暗送秋波(あんそうしゅうは)
「暗送秋波」とは「美人の色目や色目を送る行為、そして陰での悪巧み」となります。ですから通常は女性に使う方が多いですが、悪巧みをする男性に対しても用いる表現です。また、女性に対しても美人と褒めつつもそれは色目であると疑っているので、言われた方は嬉しい言葉とは言えないかも知れません。
暗送秋波の意味
「暗送秋波」の意味は以下の通りです。
・口に出さず目でこっそりと情を伝えたり、機嫌を取って取り入る事。
・こっそりと陰で悪巧みを企てる事。
・女性が気に入った男性に色目を使う事。
・「暗に秋波を送る」(あんにしゅうはをおくる)と読む。
”暗送”は「秘かに送る」「こっそり送る」、”秋波”は「色目」「流し目」から、女性が色目などを使うだけでなく悪巧みや機嫌取りなどの意味となるのが「暗送秋波」です。ですから気に入った男性に上目使いをする女性特有の武器であったり、男性でも上司やお客さんに機嫌を取ろうと胡麻を擂って媚びたり、又は陰での悪巧みという意味も込められています。深読みするなら、女性の色目使いとはもちろん気に入った男性へのサインですが、その裏には単なる駆け引きや騙しとして別の意味が込められている場合もあり、そこから悪巧みや胡麻擂りなども解釈されるようになったのです。よって、単純に女性の仕草として「暗送秋波の眼差し」ともすれば、怪しい計画に対して「暗送秋波を企てている」といった使い方ができます。
暗送秋波の由来・出典
「暗送秋波」の由来は残念ながら不明です。中国語辞典に掲載されている事から中国発祥であるのは間違いありませんが、それ以上については分かっていません。”秋波”に関しては中国唐時代の詩人・白居易の「曲江早秋詩」が由来とされています。
暗送秋波の類義語・同義語
「暗送秋波」の類義語には、「媚眼秋波」「妖姿媚態」などが挙げられます。
暗送秋波の使い方・例文
例文1.結婚詐欺師として暗躍した美人が獄中で語るには、暗送秋波を少し使うだけで男の方から貢いできたそうで自分は無実だと言い切っている。
例文2.コロナ禍で飲み会がなくなり、これで公正に実力で出世が決められると思っていたが、虎視眈々と出世を目論む者の暗送秋波によってお中元やお歳暮が効力を発揮したそうだ。
例文3.歩道を歩いていて前に居る女性が暗送秋波をしてくると思わず立ち止まったら、その瞬間後ろに居た男がバッグを奪って逃走していってしまった。
例文4.男も女も暗送秋波に長けている方が世の中を上手く渡っていけるようになる。
例文5.某携帯会社は前日まで散々ゼロ円と宣伝しながら、突然値上げを発表するやり口は暗送秋波のような姑息さを感じてしまい、だからサッカーの神様も庶民に同情してヴィッセル神戸は負け続けているに違いない。
「暗送秋波」を使った例文となります。
暗送秋波の会話例
社内の噂話に疲弊する同僚男女という内容です。
暗送秋波の豆知識
「暗送秋波」から”美人”に関する四字熟語は、美人がほほ笑めば千金の価値がある「一笑千金」、美人とは薄幸である「佳人薄命」、国を傾けるほど美人である事から絶世の美人「傾国美人」、非常に美しい女性の喩えで牡丹の花でもある「国色天香」などがあります。
暗送秋波の難易度
「暗送秋波」は漢字検定8級から9級相当の文字組み合わせで、”暗”と”送”と”波”は8級で小学校中学年レベル、”秋”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。
暗送秋波のまとめ
「暗送秋波」は女性が色目を使う事であったり、また目だけで情を伝えたり、悪巧みを企てるという意味になります。美人の眼差しは秋の波のように涼しげとして、そこからこのような意味に派生をしたのですが、それぐらい色目とは人を惑わせて、また裏には何かあると思わせてしまう不思議な力が宿っているようです。