【下意上達(かいじょうたつ)】の意味を例文や会話、由来・出典まで解説!

下意上達(かいじょうたつ)

社会に出て働き始めると理不尽な事って多いですよね。そして、その時は納得できなくても数年もしないで、自分もそんな理不尽社会のコマに染まっていくから不思議なものです。あれだけ上司の仕事方法や考え方を嫌ったのに、10年後には瓜二つの仕事っぷりとなっていきます。話が脱線したので本題に戻して、「下意上達」はそんな社会や職場の環境で使われる言葉です。基本的にはポジティブな使われ方が多く、下の者の意見を汲み取る民主主義的な考えとなります。それでは解説に入らせて頂きます。

下意上達の意味

「下意上達」の意味は以下の通りです。
・身分や位が下の者の気持ちや意見が上の者に届き通じる事。
・下の人の気持ちが上の人に達する事から転じて、弱い者の声が権力側に理解される事。
・対義語は「上意下達」となる。
”下意”は「謙る」「意志を曲げる」「下々の人の感情や意志」、”上達”は「技術が身に付き上達する」「下の者の意見が上位に知られる」となり、身分下の者の意見などが君主などに通じる事です。現代なら、平社員など現場の声が社長や上司などの耳に伝わるといった所です。厳密に言うなら、声や意見が通じただけでそれが実行や改善された訳ではないですが、それぐらい風通しが良くなったと理解できます。日本は今でも縦社会で年長者や先輩・上司の意見は絶対でもあるので、そこを鑑みると昔にこの様な下の者の声を聞くだけでも、相当な変化であり驚きだったと想像できます。因みに反対となる、上の者である上司などの命令が絶対となるのが「上意下達」です。「下意上達」は英語ではボトムアップ、「上意下達」はトップダウンとして最近は何かと会社で使われる事も多く、ビジネス用語としても注目されています。一概には決めつけられませんが、最近のIT系などは「下意上達」、昔ながらの大企業や政治や官僚の世界などは「上意下達」と言えるのではないでしょうか。実際の使い方としては、「下意上達の組織」、対義語も合わせた「上意下達、下意上達」といった形が多いです。

下意上達の由来・出典

「下意上達」の由来は、中国春秋時代の思想家・孔子の言葉をまとめた「論語」の「憲問」となります。文献としては、昭和初期の国家社会主義者・津久井龍雄の「文化と政治」(1941年)などに文言が記されています。

下意上達の類義語・同義語

「下意上達」の類義語は四字熟語ではありません。四字熟語で近い言葉は「下学上達」「住民意見」「市民目線」「患者目線」など、四字熟語以外では「ボトムアップ」「底上げ」が類語と呼べるほど近い意味合いです。

下意上達の使い方・例文

例文1.我が社は下意上達が社風なので、部下がのびのび仕事が出来て就職希望の大学生からも人気が高い。
例文2.今後伸びる企業は、下意上達となるシステムを構築しているものばかりだ。
例文3.上意下達、下意上達と双方のメリットを合わせられないか模索中である。
例文4.友人に退社理由を訊ねたら、下意上達が出来ない職場に将来性がなく愛想を尽かしたと語った。
例文5.警察や自衛隊は絶対の主従関係が定年後もあるので、下意上達などは無いものと覚悟した方が良い。
下の者の声が届くか否かという例文となります。

下意上達の会話例

男性
どうしたの? 最近元気がないね!
女性
実は課長に進言したんですけど、その声をまったく汲み取ってもらえず…。それどころか、余計な事をして嫌われたのではと心配になって。
男性
うーん…。下意上達が出来ていないと不安だね。でも大丈夫だよ。まだ若い新人なんだから、課長どうこうで仕事に影響を与える事はできないよ。
女性
そうなんですかね? でも、うちの会社って社長のワンマンでトップダウンな社風ですよね。そこで下意上達を期待するのは間違いでした。

職場の後輩女性の元気がなく、先輩男性がフォローする会話です。

下意上達の豆知識

「下意上達」はボトムアップ手法とも呼ばれ、仕事や会社組織などで近年は使われる事が多くなっています。例えば、生産現場の工場で作業員の提案、販売や営業所で顧客の声、開発チームが積極的に働くなどで「下意上達」となりやすく、また大きなメリットとされます。一方で「下意上達」は仕事効率が悪いや遅いなど非効率とも言われて、一概に必ず良いとも言い切れません。それどころか、近年は「上意下達」であるトップダウンの方が良いと再び注目される程です。結論としては、両方の良い所どりや状況に応じて使い分けるのが最善なのでしょう。

下意上達の難易度

「下意上達」は漢字検定7級から10級相当の文字組み合わせで、”達”は7級、”意”は8級で小学校中学年レベル、”下”と”上”は10級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

下意上達のまとめ

「下意上達」は、階級や身分などが下の者の気持ちや意見が上の者に通じる事です。分かりやすく言うなら俗に言う「風通しの良い職場」で、新人や若い人の意見が採用されたり上司に理解される事です。この様な下の意見が合意される環境を英語では「ボトムアップ(手法)」と呼び、反対に昔ながらの主従関係や階級的な組織や職場を「上意下達」や「トップダウン(手法)」となります。

下意上達こそ理想の形だ
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