【後生大事(ごしょうだいじ)】の意味を例文や会話、由来・出典まで解説!

後生大事(ごしょうだいじ)

「後生大事」とは「物を大切にする事」と「無価値な物を大切にする事」です。一見すると、相反する意味の言葉を持っていますが、趣味などで大切にしている物は当人以外には理解できないものですよね。いくら価値ある宝物でも、口煩い母親や妻からしたら場所を占領するゴミ同等の存在でもあったりします。ですから、当人にとっては大切な宝物なので「後生大事にして保管」ですが、他から見ると「そんな邪魔な物を後生大事にして」となるのです。そんな「後生大事」についての解説となります。

後生大事の意味

「後生大事」の意味は以下の通りです。
・非常に大切にする。また、非常に大切にする事を比喩して使う。
・心を込めて物事に励む。
・死後の安楽を願う事。
”後生”は「後から生まれる人」「後から学ぶ人」「死後」「お願い」、”大事”は「大切にする」「掛け替えがない」「心にとめるべき様」となり、仏教用語として死後の世界の安楽を願う事ですが、そこから転じて、物事に励む事や物を大切にする事、そして大切にする事を揶揄する使い方が最も一般的です。例えば、他の人には無価値なものを本人が大事にしている事から、謙遜や自虐のように「後生大事にしている」となります。他は、大切や貴重という意味から宝物的な扱いで「後生大事」ともなります。要は本当に大切な物や他人からも価値ある物と、自分でも無価値と分かっているが大切にしている物という相反する意味が込められています。使い方としては、「後生大事に守る」「後生大事にしまう」「後生大事に抱えて」といった形になります。

後生大事の由来・出典

「後生大事」の由来は、残念ながら不明です。”後生”は仏教用語で後世や来世や死後、”大事”も同じく仏教用語で出家や作法という意味合いもあります。文献としては、日本の中世で広まった芸能などの文芸「説経節」の「説経苅萱」(1631年)に文言が記されています。

後生大事の類義語・同義語

「後生大事」の類義語は四字熟語では残念ながらありません。四字熟語以外では、「大切」や「大事」が類似となります。

後生大事の使い方・例文

例文1.彼女にとって子供の頃に買ってもらったぬいぐるみは宝物で、これからも後生大事に取って置き絶対に捨てないそうだ。
例文2.後生大事にしていた愛車がスクラップになったので、名残惜しいが思い切って処分した。
例文3.別れた彼女からのプレゼントを後生大事にしていたが、現在の彼女にバレて強制処分された。
例文4.サッカー選手にとって、スパイクは絶対に後生大事にするべき武器であり足を守る防具でもある。
例文5.物を捨てられない性質なので、何でも後生大事に保管していたが、流石に隣近所から異臭がすると苦情が来たので、業者を呼んで徹底的に処分した。
物を大切にすると、逆に処分するで「後生大事」を使った例文です。

後生大事の会話例

男性
ちょっと待って。それは、捨てなくていいよ!
女性
年末の大掃除だよ。折角だから捨てたらいいんじゃないの?
男性
うーん。でも…、これはそんなにかさ張る訳でもないし、また次の機会にしよう。
女性
それって、もしかして昔の彼女からのプレゼント? もし、そんな物を後生大事に取っておくって言うなら、許さないからね。

大掃除をしている恋人同士の会話で、彼氏が捨てられない物を彼女が疑うという内容です。

後生大事の豆知識

”後生”を使った四字熟語は、若い人は可能性を秘めている「後生可畏」、極楽に生まれ変わる「後生菩提」、”大事”を使ったのは「後生大事」だけです。”後生”は大乗仏教の経典「法華経」などで特に重宝される言葉で、死後の生まれ変わりや極楽浄土の生まれ変わりとなりますが、現在は哀願や懇願としても使われます。

後生大事の難易度

「後生大事」は漢字検定8級から10級相当の文字組み合わせで、”事”は8級で小学校中学年レベル、”後”は9級、”生”と”大”は10級でそれぞれ小学校低学年レベルの四字熟語となります。

後生大事のまとめ

「後生大事」は物を大切にするといった意味ですが、当人以外には無価値な物を大切にする事を揶揄した表現でも使われます。古いガラクタを捨てられない際に、「後生大事にしないで処分」となります。また、仏教用語として後世の安楽を願うや物事に励む意味もありますが、日常会話などではあまり使われないのが実情です。

後生大事に生きることは大切。
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