【燕頷投筆(えんがんとうひつ)】の意味を例文や会話、由来・出典まで解説!

燕頷投筆(えんがんとうひつ)

「燕頷投筆」とは「執筆の仕事を辞め正反対の職である武士になる事から、思い切った決断や固い決心の喩え」です。現代は転職するのも当たり前となっていますが、古代中国なら相当な覚悟が必要であり、またその進んだ道で成功を収めなければ相当生き辛くなると容易に想像できます。ですから、それぐらいの非常に強い思いを感じられる言葉が「燕頷投筆」です。

燕頷投筆の意味

「燕頷投筆」の意味は以下の通りです。
 ・思い切った決意をして志を立てる。一大決心をする事。
 ・筆を捨てて強く生きるとして文章を書く仕事から足を洗い武士の道を選択した事から、強い決意や今の仕事などを辞めて別の道に進む喩え。
 ・「燕頷筆を投ず」(えんがんふでをとうず)と読む。
”燕頷”は「燕のような顎から強く勇ましい人相」、”投筆”は「筆を捨てる」「文章の仕事を辞める」で、文章を書く仕事を辞めて武士の道に進む選択をした事から、強い決心や志を立てるという意味合いになります。古代中国の故事「班超伝」によると、後漢時代の班超(はんちょう)は筆書の仕事に就いていたが武士になろうと決意して、筆の道を捨てて武士として成功を収めます。その際に占い師に相談したところ、班超は燕のような顎と虎のような頭があると助言され、それが切っ掛けで武士として生きる気持ちが固まったと言われています。そこから現代は、強い決意や重大な決心、或いは何かを捨てて別の道に歩み出す喩えなどで使用されます。

燕頷投筆の由来・出典

「燕頷投筆」の由来は中国後漢時代の歴史書「後漢書」の「班超伝」となります。

燕頷投筆の類義語・同義語

「燕頷投筆」の類義語には、「一大決心」「一念発起」「一心発起」「慧可断臂」などが挙げられます。

燕頷投筆の使い方・例文

例文1.中学時代にレギュラーだったサッカー部を辞めて女子が多いという軟弱な理由で吹奏楽部に入ったのは、心の中の燕頷投筆が大きくなり我慢できなくなったからで、その時の行動力が今の転職歴10回に少なからず影響を与えている。
例文2.政治家は選挙が近付くと国民に勤勉さやこの国の行く末を訴えるが、もし本当にそんな気があるなら燕頷投筆をして一刻も早く辞任をして、1人でも多く議員が減ればどれだけこの国がまともになるか自ら証明をして欲しい。
例文3.燕頷投筆、サッカー選手兼小説家としてこれからも二足の草鞋を履き続ける。
例文4.医者の父から跡を継ぐように子供の頃から叩きこまれてきたが、高校時代に家族の前で燕頷投筆と医者にならない宣言をして、今はプロゲーマーとして日夜努力をしている。
例文5.進学も就職も結婚も燕頷投筆によって己を突き動かしたが、結局は人はいずれ亡くなり無になるのだから虚しく儚い。
「燕頷投筆」を使った例文となります。

燕頷投筆の会話例

男性
またパートを辞めたの?
女性
店長の方針が合わないのよ。あれでは店が大きくならないし、いずれは経営不振に陥るわ。
男性
それはそれで別にいいじゃん。パートだよ。売上や経営方針は店長やオーナーが考える事だよ。
女性
その考えこそ古いのよ。パートだって貴重な戦力でしょう? だから私という優秀な人材が抜けたらどれだけの損失か分からせる為に、燕頷投筆な思いからの行動で泣く泣く辞めたのよ。そろそろ、向こうから戻って欲しいっていう連絡が入るから。

仕事が長続きしない妻に呆れる夫という会話内容です。

燕頷投筆の豆知識

「燕頷投筆」から”志”に関する四字熟語は、同じ志や目的をもって仲間になる「一味徒党」、無用なものを過度に愛玩し本来の志を見失う「玩物喪志」、老いても若者と変わらぬ大志を抱く「老驥伏櫪」などがあります。

燕頷投筆の難易度

「燕頷投筆」は漢字検定1級から8級相当の文字組み合わせで、”頷”は1級、”燕”は準1級で大学一般レベル、”投”と”筆”は8級で小学校中学年レベルの四字熟語となります。

燕頷投筆のまとめ

「燕頷投筆」は筆を捨てて武道や武士の道を目指す事から、思い切った決断や決心をした喩えになる四字熟語です。全く違う分野に進むのは相当な覚悟が必要であり、そこから現在でもこのような決断で使う表現になります。

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