【羽化登仙(うかとうせん)】の意味と例文と使い方

羽化登仙(うかとうせん)

一概には言えませんが、学生時代は真面目で穏やかだった人ほど大人になると酒癖が悪くなっていたり、性格悪くなっていませんか? 真面目=成績優秀とするなら、そんな人は大企業入社など社会でもある程度の成功を収める可能性が高く、それが高慢へと様変わりさせるのです。もちろん、不良だった人がそのまま半グレやヤクザになるパターンもありますが、往々にして大人になると逆になる場合が多くなります。個人的には酒癖が悪いのはその人の本質が出ているだけだと思いますが、それでは中国で長い間信仰されている逸話めいた「羽化登仙」についての解説となります。

羽化登仙の意味

「羽化登仙」の意味は以下の通りです。
・酒に酔って良い気分になる事。天にも昇る気持ち。
・背中に羽が生えて仙人なって空を飛ぶ事から転じて、酒などに酔って快い気分の事。
・古代中国の神仙思想で、羽が生えた仙人となって天上界に登る事は人々の理想とされる。
”羽化”は「昆虫が幼虫から成虫になる」「羽が生えて仙人になる」、”登仙”は「天に登り仙人になる」「仙人」で、どちらも仙人という意味の言葉を繰り返し使い強調しています。そこから、仙人その者や仙人になって天上界を目指す、またそれぐらい快い気分なので酒に酔っている喩えともなります。古代中国には神・仙人の存在を信じる「神仙思想」という民間思想があり、現在でも多くの人に信じられています。「羽化登仙」と意味合いが近い言葉は、「催眠」「浮遊状態」「幸福感」「ランナーズハイ」「泥酔」「陶酔」「恍惚」といったものです。最後に余談ですが、日本の漫画や中国映画などで酔っている仙人が多いのも、「羽化登仙」の影響が強く関係しているのかも知れません。

羽化登仙の由来・出典

「羽化登仙」の由来は、中国北宋時代の政治家・蘇軾の散文集「前赤壁賦」になります。

羽化登仙の類義語・同義語

「羽化登仙」の類義語には、「壺中之天」「酔眼朦朧」などが挙げられます。

羽化登仙の使い方・例文

例文1.久しぶりに旧友と遅くまで飲み干し、互いに羽化登仙となって終電を逃し漫画喫茶で一夜を明かした。
例文2.尊敬する部長の酒の席に呼ばれ、嬉しさから羽化登仙となって天にも登る気持ちになった。
例文3.「鬼滅の刃」の作者は漫画や映画が大ヒットをして、何億もの印税収入を考えただけで羽化登仙するだろう。
例文4.芸能人などの二世は裕福な暮らしが当たり前になっているので、少しぐらいの贅沢では羽化登仙な気持ちになれず、ある意味で庶民的な幸せを感じられない可哀想な人達だ。
例文5.演劇部に入り初めて舞台に立ち人前で演技を披露した時は、興奮と嬉しさから羽化登仙となってしまい、それこそ足が地に付かない感覚に陥った。
旧友や上司との酒飲み、大ヒット漫画などで「羽化登仙」を使った例文となります。

羽化登仙の会話例

男性
ただいまー。ふー、飲み過ぎたー!
女性
おかえりなさい。忘年会だからって、飲み過ぎじゃないの。大丈夫?
男性
大丈夫。全然酔ってないから。
女性
あなたは糖尿っぽいんだから、お酒を飲んで羽化登仙になってばかりいたら、年明け早々にも倒れて入院しちゃいますからね。

忘年会終わりで酔って帰った亭主に対し、妻が小言を言っています。

羽化登仙の豆知識

「羽化登仙」の様にお酒や酔いに関する四字熟語は、「悪酔強酒」「美酒佳肴」「酒池肉林」「酔眼朦朧」「放蕩無頼」「天之美禄」など多数あります。酒を称えたものから、大酒飲み、お酒とご馳走の宴会、酒で体を壊すなど、様々な意味合いの言葉となります。因みに、お酒で病気になるという四字熟語は見聞きしないので、これも当時の時代背景ならではなのでしょう。現在なら確実にその様な言葉が誕生しているはずです。

羽化登仙の難易度

「羽化登仙」は漢字検定準2級から9級相当の文字組み合わせで、”仙”は準2級で高校レベル、”化”と”登”は8級で小学校中学年レベル、”羽”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

羽化登仙のまとめ

「羽化登仙」は仙人になる、羽が生えて仙人となって空を飛び回る、またお酒に酔って良い気分という意味で、大きく分けると「仙人」「酒酔い」の二つになります。”羽化”と”登仙”がそもそも仙人という意味合いなので、そこから後付けで酒に酔った事も追加されたのでしょう。酒酔いといっても快い酔い方で、幸せや幸福そうな感じが伝わるのも「羽化登仙」ならではの特徴です。

羽化登仙の気分で最高だ
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