【僭賞濫刑(せんしょうらんけい)】の意味を例文や会話、由来・出典まで解説!

僭賞濫刑(せんしょうらんけい)

「僭賞濫刑」とは「不適切な褒美と処罰、限度を超えた賞罰」といった意味です。本来は褒美も処罰も適正に行われるものですが、何かを隠す意図や単なる権力側の気まぐれなのか、過剰に賞罰が多いのが「僭賞濫刑」です。日本ではあまり使われないので難しい言葉ですが、解説に入らせて頂きます。

僭賞濫刑の意味

「僭賞濫刑」の意味は以下の通りです。
・不適切な褒美と処罰。
・賞罰が適正に行われていない。やたらに賞罰が与えられる。
”僭賞”は「度を超えた褒美」「分を越えて賞する」、”濫刑”は「むやみに罰する」から、賞と罰がやたらと多い事や賞罰が不適切な現状を「僭賞濫刑」と言います。日本の場合は”賞罰”の”賞”は国や地方による賞の表彰、”罰”は刑事事件などの刑罰となるので、この両極端な事が多くなっていると理解できます。本来はこれらは適度で厳正に行うものですが、国が混乱したり何か別な意図があると増えてしまう傾向になります。普段使う場合は、上の者がフェアな対応をしない場合などに使われ、ある者には褒めているのに(褒美)、別の者には厳しく接する(処罰)事などは典型的な「僭賞濫刑」となります。また、褒美と処罰の双方の意味がありますが、どちらかの意味に限定して用いる事も可能で、実際の使い方としては「僭賞濫刑を許さない」「僭賞濫刑をしない」「僭賞濫刑が多い」といった風になります。

僭賞濫刑の由来・出典

「僭賞濫刑」の由来は、中国春秋時代の思想家・孔子の歴史書「春秋」の注釈書「春秋左氏伝」の「襄公二六年」です。

僭賞濫刑の類義語・同義語

「僭賞濫刑」の類義語は「僭賞濫罰」などが挙げられます。

僭賞濫刑の使い方・例文

例文1.ある部下にはネチネチと文句を言い、別の部下には褒めてばかりいたら、僭賞濫刑と陰口を叩かれてしまった。
例文2.政府が観光業には力を入れて支援し、批判した学術会議には任命拒否するのはあからさまな僭賞濫刑である。
例文3.僭賞濫刑、日本では現在もそんな横行が続いている。
例文4.政権をとにかく擁護するコメンテーターは優遇され、批判する専門家には厳しくあたる日本の慣習である僭賞濫刑をやめさせるべきだ。
例文5.新しい担任教師は生徒の好き嫌いがハッキリしていて、聞き分けが良い子と悪い子には僭賞濫刑な態度を取るのだが、どちらでもない私は完全に無視されている。
不適切な褒美と罰という意味合いで「僭賞濫刑」を使った例文です。

僭賞濫刑の会話例

男性
子供の頃は勉強するだけで良かったけど、大人になるとそうもいかず何だか面倒だね。
女性
まあね。確かに人間関係は鬱陶しいよ。
男性
上司が完全なる僭賞濫刑な人でさ、仕事が出来る人には徹底的に褒めて、出来ない人にはとことん厳しく当たるんだよね。で、厳しく当たられた人は居心地が悪くなって辞めるでしょう。だから、そろそろ俺が最下位に転落して、攻撃ターゲットになるんだよ。
女性
それは困ったね。罵倒されている所を録音して、YouTubeに投稿しちゃえば。

上司への不満や愚痴を知人女性に聞いてもらっている会話です。

僭賞濫刑の豆知識

「僭賞濫刑」から”賞罰”に関する四字熟語は、人の上に立つ者は適切な賞罰をはっきり行うべきという「恩威並行」、物事の成否は自分自身の心がけ次第で、賞罰も自分の思うがままという「高下在心」、賞罰を厳格に行う事の「信賞必罰」などがあります。因みに「僭賞濫刑」の対義語が「信賞必罰」です。

僭賞濫刑の難易度

「僭賞濫刑」は漢字検定1級から6級相当の文字組み合わせで、”僭”は1級で大学一般レベル、”濫”と”刑”は3級で中学校卒業レベル、”賞”は6級で小学校高学年レベルの四字熟語となります。

僭賞濫刑のまとめ

「僭賞濫刑」は褒美と処罰が多いという事から、賞罰が不適切に行われているという意味です。要するに、国などの行政機関が混乱しているなど問題があるから、やたらと褒美や罰が多いと解釈できます。そこから、日常生活で使う場合には仕事などで上の者が依怙贔屓をする際などに用いられます。

僭賞濫刑を示す画。
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