【明哲保身(めいてつほしん)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

明哲保身(めいてつほしん)

「明哲保身」とは「聡明で道理に通じて、物事を的確に対処して安全を保つ事」です。現在の平和な環境だと、聡明と安全が同時に語られるのはピンと来ないと思いますが、古代中国では戦争や誰かに命を狙われるのは日常茶飯事のようなもので、そこから賢さに安全さも加味するのが必須だったのでしょう。これらは憶測の域を出ていませんが、どんなに賢くても日頃から危険と隣り合わせで早死にしては仕方がないですよね。そんな事を考えてしまう「明哲保身」の解説となります。

明哲保身の意味

「明哲保身」の意味は以下の通りです。
・聡明で道理に明るい人は危険を避け身を安全に保つ事。
・聡明で道理に通じ物事を的確に処理して安全に身を保つ。
・本当に賢いとは危険な事を避けて身を守れる事。
・地位を守る為に状況に応じて対処する。
・「明哲身を保つ」(めいてつみをたもつ)と読む。
”明哲”は「理解力や判断力が優れていて賢い」「聡明で物事の道理に通じている」、”保身”は「身を守る」「自分の地位や名誉などを守る」となり、端的に言うなら、賢い人は自分の地位や安全などをしっかり守れるのが「明哲保身」です。よって、単純に聡明だけなら知恵がある・頭が切れる・頭がいい・利口・才能豊か・見識があるなども類似ですが、さらに己の身を守る能力に長けている事を追加した完全なる現在仕様の出世に特化した有能な人物を「明哲保身」と表現できます。逆に言うなら、どんなに頭脳が優秀でも不祥事や問題行動によって表舞台から撤退するようでは、「明哲保身」とはなりません。昨今の芸能界や政界を振り返ると、才能や能力は人並み以上でもそれ故の驕りなのか、「明哲保身に走れない」という人があまりにも多いようです。

明哲保身の由来・出典

「明哲保身」の由来は、古代中国の最古の詩編とされる「詩経」の大雅・烝民となります。

明哲保身の類義語・同義語

「明哲保身」の類義語には、「明哲防身」などが挙げられます。

明哲保身の使い方・例文

例文1.子供が生まれて父親になったので、これからは明哲保身になる覚悟を決めた。
例文2.官僚の事務次官にまで上り詰めながら、企業からの接待で退職するという情けなさに明哲保身の能力は皆無だったと今頃気が付いても、とっくに遅い。
例文3.明哲保身に長けていた父だったのに、権力争いで失墜して、今では田舎で元気に農作業を楽しんでいる。
例文4.東大生の中で明哲保身を心底理解しているのは、果たしてどれぐらいいるのだろうか。
例文5.明哲保身の精神で狡賢く政界に居残る重鎮達は、いったいいつになったら消えてくれるのかと願うばかりだ。
官僚や政治批判などで「明哲保身」を使った例文となります。

明哲保身の会話例

男性
ただいまー。あー、疲れたよ。
女性
おかえりー。ところで、最近帰ってくるの早過ぎない。仕事大丈夫なの?
男性
あれ、心配してくれているの。大丈夫だよ。こう見えても、上司にはゴマをすって明哲保身を常に心がけているから。
女性
でも少しは残業をしないと、評価が悪くなって地方に左遷なんてないわよね。

仕事終わりの夫と妻の会話風景です。夫の帰りが最近は早く左遷されるのではと心配していますが、当の夫本人はまったく意に介していません。

明哲保身の豆知識

「明哲保身」の「保身」について深掘り解説をします。「保身」というと、政治家の「(自己)保身」を思い浮かべる人が多いと思います。国や国民に貢献するよりも、自分の政治家生命や目先の利益しか考えない。だから、不祥事が発覚しても問題を秘書に押し付け、当の本人は何事も無いように政治家を続ける。これが俗に言う政治の「(自己)保身」で、そこから、自分の身を守り要領良く生きるという意味で使われますが、今回の「明哲保身」など本来の意味での「保身」とは大きく解釈がかけ離れています。元々は、前記したように自分の地位や名誉などを守る事が「保身」であり、部下や秘書などに問題を押し付けたり、自分だけが都合良く生き残る為に大物に媚び諂うのは「保身」ではなく、自己中心的で単なる身勝手な行動です。

明哲保身の難易度

「明哲保身」は漢字検定3級から9級相当の文字組み合わせで、”哲”は3級で中学卒業レベル、”保”は6級で小学校高学年レベル、”身”は8級で小学校中学年レベル、”明”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

明哲保身のまとめ

「明哲保身」は聡明さに己の身や安全を守るを合わせて、本当に賢い人とは危険を避ける事ができると説いています。単なる優秀なだけでは人並みで、さらに物事を的確に対処して危険にさらされないようにする事こそが真の賢さであり物事の本質なのでしょう。

昇進したから、今まで以上に明哲保身になると決めた。
最新情報をチェックしよう!