【刻舟求剣(こくしゅうきゅうけん)】の意味と例文と使い方

刻舟求剣(こくしゅうきゅうけん)

「刻舟求剣」とは「古い考えに固執し新しい考えは受け入れない事から、融通が利かない喩え」です。時代が変化している事を受け入れず、いつまでも昔の方法や方針に拘ってしまう事で、こんな狭い考えの人って実は大変多いですよね。特に中高年になると、「最近の若い者は!」と頭ごなしに何でも否定しがちなので、それを「刻舟求剣」となるのです。でも、若い世代も考えは多様化しているので、自分とは違う考えをあまり容認しないのは実は同じなんですけど、対立構造として年代で隔てるのはもっとも共感を得られるからでしょう。それでは、時代の変化を感じさせる「刻舟求剣」の解説となります。

刻舟求剣の意味

「刻舟求剣」の意味は以下の通りです。
・時代変化に追いつかず、昔の習慣に拘り融通が利かない事で、またそんな喩え。
・古い方法や慣習に固執し、新しいものを取り入れないので時代に置いていかれる事。
・時代に遅れて新しい事に対応できない者、古い考えに固執し考えが狭い愚か者の喩え。
・諺「舟に刻みて剣を求む」「剣を落として舟を刻む」、略した「刻舟」も同義。
”刻舟”は「舟に刻む」、”求剣”は「剣を捜す」で、端的に言うと古い考えを否定しているのが「刻舟求剣」です。また、だからこそ新しい時代に合わせて変化すべきとも解釈できます。現在の日本ほど、「刻舟求剣」が当て嵌まる状況も珍しく、正に過渡期になると必然的に「刻舟求剣」が社会から求められるようになります。元々は諺同様に「舟に刻みて剣を求む」と読み、川を舟で渡っている最中に剣を水中に落としたので、舟の先端に印をつけ対岸に着いたところでその部分から潜り探したが、当然ながら剣は見つからなかったという逸話から誕生した言葉です。進んでいる舟を時間・時代として、時は必ず進んでいるので「現状に満足しない」「常に新しい事に挑戦する」「過去に拘らない」「時代は流れる」などいくつも類似の解釈も可能ですが、最も大事なのは「融通が利かない」であり、本来は過去や現在のやり方をその都度状況に合わせて上手に処理するべきという教えではと、個人的には理解しています。

刻舟求剣の由来・出典

「刻舟求剣」の由来は、中国戦国時代の書物「呂氏春秋」の「察今」となります。

刻舟求剣の類義語・同義語

「刻舟求剣」の類義語には、「旧套墨守」「守株待兎」「時代錯誤」などが挙げられます。

刻舟求剣の使い方・例文

例文1.代々続く伝統ある老舗は、先代と現主人の間で刻舟求剣めいた考えの相違がきっとあるのだろう。
例文2.IT系企業など時代を先取りする仕事は確かに花形だが、10年も勤務しないで刻舟求剣の様な扱いをされそうで不安だ。
例文3.古い物や考えに固執して、新しいものを真っ向から否定するのが刻舟求剣である。
例文4.政治など権威や建前が前提で成立している社会はこれまで歯向かえなかったが、世界的なジェンダー化が突破口となって刻舟求剣で閉鎖的な日本を変えてくれる期待感が漂っている。
例文5.ネットが普及した当初は世界が平等で平和になると願ったが、結局は刻舟求剣な保守層はどんどん団結しトランプを始めとした過激な指導者を熱狂的に支持する構造が続いている。
古いシステムの批判として「刻舟求剣」を使った例文となります。

刻舟求剣の会話例

男性
今日職場の同僚と話していたんだけど、同僚は絶対に電子マネーやキャッシュレス決済派で譲らないんだよ。俺は別に現金でも、どっちでもいいんじゃないって答えたけど、彼は頑固だったなあ。
女性
それはコロナ感染防止やポイント獲得などがあるから?
男性
そうではなくて、便利さや手軽さ重視だって。そして、コンビニで前の客が現金だとイライラするって。今時、現金支払いは刻舟求剣で新しい事を拒否して、古い考えに固執して遅れているネアンデルタール人だって言うんだよ。
女性
その人、便利なシステムを使って時代の先端の割にはずいぶんイライラしているのね。まるで野蛮人だし、思考は完全に刻舟求剣で前時代的!

職場の変わった現代人について、夫が妻に語っています。

刻舟求剣の豆知識

「刻舟求剣」は時代遅れの事なので”時代”に関連する四字熟語は、政治や文化や経済で停滞している「暗黒時代」、新しい時代の始まり「一新紀元」、時代を代表する英雄「一世之雄」、時代の流行「一世風靡」、古代ギリシアの人類歴史を金銀銅鉄に分けた「黄金時代」、学問の真理に背き時代に阿る「曲学阿世」、英雄達が競い合う時代の「群雄割拠」などがあります。

刻舟求剣の難易度

「刻舟求剣」は漢字検定4級から7級相当の文字組み合わせで、”舟”と”剣”は4級で中学レベル、”刻”は5級で小学校高学年レベル、”求”は7級で小学校中学年レベルの四字熟語となります。

刻舟求剣のまとめ

「刻舟求剣」は古代中国の舟から落とした剣を捜す逸話から、昔の考えに固執して時代変化に追いつかず融通が利かない人の喩えとなります。それは時代錯誤・時代遅れであり、要するに愚か者の事となるのが「刻舟求剣」です。

アマゾンの奥地には刻舟求剣の民族が多い。
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