共同戦線(きょうどうせんせん)
力の弱い者が大きな相手に対抗するには、弱者同士で共に手を握り一緒に闘うのが最善策ですよね。これは戦争から始まった考えや策ですが、それが現在は政治から経済活動など様々な面で応用されています。｢共同戦線｣とは端的に言うとこんな事で、特に政治世界などで頻繁に使われる言葉なので、皆さんもニュースなどで聞いた覚えがあると思います。しかし、分かっているようで正しくは理解し難い言葉でもあるので、今回は詳しく解説をさせて頂きます。
共同戦線の意味
｢共同戦線｣の意味は以下の通りです。
・二つ以上の団体が共通目的の為に協力体制を取る事。
・複数の団体が共に力を合わせて同じ体制下で努力する事。
・団体や組織が主義や主張に違いはあっても、一つの問題に対処する為に同じ体制となる事。
”共同”は｢複数団体が同じ目的達成で関わり合う｣｢複数団体や複数人が力を合わせ協力する｣、”戦線”は｢戦闘の地域｣｢政治活動などで戦争に例えた表現｣となり、政治団体などが同じ目的を成し遂げる為に協力し合う事です。ですから、基本的には政党や労働団体などが使うのが好ましい言葉で、個人や関係のない組織が使うべきではありません。よくあるパターンとしては、野党の選挙戦で｢○○党と△△党が共同戦線を張る事になった｣という感じ、これは総選挙が近くなると必ずニュースや新聞で使われる代名詞の様な言葉です。また、類似である｢統一戦線｣も同じようなスタンスで使われる言葉で、先ほどの野党などでも使われますが、それよりも特に中国や韓国などの話題はこちらを好んで使う感があります。微妙な違いとしては、｢共同戦線｣が温和な受取も可能なのに対し、｢統一戦線｣は闘争性や闘争形態ともなるので、革命運動として用いる傾向があります。日本の野党などで使う際はあまり意識しなくても良いですが、厳密にはこの様な違いを認識しておくべきです。実際の使い方としては、｢共同戦線を張る｣という形が最も有名です。
共同戦線の由来・出典
｢共同戦線｣の由来は、残念ながら不明です。文献としては、小説家･葉山嘉樹の著書｢海に生くる人々｣(1926年)などに文言が記されています。
共同戦線の類義語・同義語
｢共同戦線｣の類義語には、｢協力体制｣｢共同作業｣｢統一戦線｣などが挙げられます。
共同戦線の使い方・例文
例文1.政権与党が野党側の共同戦線について小馬鹿にした反応を示した。
例文2.中国が香港や台湾に共同戦線の工作を仕掛けてきた。
例文3.国内最大手の某大企業が海外進出を本格的に図る為に外国企業とも共同戦線を張っていくと、新社長が力強く明言した。
例文4.70年代は共産党と社会党が共同戦線を張り、国民にも反米の意識が芽生えていたが、現在は皆無に近い。
例文5.アメリカは大統領がトランプからバイデンに変わり対中共同戦線もどの様に変わるのか、それとも現状維持なのか注目されている。
政治や国際問題に｢共同戦線｣を使った例文となります。
共同戦線の会話例
男女2人が総選挙と自民党への審判について会話を繰り広げます。
共同戦線の豆知識
”戦線”を使った四字熟語は｢共同戦線｣以外にも、国民戦線･人民戦線･西部戦線･統一戦線などがあります。これらは戦争と密接な繋がりや関係あるものばかりですが、人民戦線と国民戦線は対立構造で、国民戦線はファシストの共同戦線、人民戦線はファシズムと戦争反対の統一戦線になります。西部戦線は第一次世界大戦下のフランスとドイツの国境沿いの戦線地域です。
共同戦線の難易度
｢共同戦線｣は漢字検定7級から9級相当の文字組み合わせで、”共”と”戦”は7級で小学校中学年レベル、”同”と”線”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。
共同戦線のまとめ
｢共同戦線｣は、政党や労働団体などが用いる専門用語で、二つ以上の団体が共通目的の為に一時的にしろ協力体制を築く事です。主義主張に違いがあっても、大きな問題に対処する為に協力し合う事で、野党同士が総選挙の際に与党に対抗する策であり手段として、最も有名な言葉です。
