【衣帯中賛(いたいちゅうのさん)】の意味と例文と使い方

衣帯中賛(いたいちゅうのさん)

「衣帯中賛」とは「どんな時でも仁義や忠義を守るという固い誓い」です。もし、殺される直前に文章を残すとしたら普通なら恨み辛みを書き綴りそうですが、流石に中国の偉人は人格者なようでそんな状況でも忠義を貫き、処刑を快諾したそうです。そこから帯の中に残した文章となる「衣帯中賛」が誕生しました。

衣帯中賛の意味

「衣帯中賛」の意味は以下の通りです。
 ・仁義や忠節を守り通す事。
 ・捕らわれの身である中国南宋の忠臣・文天祥は敵からの勧誘を断り最後は処刑されたが、その際に帯の中に残した文章が「衣帯中賛」で、どんな状況でも忠節を守り通す強い決意の喩え。
”衣帯中”は「衣服の帯の中」、”賛”は「人や物事を褒め称える」「称賛する事」で、そのまま文字通り取れば「衣服の帯の中に隠した称賛の手紙」となりますが、捕らわれて処刑される際に隠し持っていた事や敵軍からの勧誘を断った状況から、どんな時でも仁義や忠節を守り通す強い決意が「衣帯中賛」となります。ですから、現代に例えるなら「絶対に約束を守る」「強い意志」「意志を貫く」といった意味合いに用いられる表現で、「確固不抜」「狷介不羈」「堅忍果決」「剛腸石心」なども非常に近いものがあります。

衣帯中賛の由来・出典

「衣帯中賛」の由来は古代中国の歴史書「宗史」の「文天祥伝」となります。

衣帯中賛の類義語・同義語

「衣帯中賛」の類義語には、君主や国に忠節を尽くす「忠君愛国」「忠孝一致」などが挙げられます。

衣帯中賛の使い方・例文

例文1.戦国時代の武士は君主に衣帯中賛を尽くしたが、それは現代のサラリーマンが上司と妻に忠誠を誓う点と似たようなものだ。
例文2.出世などとっくに諦めているので衣帯中賛をする気など微塵もないが、地下アイドルには夢中なあまり小遣いを投げ銭して感謝される事に喜びを覚える。
例文3.現代の年金制度は国に衣帯中賛をする事で成立するシステムだが、若い世代には恩恵が少なく、それでも批判もしなければ政党を変える事も望まず自ら喜んで受給者である老人の奴隷になっているのは学校教育の賜物としか思えない。
例文4.受験戦争で徹底的に相手を蹴落とすよう叩きこまれてきたのに、就職した途端急に上司やお客に配慮するよう求められても、そんな衣帯中賛な精神など教わっていないのだからどう対応するのが正解なのか指導して欲しい。
例文5.衣帯中賛、愛犬が主人に仕えるのはこんな気持ちが溢れているからだろう。
「衣帯中賛」を使った例文となります。

衣帯中賛の会話例

男性
来月から岩手県に転勤になった…。ごめん…。
女性
あなた、一体何をやったのよ。ミスでもしたの?
男性
違う…、でも俺の上司がミスして出向になり、直属の部下である俺も邪魔になったんだろうな。上司に衣帯中賛を尽くしてきたのが、裏目に出たよ。
女性
ねえ、暫くしたら戻ってこれるのよね。私、東京から離れるのは絶対に無理だからね。

サラリーマンである夫が転勤となり、妻が不機嫌になる会話です。

衣帯中賛の豆知識

「衣帯中賛」から”死”に関する四字熟語は、死にかかった人を生き返らせる「起死回生」、奇跡的に助かる「九死一生」、非常に悲しい生き別れと死に分かれ「生離死別」、殆ど死にかかっている「半死半生」などがあります。

衣帯中賛の難易度

「衣帯中賛」は漢字検定6級から10級相当の文字組み合わせで、”賛”は6級で小学校高学年レベル、”衣”と”帯”は7級で小学校中学年レベル、”中”は10級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

衣帯中賛のまとめ

「衣帯中賛」は古代中国の偉人である文天祥が処刑される際に衣類の帯の中に残した文章で、そんな境遇でも自分の国に忠誠を尽くしていた事から、仁義や忠節を守り通すという意味になります。

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