自家撞着(じかどうちゃく)
｢自家撞着｣とは｢言動や文章での矛盾の事｣です。人間とは、その場しのぎで思わず深く考えずに物事を言ってしまうので、時には矛盾が発覚する事も多々あります。しかし、それが家庭内や友人同士の些細な矛盾なら笑って済みますが、仕事であったり、政治家や著名人など影響力が大きい人はそんな無責任な事は出来ないものです。特に現代はSNSやネットで過去発言も確認できるので、明らかな矛盾は本人の今後にも大きく影響を与えてしまいます。それでも政治家などが延々と自己矛盾である｢自家撞着｣を繰り返すのは、きっと驕りであり権力に過信をしているからなのでしょう。それでは解説に入らせて頂きます。
自家撞着の意味
｢自家撞着｣の意味は以下の通りです。
・言動や文章が前後で食い違い矛盾している事。
・自分の言動に反する行為をする。
・辻褄が合わない。
・｢じかとうちゃく｣｢じかどうじゃく｣とも読む。
・｢自家撞著｣とも書き同義。
”自家”は｢自分の家｣｢自分｣｢自分自身｣、”撞着”は｢突き当たる｣｢ぶつかる｣｢辻褄が合わない｣｢矛盾｣となり、自分の矛盾や辻褄が合わないのが｢自家撞着｣で、上記の様な言動や文章で矛盾が露呈するという墓穴を掘る事です。よって、｢自家撞着｣は理論的に破綻していて整合が取れていません。当人が意識的なのかそれとも無意識なのかは問題ではなく、これまでの会話や説明と矛盾をしている事です。また、通常は｢自家撞著｣と指摘された場合は謝罪をしたり、誤りをを受け入れるものですが、確信犯的に｢自家撞着｣を繰り返すタイプはプライドが高いので、バレても尚吐き通す点があります。｢自家撞着｣と類似になるのは、ミスマッチ･乖離･背反･不合理･食い違い等々で、実際に使う場合は｢自家撞着に陥る｣｢自家撞着を抱える｣｢自家撞着が露呈｣といった形になります。因みに、｢暗い朝｣｢明るい夜｣｢小さい巨人｣｢負けるが勝ち｣など矛盾している言葉を敢えて結び付けた表現を｢撞着語法｣と呼びます。
自家撞着の由来・出典
｢自家撞着｣の由来は、禅宗の書物｢禅林類聚｣の｢看経門｣となります。
自家撞着の類義語・同義語
｢自家撞着｣の類義語には、｢自己矛盾｣｢矛盾撞着｣｢自家撲滅｣｢自己撞着｣などが挙げられます。
自家撞着の使い方・例文
例文1.信者からお布施の様な献金集めに必死な元タレントが、過去の発言とは相反する自家撞着を指摘されても、それは夢の実現の為だと強引な言い訳を繰り返す。
例文2.政治家は呆れるほど自家撞着を繰り返すが、最も悪いのはそんな間抜けを先生と呼び崇め、選挙の度にせっせと投票をする地元の支援者だ。
例文3.生き続ける事は自家撞着をひたすら受け入れる事なのだと、最近やっと理解が出来る様になった。
例文4.家庭内が冷え切ってくると、妻の意見で取り揃えたソファーやカーテンなど全てが自分の趣味ではなく、なぜあの時はセンスが良いとべた褒めしたのに今は不愉快極まりなく、これが自家撞着だと理解しているがどうしようもないが、愛が変化したと納得させている。
例文5.世の中が全員善人ならルールは必要なく、それが無理だから法律を作り守らない者をさらし者にするニュース番組が活況で、そんな悪人が増えればスポンサーが喜び出資して局員も年収が上がり、政治家は喜んで法改正に務めて序に自らの手当ても増やしと、こんな事を繰り返して国民を騙し続けるのは自家撞着ではないのか。
様々な矛盾について｢自家撞着｣を使った例文です。
自家撞着の会話例
同棲している恋人同士の会話やり取りで、ダイエットを誓った彼女が数日後には約束を破り、彼氏が苦言を放つという内容です。
自家撞着の豆知識
｢自家撞着｣は矛盾ですが、矛盾を指摘しても相手が立場上なら有耶無耶になるので、力関係が大きく影響する言葉でもあります。かつての元総理が、真摯に対応すると言いながらも絶対に領収書は提示しない、総理官邸の面談記録は全て即刻廃棄するといった回答を強引に突き通すのは、これまでの言動に反する行為なので｢自家撞着｣が見事に当て嵌まります。この事から理解できるのは、どんなに辻褄が合わなくても権力者側が使えば、いくらでも押し通してしまえるのが｢自家撞着｣の怖いところです。平等や公平な関係が成立しているなら、｢自家撞着｣を指摘できまた相手も過ちを認めるものですが、そもそもそんな関係が破たんしていると、相手は｢自家撞着｣を指摘した方が悪･常識知らず･ルールを弁えてないとなるのです。
自家撞着の難易度
｢自家撞着｣は漢字検定準1級から9級相当の文字組み合わせで、”撞”は準1級で大学一般レベル、”着”は8級で小学校中学年レベル、”自”と”家”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。
自家撞着のまとめ
｢自家撞着｣は辻褄が合わないや矛盾している等、言動や文章が前後で合っていないや反する事をしているという意味です。要するに自己矛盾であり理論的には整合性がまったくないのですが、｢自家撞着｣は権力者側が使えば如何様にも解釈が可能なので、良識が求められる言葉ではないでしょうか。
