酒呑みで面倒くさがりな夫に対して、妻が煩く小言を添える夫婦の会話です。

先憂後楽の豆知識

「先憂後楽」と同じように”為政者”に関連する四字熟語は、民衆を苦しみから救済する為政者の心得「博施済衆」、為政者の人格と政治力を推し量る「度徳量力」、為政者は人の善言を聞き入れるべきという喩え「尭鼓舜木」、下の者の意見が為政者など権力者に届く「下意上達」などがあります。

先憂後楽の難易度

「先憂後楽」は漢字検定3級から10級相当の文字組み合わせで、”憂”は3級で中学卒業レベル、”後”と”楽”は9級、”先”は10級でそれぞれ小学校低学年レベルの四字熟語となります。

先憂後楽のまとめ

「先憂後楽」は政治家や権力者など人の上に立つ者に求められる器量や度量で、人々が心配するより早く憂い、人々が楽しんだ後に楽しむという心得の事です。権力者が率先して利益を求めたり人を出し抜くのではなく、そんな欲求を抑えて民衆に譲り、己は後にするべきと説いています。また、そこから、先に苦労をすると後から楽が出来るとも言われています。

金持ちの思考は常に先憂後楽。
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