【知足安分(ちそくあんぶん)】の意味を例文や会話、由来・出典まで解説!

知足安分(ちそくあんぶん)

「知足安分」とは「欲をかいたり高望みをしないで、現在の環境に満足する」という意味です。中々深い言葉だと思うのは、私が庶民の代表でありとっくの昔に人生に期待をするのは諦めたからかも知れません。ですから、まだ若くて野心家なら反感を持つでしょうし、折り返し地点を過ぎた大人なら言われなくても分かっていると逆に不満を覚えるものです。そんな「知足安分」についての解説となります。

知足安分の意味

「知足安分」の意味は以下の通りです。
・欲をかかず高望みをしないで、自分の環境に満足する事。
・足りる事を知り分に安んずる事から、満足を知らないと豊かになっても決して安らぎがない事。
・「足るを知り分に安んず」(たるをしりぶんにやすんず)と訓読する。
・逆さにした「安分知足」、「智足安分」も同義。
”知足”は「自分を弁えてそれ以上を求めない」「足りている」、”安分”は「自分の境遇や身分に満足する」で、贅沢や欲を際限がないので高望みをしないで自分の境遇に満足するのが「知足安分」です。また、逆に満足を知らないと、豊かになっても欲が芽生えて安らぐ事がないと説いています。これは、「身の程を弁える」や「身の程を知る」といった「身分相応」と本質的には同じ事で、上や下ばかりをみて不満や優越感に浸るのではなく、現在の自分に満足するのが大勢にとっては幸せなんでしょう。高望みをしてもキリがないですし、反対に下の者を見下しても何の得もありません。だから、現在の自分の立場が実は幸せで、最も良い状態だと訴えているように思えてなりません。実際の使い方は、「知足安分の戒め」「知足安分を心掛ける」「知足安分の教え」といった風になります。

知足安分の由来・出典

「知足安分」の由来は残念ながら不明です。文献としては、”知足”は平安時代初期の僧・空海(弘法大師)による宗教的寓意小説「三教指帰」(797年)などに文言が記されています。”安分”については不明です。

知足安分の類義語・同義語

「知足安分」の類義語には、「巣林一枝」「安分守己」「知足守分」などが挙げられます。

知足安分の使い方・例文

例文1.子供の頃から躾が厳しかったので、薄給ながらもなんとか生活ができる現状を知足安分としているが、心の奥底ではユーチューバーになって大金を稼ぎたいと思っている。
例文2.海外の本物のギャングとはスケールが違うが、それはそれとして今日も友人と知足安分でせせこましく路上飲みを楽しみ、泥酔しゴミを散らかして少しだけ悪を気取るのが日本流だ。
例文3.団地住まいが長くなると、我が家の暮らしぶりは知足安分と言う事を敢えて説明しなくても、子供達が理解してくれている。
例文4.ファミレスでメニューを選ぶ時でさえ、どうしても知足安分という感情に支配され、高いものは勿体なくて注文できない。
例文5.成功している芸能人がグルメ番組で庶民料理を絶賛するのは、知足安分な平民を意識した対応と見え見えなので心底イラッとする。
身の丈に合わせた暮らしぶりとして「知足安分」を使った例文となります。

知足安分の会話例

男性
今月は少し贅沢をしない?
女性
贅沢って、何をするの?
男性
寿司とか食べに行こうよ。もちろん、回転寿司ではないよ。
女性
あなたちょっと贅沢しすぎじゃない。私達は知足安分に生きるって決めたでしょう。スーパーでイワシを買って焼いて食べて我慢しましょう。どうせ同じ魚なんだから。

偶には贅沢をしたい夫と、断固として「知足安分」な暮らしに拘る妻の会話内容です。

知足安分の豆知識

「知足安分」の反対となる”野望”や”贅沢”に関する四字熟語は、大きな夢や野望を持っているが達成する能力がない「志大才疎」、子供の時から大きな野望を秘めている「食牛之気」、夢や野望など身分不相応な望みがある「野心満満」、豪華な生活をする「贅沢三昧」などがあります。

知足安分の難易度

「知足安分」は漢字検定8級から10級相当の文字組み合わせで、”安”は8級で小学校中学年レベル、”知”と”分”は9級、”足”は10級でそれぞれ小学校低学年レベルの四字熟語となります。

知足安分のまとめ

「知足安分」は高望みなどをしないで自分の現状に満足するという意味です。現代でも上流階級や上級国民などに憧れず、庶民は庶民の生活で満足しなさいとまるで宥められているかの言葉です。しかし、自分の現状に満足をするのはある意味で大事な事で、上を見てもキリがないのはどの時代も結局は同じなのでしょう。

知足安分晴れやかな様子の女性
最新情報をチェックしよう!