十羊九牧(じゅうようきゅうぼく)
「十羊九牧」とは「羊10匹に対し牧夫が9人も居ると皮肉った事から、無断な人手が多いや役人が多すぎる喩え」です。いつの時代も役人とは無駄に多いようで、そんな有り様が嘆かわしいと批判した言葉になっています。当時においてここまで辛辣な言葉は珍しく、なかなか強烈な嫌味になっているのではないでしょうか?
十羊九牧の意味
「十羊九牧」の意味は以下の通りです。
・人口の割りには役人ばかりが多い喩え。
・10匹の羊と9人の羊飼いから、人手が多い過剰要員や役人が多すぎる喩え。
”十羊”は「羊10匹」、”九牧”は「牧夫9人」で、羊の数に対して羊飼いの牧夫が多すぎる事から無駄な人手が多いや役人が多すぎる喩えとなります。一般的には役人批判というか役所の窓口業務などで暇そうな人に対する嫌味で「十羊九牧」が使われます。しかし、由来となる古代中国では国家批判として使われ、民衆が少ないのに役人が多いのはおかしな事で無駄な役人を削れば食料や衣料不足にならないと訴えています。ですから、国家や政治批判として「十羊九牧」を使うのも間違いではありません。
十羊九牧の由来・出典
「十羊九牧」の由来は中国隋時代の歴史書「隋書」の楊尚希伝となります。
十羊九牧の類義語・同義語
「十羊九牧」の類義語には、「余剰人員」「遊休人員」「冗員」「過剰人員」などが挙げられます。
十羊九牧の使い方・例文
例文1.財政難で赤字国債をこれだけ発行しても市町村も含めて議員や役人は減らさないのだから、彼等の耳に十羊九牧が届くのはいつになる事やら。
例文2.旅行で地方を訪れビックリするのは駅前や商店街には人が誰もいないのに、役場だけが豪華に建て替えられ中に入ると役人だらけで十羊九牧となっていて再び驚く。
例文3.半分が反対するのに全国民から平等に徴収した税金で国葬開催するのは速やかに決めた政府がやる事は北朝鮮のパレードと変わらず、十羊九牧になると独裁もまかり通るから最悪極まりない。
例文4.十羊九牧と言うが、日本の場合は景気が悪く少子化などの問題が噴出しているのに役人ばかり多いのに腹が立つ。
例文5.今後は自営業だけでなく会社員も生活苦になるので、余裕があるのはどいつもこいつも議員や役人にその家族や親せきばかりで十羊九牧を地でいく酷い国になりそうだ。
「十羊九牧」を使った例文となります。
十羊九牧の会話例
新庁舎となった役所や働く役人について嫌味を言い合うという内容です。
十羊九牧の豆知識
「十羊九牧」から”役人”に関する四字熟語は、門番と夜回りから身分が低い役人の「抱関撃柝」、全ての文官と武官で役人の事となる「文武百官」、落ちぶれて出世の見込みがなくなる役人「拓落失路」などがあります。
十羊九牧の難易度
「十羊九牧」は漢字検定7級から10級相当の文字組み合わせで、”牧”は7級、”羊”は8級で小学校中学年レベル、”十”と”九”は10級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。
十羊九牧のまとめ
「十羊九牧」は羊と牧夫の数がほぼ同じ事から人員過剰となり、そこから多すぎる役人の数を批判する喩えです。古代中国でも民衆と比較して役人の多さは問題となったようで、それが現代の日本でも同様の批判があるとするなら皮肉なものです。