【淳風美俗(じゅんぷうびぞく)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

淳風美俗(じゅんぷうびぞく)

何かと「昔は良かった」「昔の人は人情が厚かった」といった言葉を、これまで何度も聞いた事だと思います。具体的な根拠はなくても、昔の人々は思いやりがあったのに現在は薄情で思いやりの心がないと嘆くのです。世の中が便利になると、人の助けがなくても何とかなってしまうので強ち間違いではありませんが、そんな現代では失いかけている人情あふれる言葉「淳風美俗」についての解説となります。

淳風美俗の意味

「淳風美俗」の意味は以下の通りです。
・人情に溢れた風習や習慣。他人への思いやりある習慣や生活様式。
・主に明治時代から昭和までの家制度による人情ある人々の生活態度や風俗習慣。
・「醇風美俗」と同義。
「淳風美俗」は厳密には解説が難しいですが、俗に言う昔ながらの日本人らしい家族生活や隣近所との助け合い文化や生活習慣の事です。かつては真面目で勤勉が日本人の代名詞だったので、そこから人情溢れる風習や習慣が根付いていました。背景には父親を頂点とする家制度があり、厳しい父親や母親による躾で子度尾は成長し、他人への思いやりや優しさなども自然と身に付いたのです。しかし、戦後から急速に復興し高度経済成長に入るとこの様な人情溢れる習慣が徐々に薄れ始め、今では隣近所に誰が住んでいるかなど分からないのが常識な程です。よって、「淳風美俗」は明治や昭和中期頃までの人情溢れる人々が多かった頃の習慣や生活を懐古するような言葉です。

淳風美俗の由来・出典

「淳風美俗」の由来は正確には不明ですが、一説によると1890年に発布された「教育勅語」と非常に関係深く、中身を具体的にした「第2期国定修身教科書」には「淳風美俗」の基本的な観念が記されています。

淳風美俗の類義語・同義語

「淳風美俗」の類義語には、「良風美俗」「公序良俗」などが挙げられます。

淳風美俗の使い方・例文

例文1.SNSや掲示板の荒れ具合を目の当たりにすると、淳風美俗な価値観などはどこかに消えてなくなったと思えてならない。
例文2.かつては、しょう油などの調味料が無くなったらお隣から借りるのが淳風美俗とした文化だったが、今ではそんな事をしたら警察を呼ばれてしまう。
例文3.地方では淳風美俗な付き合いが今でも残っているが、それはお年寄り同士のコミュニティといった感じだ。
例文4.学生までは日本人らしい淳風美俗な助け合いもまだあるが、大人になるとそれは甘えと見做されるのが日本社会だ。
例文5.淳風美俗な習慣を徹底しているのが、派閥政治を後生大事にする政治家というのが如何にも日本らしい。
「淳風美俗」を懐かしんだり、皮肉った例文となります。

淳風美俗の会話例

男性
不景気からなのか、最近の日本は荒んでいる気がしない。
女性
みんなイライラしているよね。余裕がないというか、誰かを助けてあげようという気持ちを持ち合わせていないとは感じる。
男性
昔の日本は淳風美俗だったと言うよね。俺もそんな時代で生活したかったよ。そしたら…、お節介な近所のおばさんが結婚相手を紹介してくれたのに。
女性
うーん。先輩は淳風美俗な時代でも結婚相手はいないんじゃないですか。

職場の同僚男女が、古き良き時代の「淳風美俗」な暮らしに憧れを抱く会話をしています。

淳風美俗の豆知識

「淳風美俗」は人情溢れる風習でありそんな人付き合いの事ですが、中高年が古き良き時代に憧れを抱く事を「ノスタルジー」や「ノスタルジア」と言います。云わば、昔の思い出を美化し現在を否定とはしなくても、何かが物足りないと感じる事です。「センチメンタル」や「メランコリック」も同様の意味で、四字熟語では「越鳥南枝」「胡馬北風」「蓴羹鱸膾」などが近いですがどちらかというと「望郷」となるので、それぞれが微妙にニュアンスが異なります。

淳風美俗の難易度

「淳風美俗」は漢字検定準1級から9級相当の文字組み合わせで、”淳”は準1級で大学一般レベル、”俗”は4級で中学レベル、”美”は8級で小学校中学年レベル、”風”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

淳風美俗のまとめ

「淳風美俗」は、人情が溢れた風習や習慣の事で、具体的には昭和時代までの人々の密接な繋がりがあった頃の事です。現代でも「淳風美俗」な人付き合いや生活態度を送る人はいるでしょうが、一般的には昔を懐かしむ言葉とした側面が強いです。

淳風美俗を表す良き人間関係
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