鬼面仏心(きめんぶっしん)
最近は男性にも韓国アイドルの影響から化粧や髪型を真似する人も多いので、かつての様なヤンキー的な怖そうな人は、少なくても若い世代では激減しています。それは、怖そうな人は女性からモテないからです。しかし、年齢層が高くなるといまだに怖そうな顔の男性は多いです。そんな顔を見ると思わず、”鬼面”を思ってしまうのではありませんか？ でも、外見で人を判断してはいけません。怖そうでも実は仏の様に優しいというのは、よくあるからです。そんな事を想像させる｢鬼面仏心｣についての解説となります。
鬼面仏心の意味
｢鬼面仏心｣の意味は以下の通りです。
・見た目は怖そうだが、実はとても優しい。
・顔は鬼の様に怖いが、内心は仏の様に優しい人の事。
”鬼面”は｢鬼の顔｣｢鬼に見えるほど怖そうな顔｣、”仏心”は｢仏の心｣｢仏の様に優しい心｣から、鬼の様に怖く見えるが実は仏の様に優しいという意味合いになります。ですから、本来は単に優しいや仏心でも良いのですが、第一印象がとても怖かったり、或いは声や態度が怖そうだったが実は優しい場合に、その怖さと優しさを強調するのが｢鬼面仏心｣です。単に優しいでは、今一つ情景が伝わり難い際には過剰でも、この様な方法が用いられます。また、昔からの諺に｢鬼にもなれば仏にもなる｣がある様に、怖い鬼と優しい仏の対比は実に分かりやすく、かつ印象深くなります。実際の使い方としては、｢鬼面仏心な男｣｢鬼面仏心に見える｣といった形が多くなります。それから男女どちらに使うか制約はありませんが、基本的には男性に用いるのが無難でしょう。
鬼面仏心の由来・出典
｢鬼面仏心｣の由来は、残念ながら不明です。文献としては、”鬼面”は鎌倉時代初期の禅僧･道元の仏教思想書｢正法眼蔵｣、”仏心”は空海の漢詩文集｢性霊集｣(835年頃)などに文言が記されています。
鬼面仏心の類義語・同義語
｢鬼面仏心｣の類義語には、｢人面獣心｣｢人頭畜鳴｣などが挙げられます。
鬼面仏心の使い方・例文
例文1.柔道部で応援団もこなす兄は人から鬼面仏心と言われるが、その実態は柔道部ではマネージャで応援団も辛い練習には参加しない幽霊部員だ。
例文2.良い医者の条件の一つに、鬼面仏心みたいな人と加えた。
例文3.ヤクザ映画などは鬼面仏心な主人公というパターンで落ち着く。
例文4.生命保険の営業などは鬼面仏心とは真逆で、見た目は優しく親切そうだが内心はお客を金にしか思っていない。
例文5.上司は顔だけでなく腕っぷしも太くいかにも怖そうだが趣味は手芸に菓子作りと、まるで女性に生まれてくるのを間違えたかのような鬼面仏心である。
怖そうな上司や兄のギャップに｢鬼面仏心｣を使った例文となります。
鬼面仏心の会話例
強面の夫が髪の毛を坊主にした事に対する妻の正直な感想です。
鬼面仏心の豆知識
｢鬼面仏心｣にも使われる”鬼”についての解説となります。鬼は伝説上の存在で、化け物や妖怪です。日本では仏教とも関連深く、だからなのか昔話や節分などのイメージも強いです。その一方、漫画などで題材となる事も多く、大人気の｢鬼滅の刃｣はその典型です。そして、日本各地には”鬼”が付けられた地名も多く、栃木県の鬼怒川、長野市の鬼無里地区、茨城県下妻市の鬼怒、千葉県市川市の鬼高などいくつも点在しています。かつては、鬼が付く地域は水害などが多い土地とも言われ、現在は一概には言えませんが、その傾向はあるのかも知れません。
鬼面仏心の難易度
｢鬼面仏心｣は漢字検定4級から9級相当の文字組み合わせで、”鬼”は4級で中学レベル、”仏”は6級で小学校高学年レベル、”面”は8級で小学校中学年レベル、”心”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。
鬼面仏心のまとめ
｢鬼面仏心｣は、鬼の様に見える怖い顔だがその中身は仏の様に優しいという意味です。そこから、怖そうだがとても優しい人に喩えとして使われます。実際には怖そうな人に使うというより、親しい関係性の証明として使える言葉でもあります。
