【換骨奪胎(かんこつだったい)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

換骨奪胎(かんこつだったい)

「換骨奪胎」は文字だけを逆から読むと「胎児を奪い骨を換える」となり、四字熟語にしてずいぶん物騒だと感じるものです。しかし、これは芸術分野におけるアイディアを拝借する意味合いで、大昔の中国が現在の著作権問題について既に問題提起していると考えると、その先見の明には驚くばかりです。音楽を作るにしろ文学を書き上げるにしろ発想力が大事なので、それを否定するかのようなパクる行為は許されないものですが、果たして「換骨奪胎」としてはどう捉えるべきなのか調べてみました。

換骨奪胎の意味

「換骨奪胎」の意味は以下の通りです。
・先人による詩や文章などから表現法を借りて作品を作り上げる技法。
・骨を取り換え胎盤を奪い取る事から転じて、他人の作品からアイディアを拝借して自分の作品にする事。
・逆さにした「奪胎換骨」、”奪”を”脱”にした「換骨脱胎」もそれぞれ同義となる。
”換骨”は「悪しき人間から善良な人間に生まれ変わる」「骨を換える」、”奪胎”は「胎児が宿る子宮を奪う」「胎盤を奪い生まれ変わらせる」で、そこから「換骨奪胎」とは、良く言えば「オマージュ」「拝借」「焼き直し」「トリビュート」「パロディ」「インスパイア」「リスペクト」となり、悪く言うなら「著作権侵害」「模倣」「パクリ」「贋作」となります。正しい意味は、文学や詩文などの過去作品からのアイディアや表現を基にして、自分の独自解釈として作品にする事です。この言葉が誕生したとされる古代中国の北宋時代は漢詩による文章や絵画などの美術品ぐらいですが、現在は音楽が特に過去作品からのメロディ拝借は日常茶飯事で、オリジナルの楽曲は皆無と言っても強ち間違いではないほどです。他にも映画・デザイン・美術作品・文学などパクリ作品を挙げたらいくらでもあります。あまり言われませんが、ファッションなども過去の流行が数十年後に再ヒットするのは最早常識ですが、その際には当時のヒットしたデザインなどが再び使用されます。近年は音楽などに対しては、著作権侵害で裁判沙汰になるのも珍しくありませんが、それ以外の業界・分野ではまだ難しいのが実情です。実際の使い方としては、「換骨奪胎している」「換骨奪胎の作品」といった形になります。

換骨奪胎の由来・出典

「換骨奪胎」の由来は、中国北宋時代の詩人・黄庭堅の逸話集「冷斎夜話」となります。

換骨奪胎の類義語・同義語

「換骨奪胎」の類義語には、「点鉄成金」「温故知新」「異曲同工」などが挙げられます。

換骨奪胎の使い方・例文

例文1.邦楽ロックバンドの大半はオリジナルティは皆無で洋楽を焼き直して金儲けする換骨奪胎だが、それを指摘すると温厚な日本人ファンから袋叩きに遭う。
例文2.テレビ番組も換骨奪胎ばかりで、ある局がヒット番組を作ると他局が一斉に真似をし始める。
例文3.換骨奪胎から分かるのは、最初の第一歩を開拓したオリジナルに勝るものはない。
例文4.換骨奪胎は確かに好ましくないが、パクリのさらにパクリはオリジナルを超えると言われるのも事実で、オリジナルより洗練されるので現在に合っている方を消費者は歓迎するのだろう。
例文5.最新のヒット映画が面白いと評判なので調べてみたら、その中身は60年代頃のフランス古典映画を換骨奪胎したものと知り興醒めした。
テレビや映画などで「換骨奪胎」を使った例文となります。

換骨奪胎の会話例

男性
この小説面白いから、お勧めだよ!
女性
あーこれ知ってるよ。だって有名でしょう!
男性
何だ、やっぱりそんなに人気なんだ。じゃあ、ぜひ読んでみてよ!
女性
違う違うって。この作者はいつも昔の作品からパクっている事で有名だから知っているの。この人は換骨奪胎をする事に何の抵抗もないみたいで、バレたらオマージュやリスペクトって言い訳して、オリジナリティは皆無だよ。

男性が知人女性にある小説をお勧めするが、女性の方はその作者が嫌いなので厳しく批判します。

換骨奪胎の豆知識

芸術や音楽などで往年のオリジナル作品が好きになると、どうしても現代の過去作品を真似したものには抵抗感が出てしまいますが、この真似(模倣)は実は正しい行動で、人類が前時代の文化や技術を習得するのは必然だったそうです。日本も江戸時代末期や明治時代に西洋文化を模倣する事で文明が急激に発展しました。有名な芸術家も、初期段階では有名作品をコピーして技術を盗むようですし、音楽家が有名曲をカバーやメロディを拝借するのは最早常識です。この事から、「換骨奪胎」といって頭ごなしに否定するのも良くない風潮のようです。

換骨奪胎の難易度

「換骨奪胎」は漢字検定3級から5級相当の文字組み合わせで、”換”と”奪”と”胎”の三文字は3級で中学校卒業レベル、”骨”は5級で小学校高学年レベルの四字熟語となります。

換骨奪胎のまとめ

「換骨奪胎」は骨を取り換え胎盤を奪い自分の物にする事から、転じて、先人の芸術や文学などの発想を利用して自分の作品に昇華させる事です。ですから、結果的には時代に合ったより良い作品として大勢から歓迎される可能性が高い一方、パクリや盗作と否定される可能性もこれまた高くなります。日本だけでなく世界各国で音楽や映画などの芸術分野では「換骨奪胎」が横行していますが、一概に否定できないのも過去の歴史的背景から間違いありません。

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