群集心理(ぐんしゅうしんり)
渋谷のハロウィンやクリスマス、大晦日のカウントダウンなどの様子を見ていると、集団の力を思い知らされます。一人ひとりは大人しいのに、その数が大きくなると途端に大騒ぎをしたり迷惑行為に走るのです。それが報道陣に撮影され、ニュースで報道され、最悪では逮捕される可能性があるにも関わらずです。なぜその様な行動が出来るかというと、ストレス発散や目立ちたい、今が楽しいからなども理由でしょうが、根底には｢群集心理｣が影響しているようです。それでは、そんな｢群集心理｣についての解説となります。
群集心理の意味
｢群集心理｣の意味は以下の通りです。
・群衆の中で起こる特殊な心理状態で、興奮が高まり暴力的等になって理性が効かない。
・大勢と行動を共にすると、一時的に判断力が弱まり冷静に物事を対処できなくなる。
・群衆の力によって興奮が高まると、無責任な言動や行動をしやすくなる心理に陥る事。
・群衆に影響を受けた付和雷同しやすい状態。
”群集”は｢大勢が群がり集まる｣｢(社会学では)大勢の人々が共通関心を元に集合した組織｣、”心理”は｢心の働き｣｢精神状態｣｢心の状態｣で、大勢が集まった事で起こる独特の心理を｢群集心理｣または｢集団心理｣と言います。｢群集心理｣を心理学や社会学からの観点から解説するのはあまりにも複雑なので、端的に掻い摘むと、大勢の人の中に身を置く事で生まれやすいある種の興奮状態で、判断力や理性が欠如するので、時には暴力的になったり大声で喚いたり、物を破壊したりします。必ずそうなる訳ではなく、また一人でいる分にはそんな過激な行動はしない性格にも関わらず、群衆にいる誰かがその様な行動をしていると、自分も影響を受けやすくなるのです。よって、群衆の中に属していると、そこに感化されやすくなり、主に暴力的な行為･行動と極端に走りやすくなります。ほぼ同義となる｢集団心理｣は、集団による思考や感情で、多数派に同調して極端な行動に走る事です。実際に使う際には、｢群集心理が働いた｣｢群集心理が引き起こした｣といった形になります。
群集心理の由来・出典
｢群集心理｣は、イタリアの社会心理学者S･シゲーレとフランスの社会心理学者ル･ボンの二人が19世紀末頃に提唱し、特にル･ボンが発表した著書｢群集心理｣(1895年)が後世に大きな影響を与えました。
群集心理の類義語・同義語
｢群集心理｣の類義語には、｢集団心理｣｢集団催眠｣などが挙げられます。
群集心理の使い方・例文
例文1.駅前などでデモ集会を開いているのは、群集心理を狙った効果を期待しているのだろう。
例文2.アメリカで度々発生する人種差別への抗議デモは、群集心理によって最後は暴動に発展するのが残念でならない。
例文3.カルト的な教団に入信すると大勢の信者が支え合う生活に心地良さを覚えるが、それが群集心理となって敵対組織には牙を剥く事に繋がる。
例文4.音楽ライブやサッカー場で、大声を出して熱狂するのも群集心理だからこそ出来るのだろう。
例文5.人混みの中で事件が起こると、出口に向かって一斉に人が動き出すのも群集心理が働いたからで、一人ひとりが判断停止となり闇雲に大勢の流れに従ってしまう。
デモや音楽ライブなどに集う大勢の人々について｢群衆心理｣を使った例文です。
群集心理の会話例
渋谷のハロウィンで大騒ぎをする若者を｢群集心理｣とした会話です。
群集心理の豆知識
｢群集心理｣に陥りやすい人とは、どの様な人だと思いますか？ 若い人は自分は大丈夫で、高齢者や友達が少ない人や性格が大人しいや暗い人が陥りやすいと思っていませんか。実はそれは間違いで、正解は誰もがそうなりやすいのです。自分は大丈夫と思っている若者も例外ではありません。なぜなら、流行に感化され、周囲と同じファッションやブームに乗るのって、既に集団催眠みたいな状態です。皆と同じような大学に入り就職し、そして東京ライフを楽しむのは、既に｢群集心理｣に犯されているとなぜ、理解できないのでしょう。
群集心理の難易度
｢群集心理｣は漢字検定7級から9級相当の文字組み合わせで、”群”は7級、”集”は8級で小学校中学年レベル、”心”と”理”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。
群集心理のまとめ
｢群集心理｣は、群集の中に居ると発生する特殊な心理状態で、その多くは興奮作用が高まる事で攻撃的や威圧的な態度や行動をする事です。大勢の人に感化されると、通常持ち合わせている理性や判断力が低下して、誰かが暴力的な行動をしたら、自分も思わず同じような行動を取ってしまうのが｢群集心理｣によるものです。
