【魑魅魍魎(ちみもうりょう)】の意味と例文と使い方

魑魅魍魎(ちみもうりょう)

「魑魅魍魎」とは「妖怪や化け物の総称ですが、現在は政界などで暗躍する者やそんな世界の喩え」です。妖怪などに対して「魑魅魍魎」と使うと逆に発音し辛くなってしまうので、現在は悪い政治家やそんな胡散臭い世界などを揶揄して「魑魅魍魎」と使われる傾向があります。自論ですが、妖怪のような怪しい力を持つ人物が活躍するといったニュアンスから、もしかしたら多用されるようになったのかも知れませんね。そんな「魑魅魍魎」についての解説となります。

魑魅魍魎の意味

「魑魅魍魎」の意味は以下の通りです。
・人に危害を加える化け物の総称。
・妖怪や化け物が転じて、人間社会における姿を見せずに私利私欲で暗躍する者の喩え。
・様々な化け物。妖怪変化。山川の精霊。
・「魑魅罔両」とも書き同義。
”魑魅”は「山林の気から生ずる妖怪」「山の神」、”魍魎”は「山川や沼沢の気から生ずる妖怪」「水の神」で、日本に古来から伝わる最も古い妖怪や化け物の総称が「魑魅魍魎」です。様々な種類がいるので一概に姿形は言えませんが、最も有名なのは”魑魅”は顔は人間で体は獣の怪物、”魍魎”は幼児に似た姿だが皮膚は赤黒く鬼のようとも言われています。その異様な姿に一目見たら恐怖から恐れおののくので、現在ならモンスター・魔物・悪魔などと同様になります。また、このような人間に恐怖を与える事が転じて、主に政治や大企業や大学病院など権力者のドロドロな出世レースや汚い人間関係を、まるで妖怪が棲んでいるかのように「魑魅魍魎」と表現します。要するに、血が通った人間ならそんな酷い事をしないはずなのに、汚い事が平然と行われるので、半ば呆れや嫌味や恐怖などの感情から「魑魅魍魎」となるのです。

魑魅魍魎の由来・出典

「魑魅魍魎」の由来は、中国春秋時代の孔子の歴史書「春秋」を注釈した書物「春秋左氏伝」の「宣公三年」となります。

魑魅魍魎の類義語・同義語

「魑魅魍魎」の類義語には「妖怪変化」「跳梁跋扈」、四字熟語以外では「伏魔殿」などが挙げられます。

魑魅魍魎の使い方・例文

例文1.前を歩く友人にそっと近付き、いきなり声を出して驚かしたら、俺の顔が化け物なのか「魑魅魍魎だー」と逃げていった。
例文2.まるで魑魅魍魎のようなドロドロなドローンミュージックをこよなく聴いている日本で数少ない愛好家の一人である。
例文3.政界はそれこそ魑魅魍魎だと言われるが、大物ほど酒好きな浅黒い肌をして、答弁は支離滅裂でろくに漢字も読めないのだから、そんな風に例えられて当然である。
例文4.大人気ドラマの典型的なワンパターンと分かっているが、魑魅魍魎な人間関係が醍醐味で視聴者を釘付けにする。
例文5.久しぶりに原宿や渋谷に行くと、姿形は若いが魑魅魍魎と呼べるような異様な人々があまりにも多くて大変疲驚く。
妖怪のような人々や政界について「魑魅魍魎」とした例文です。

魑魅魍魎の会話例

男性
どうしたの。そんなに深刻そうな顔をして。
女性
そんな風に見える? 実は職場の人間関係に疲れて。本当に女同士は陰湿で嫌になる。
男性
確かに男よりも、魑魅魍魎でドロドロした感じはあるね。
女性
そうなの。本当に大変。女の本性は妖怪よ。

職場の同僚女性が、会社における女同士の人間関係に疲れて不満を爆発させています。

魑魅魍魎の豆知識

「魑魅魍魎」から”妖怪”に関係する四字熟語は、姿形が異様でこの世のものとは思わない生き物や妖怪の事である「異類異形」、妖怪や鬼神の「牛鬼蛇神」、妖怪が夜に徘徊する事から悪人が蔓延り悪事を働く「百鬼夜行」、人知を超えた不思議な現象を起こす化け物「妖怪変化」などがあります。

魑魅魍魎の難易度

「魑魅魍魎」は漢字検定1級から3級相当の文字組み合わせで、”魑”と”魍”と”魎”は1級で大学一般レベル、”魅”は3級で中学卒業レベルの四字熟語となります。

魑魅魍魎のまとめ

「魑魅魍魎」は日本で古来から伝わる妖怪や化け物の総称ですが、現在は政界などで暗躍する者やそんな世界を揶揄して使われる傾向があります。ですから、選挙で大金がどこからともなく動くのを「魑魅魍魎」としたり、或いは謎の力で総理が交代させられ新総理が誕生するなども「魑魅魍魎」と、まるで何が起こっても不思議ではない当然の世界だからと含みを持たせるように使います。

この世の魑魅魍魎。
最新情報をチェックしよう!