【衣錦尚絅(いきんしょうけい)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

衣錦尚絅(いきんしょうけい)

「衣錦尚絅」とは「美しい着物の上から重ね着をする事から、才能を見せ付けず常に謙虚でいる喩え」です。人はどうしても他人と比較してしまう生き物なので、自分の方が優秀で能力が高いと知ると鼻高々になってしまいがちですが、それでは最も大事な謙虚さを失ってしまうのです。

衣錦尚絅の意味

「衣錦尚絅」の意味は以下の通りです。
 ・才能や徳を見せ付けないように隠す。
 ・本当に優れている人は才能や能力を見せびらかさず謙虚な姿勢があるという喩え。
 ・「錦を衣て絅を尚う」(にしきをきてけいをくわう)と読む。
中国の戦国時代の思想書「中庸」(四書五経の四書の一つで、残りは大学・論語.・孟子)の一文から取られたのが「衣錦尚絅」です。訓読した「錦を衣て絅を尚う」は美しい錦の着物をそのまま着るのではなくその上に単衣を羽織って隠すという意味で、それが転じて、才能や能力を見せびらかさない喩えとなります。これは様々な解釈が可能ですが、最も一般的なのは才能あるからと思い上がった態度を取るのは下品であり良くないので、人とは「どんなに才能があっても謙虚であるべき」という本質を捉えています。よって使い方としては「謙虚」と同義扱いとして、「衣錦尚絅な人」「衣錦尚絅が身に付く」「衣錦尚絅を忘れない」といった風になります。

衣錦尚絅の由来・出典

「衣錦尚絅」の由来は中国戦国時代の思想書「中庸」の「詩曰衣錦尚絅惡其文之著也」となります。

衣錦尚絅の類義語・同義語

「衣錦尚絅」の類義語には、「温良恭倹」などが挙げられます。

衣錦尚絅の使い方・例文

例文1.子供の頃から神童と呼ばれる天才児だったが、それ故に衣錦尚絅も自然と身に付き無能な大人にも謙虚に接していたが、それが逆に可愛げがないや馬鹿にしていると散々な目に遭い今ではすっかり人間嫌いで能力も錆び付いてしまった。
例文2.衣錦尚絅な態度は特に日本では絶対にした方が良くて、なぜなら目立つ杭は間違いなく打たれるからだ。
例文3.これまで衣錦尚絅な人を一度も見た事がないが、それは自分のレベルがとても低いから同類しか接点がないからだと気が付いた。
例文4.YouTubeで大金を稼いだと豪語する自称投資家の99%以上は詐欺師で、本当に儲けているなら衣錦尚絅な気持ちになるし、素人向けの手法公開動画など絶対にアップしないし、小銭を稼ぐ勧誘などは間違ってもやらない。
例文5.真夏の青空の先には何があるか分からないように、狭い世界の中途半端な才能に酔って衣錦尚絅を忘れるようではまだ半人前以下だ。
「衣錦尚絅」を使った例文となります。

衣錦尚絅の会話例

男性
それにしても料理が上手だよね。それなのに、そんなフリを全くしてこなかったでしょう。どうして?
女性
それは母から衣錦尚絅を心掛けて生きるように徹底されたからかな。
男性
そうなんだ。確かにあまり才能を自慢するのはひんしゅくを買う時もあるからね。でも、音楽の才能もあるでしょう。ピアノもプロのように弾くじゃない。
女性
それは子供の頃に無理やりピアノ教室に通わされていたからよ。

料理やピアノの才能に恵まれた彼女とその彼氏の会話です。

衣錦尚絅の豆知識

「衣錦尚絅」から”謙虚”に関する四字熟語は、性質は穏やかで素直で人にうやうやしく自分は謙虚な「温良恭倹」、驕り高ぶって人を見下す事で謙虚さが全くない事の「傲岸不遜」「傲慢無礼」などがあります。

衣錦尚絅の難易度

「衣錦尚絅」は漢字検定1級から7級相当の文字組み合わせで、”絅”は1級で大学一般レベル、”錦”は2級で高校卒業レベル、”尚”は準2級で高校レベル、”衣”は7級で小学校中学年レベルの四字熟語となります。

衣錦尚絅のまとめ

「衣錦尚絅」は美しい着物を隠すように単衣を着る事から、己の才能や能力を誇示するように見せびらかすのは良くないとして、謙虚な気持ちを忘れないでいる喩えです。いくら才能があり偉くなっても、人は謙虚な姿勢を常に持ち合わせていなければなりません。

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