【過当競争(かとうきょうそう)】の意味を例文や会話、由来・出典まで解説!

過当競争(かとうきょうそう)

コロナ渦によって、多くの企業は売上減の大ダメージを負っています。それでも、スーパーなどの小売や食品、ネット関連や証券会社などは業績好調なようです。しかし、ホテル業界や飲食業界はもろに影響を受けて、「Go To キャンペーン」があっても客足は以前の様に戻っていません。経済とは一寸先は闇という現実を見せつけられましたが、そもそも日本経済はコロナ渦の前から「過当競争」という大きな波に巻き込まれていたのです。これは消費者は商品を安く購入できるなどメリットが多い様な気もしますが、そんなに甘いものではありません。それでは「過当競争」がなぜ、問題となるのか詳しく解説させて頂きます。

過当競争の意味

「過当競争」の意味は以下の通りです。
・同業の企業が市場占有率を拡大する際に起こる過度な競争状態。
・経済用語で、度を越した価格競争によって価格が引き下げられ正常より利益が少なくなる事。
”過当”は「適当な限度を超えている」「度が過ぎる」、”競争”は「勝敗や優劣を競い合う」「他者より優位に立とうする行動」で、企業間のシェア争いにおいて、商品や価格の激しい安売り争いやサービスが度を越しているのが「過当競争」です。マーケットシェア獲得以外でも、企業同士の生存で商品価格の引き下げ等で、分かりやすい例なら、昔は地方にも存在した商店街が当て嵌まります。かつては、酒屋・米屋・八百屋・魚屋・肉屋などがどの町にもありましたが、現在はほぼ壊滅状態です。個人経営よりも大企業をバックにする大型スーパーが近所に建設されれば、価格が安くサービスも良く、おまけに一店で買物を終えられる利便性から断然有利となるからです。ですから、お客は当然大型スーパーを利用し、個人のお店は残念ながら経営悪化から廃業に追い込まれます。これが「過当競争」による一つの例ですが、それなら「大型スーパー」が安泰だとるすると、そう単純ではありません。地元のお店がなくなれば、それだけ地域経済にもダメ―ジとなるので、結局はお客を逃がす事になります。また、新たなライバルとなる別企業の大型スーパーも出店しますし、最近ではネットスーパーも強力な敵です。また、大型スーパーは車で来るお客が多いので、多少離れたライバル店に客足を取られる事も多いです。この例から、平たく言うなら、企業同士の生きるか死ぬかの「生存競争」が「過当競争」です。資本主義で自由主義経済な限り、「過当競争」は常に付きまとう問題です。仮に日本国内では独占的な企業だとしても、いずれは外国からライバル企業が参入しますし、またそうでなくても将来的に継続して独占できる保証はないからです。「過当競争」が問題となった代表的な業者は2000年代のコンビニ、タクシー、トラックなど運輸産業などが挙げられます。これらはフランチャイズによる店舗拡大戦略や規制緩和などが問題となり、「過当競争」な状態が続き末端の店舗側やドライバー側が疲弊する構造で、最終的には倒産する企業が続出しました。お客である利用者は価格が安くなり、店舗などが多い事から利用しやすくなるメリットもありますが、それ以上の弊害を生み出したのです。

過当競争の由来・出典

「過当競争」の由来は、残念ながら不明です。文献としては、小説家・梶山季之の「黒の試走車」(1962年)などに文言が記されています。

過当競争の類義語・同義語

「過当競争」の類義語には、「弱肉強食」「価格競争」「販売競争」「自由競争」などが挙げられます。四字熟語以外では、「ダンピング競争」「ラットレース」などがあります。

過当競争の使い方・例文

例文1.過当競争の末、我が町の商店街は壊滅状態となり、あれだけお客が集まった大手スーパーも撤退した。
例文2.過当競争は自由経済においては、国も規制をかけるのに及び腰だ。
例文3.過当競争は高度経済成長期には意味があったが、現在の少子化や低迷する経済状態では企業も消費者もメリットが少ない。
例文4.入れ替わりが激しい業界は過当競争による弊害ともされ100円ショップもその代表だが、最近は大手銀行や生保など大企業も安泰ではなく熾烈な生き残りレースに巻き込まれてしまった。
例文5.日本は世界でも特に過当競争が多い国とされ、このままでは倒産する企業が年々増加すると予想されている。
「過当競争」を解説するような例文となります。

過当競争の会話例

男性
ごめん。来年から給料下がりそうだ。
女性
えー。まだ子供も小さいのに、どうして?
男性
会社の業績が悪いから、来年から給与体形の見直しで、基本給カットや残業代カットでこれまでより手取りでも1~2割ぐらい減ると思う。
女性
それだけ大変な世の中なのね。あなたの会社も過当競争のスパイラルに巻き込まれて苦しいって事よね。私もパートでもするわ。

会社の業績悪化でこれからは給料が下がると妻に報告する、夫婦の会話です。

過当競争の豆知識

「過当競争」に関連する重要ワードとして、「レッドオーシャン(戦略)」や「ブルーオーシャン(戦略)」といった言葉も注目を集めるようになりました。「レッドオーシャン」は直訳すると「赤い海」で、血が流れるほど激しい競争という事から、ライバル企業が多く価格やサービス争いが熾烈となります。反対となる「ブル―オーシャン」は「青い海」で、他に競争相手がいないや少ない状態で、これから市場が切り開かれ盛り上がっていく段階です。よって新商品や新サービスを投入すると、市場を独占できる可能性が高いです。逆に「レッドオーシャン」で売上や利益を上げていくにはライバル企業を打ち負かす必要があり、「過当競争」に勝ち残るという困難な道が待っています。

過当競争の難易度

「過当競争」は漢字検定6級から9級相当の文字組み合わせで、”過”は6級で小学校高学年レベル、”競”と”争”は7級で小学校中学年レベル、”当”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

過当競争のまとめ

「過当競争」は、ライバル企業間における市場拡大や独占を目指した商品やサービスの過度な競争を繰り広げる事です。商品の値下げ競争や下請けなどに価格を安くするよう圧力をかけるなど問題も多く、結果的には体力がある一部の生き残った企業以外は倒産などに追い込まれますが、資本主義や自由経済社会においては国が本腰を入れて規制しない限り「過当競争」が無くなる事はありません。それは高度経済成長期の名残であり、日本の人口減や高齢化、さらに円高や外国企業の進出、国内大手企業の海外進出など様々な問題や事情が複雑に絡み合っているので、「過当競争」は実に難しい大問題です。

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