【苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)】の意味を例文や会話、由来・出典まで解説!

苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)

「苛斂誅求」とは「税金や借金を厳しく取り立てる事」です。古代中国では、租税の取り締まりが厳しく、庶民としてはそれが大きな不満だったようです。現在の日本でも税金が高いと嘆く人が多いでしょうが、かつては高額所得者には厳しい累進課税が採用され最大で75%も税金で取られていたのです。それを考えると現在の税率はマシとなりますが、これは飽く迄も富裕層への税金であり、現在は庶民の税金が上がっているのも事実です。そんな税金事情について色々考えさせられる「苛斂誅求」についての解説です。

苛斂誅求の意味

「苛斂誅求」の意味は以下の通りです。
・税金や借金を情けなく厳しく取り立てる事。
・税金を容赦なく取り立てる事から、酷い政治体制の事。
・略した「苛求」も同義。
”苛斂”は「税金を厳しく取り立てる」「むごい取り立て」、”誅求”は「税金を厳しく取り立てる」「攻め立てて求める」となり、元々はどちらも同じ意味で、税金を厳しく取り立てる事です。それが時代経過によって借金にも使われ、さらに厳しい税金を課す政治についての意味も含まれる様になりました。云わば、強制的に厳しく税金や借金を取り立てる事なので、現代なら税務署が滞納者に厳しく返済を迫る感覚に近いです。横暴・弾圧とまではいかなくても、民衆が不満に覚えるほどの厳しい取り立てで、だからこそむごい・責め立てるという意味の「苛」が使われたと理解できます。実際の使い方としては、「苛斂誅求を極める」「苛斂誅求に悲鳴を上げる」「苛斂誅求な制度」といった形になります。

苛斂誅求の由来・出典

「苛斂誅求」の由来は残念ながら不明ですが、”苛斂”は中国五代十国時代の歴史書「旧唐書」の「穆宗」、”誅求”は中国東周時代の孔子による思想書「春秋」の注釈書「春秋左氏伝」の「襄公・三一年」にそれぞれ記されています。

苛斂誅求の類義語・同義語

「苛斂誅求」の類義語には、「頭会箕斂」「秋霜烈日」などが挙げられます。

苛斂誅求の使い方・例文

例文1.北欧各国は税金が高い事で知られるが、苛斂誅求という大きな不満があまり聞かれないのは、手厚い社会保障が国民から支持されているからだ。
例文2.このまま苛斂誅求を続けると、温厚な日本人でも不満を爆発させるだろう。
例文3.コロナで世界各国が経済ダメージをさらに追えば、苛斂誅求に走る国々も増えるだろう。
例文4.権力者が常に守られている日本では、苛斂誅求で苦しむのはいつも立場が最も弱い人々ばかりだ。
例文5.どんなに苛斂誅求が続いても、絶対的に自民党を支持する岩盤層が40%もいるのだから、国会で嘘を吐きまくって税金を支援者にばら撒いてもそれは何とも思わないだろう。
厳しい税金や政治批判で「苛斂誅求」を使った例文です。

苛斂誅求の会話例

男性
自動車税って高くない?
女性
私も思った。古い車だと、15%ぐらい増税よ。本当にふざけている!
男性
本当だよ。俺の車なんて年代物のクラシックカーだから、故障はするわ税金は高いで最悪だよ。
女性
これって、絶対に税金を少しでも多く取り立てようとする現代版の苛斂誅求ですよね。

職場の同僚男女が、高額な自動車税について不満を吐露しています。

苛斂誅求の豆知識

「苛斂誅求」は政治に関する四字熟語なので同様なものは、政治や経済などが停滞していた「暗黒時代」、公平な政治が行われる「王道楽土」、少数による独裁的な政治の「寡頭政治」、過酷な政治は虎より恐ろしい「苛政猛虎」、政治上で行政機構などを改革する「縮地補天」などがあります。

苛斂誅求の難易度

「苛斂誅求」は漢字検定1級から7級相当の文字組み合わせで、”斂”と”誅”は1級、”苛”は2級でそれぞれ大学一般レベル、”求”は7級で小学校中学年レベルの四字熟語となります。

苛斂誅求のまとめ

「苛斂誅求」は税金や借金を厳しく取り立てる事で、そこからそんな仕組みの政治という大きく二つの意味が込められた四字熟語です。政府が決めた税制があまりにも厳しい時、他にも容赦ない借金取り立てなどで用います。

苛斂誅求をされると国民は苦しむ。
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