【沐浴抒溷(もくよくじょこん)】の意味と例文と使い方

沐浴抒溷(もくよくじょこん)

「沐浴抒溷」とは「神聖な儀式の前に髪や体を洗って身を清める事」です。体を清めるというと宗教の滝行などを連想しますが、「沐浴抒溷」もそのような行為全般を指しています。要するに、単なる日常の入浴で体を洗う事とは重みが違って、より宗教色が濃い言葉です。それでは汚れを落として身を清める「沐浴抒溷」についての解説となります。

沐浴抒溷の意味

「沐浴抒溷」の意味は以下の通りです。
・湯あみで体を清める事。神聖な儀式の前にからだを清める行為。
・髪や体を洗って身を清め汚れを取り払う。
・お祈りや儀式の前は飲食や行動を慎み、髪や体の汚れを取って心身を清める。
”沐浴”は「湯水で体を洗い清める」「髪や体を洗う」「宗教儀式で身の汚れを払う」、”抒溷”は「汚れを取り除く」「けがれを取り除く」で、主に宗教用語や宗教的な儀式として神聖な儀式の前に、体や髪に付いた汚れを水や湯で取り除く事を「沐浴抒溷」と言います。よって、正式な意味合いとして現代の日常生活で使うケースはあまりないですが、縁起やゲン担ぎなどの意味合いで「沐浴抒溷」を用いる事もあります。要するに「清める行為」として、例えば、大事な出来事を前にして気合を入れたり気分転換などで風呂に入る事を敢えて「沐浴抒溷」と表現したりします。一般的には「沐浴抒溷」は宗教的な行為や禊をするような事でもあるので、白装束に身を包んだ者が滝行として滝に打たれたり、ヒンドゥー教徒ならガンジス川に浸かって体を洗い流すなどの事と理解されています。

沐浴抒溷の由来・出典

「沐浴抒溷」の由来は、残念ながら不明です。文献としては、平安時代初期の勅撰史書「続日本紀」(737年)などに文言が記されています。

沐浴抒溷の類義語・同義語

「沐浴抒溷」の類義語には、「斎戒沐浴」「精進潔斎」「沐浴斎戒」などが挙げられます。

沐浴抒溷の使い方・例文

例文1.毎日お酒を飲むのは明日の仕事に備えた準備作業のようなもので、ある意味で沐浴抒溷的な行為だが、妻にはまったく理解されていない。
例文2.産まれたばかりの赤子をベビーバスに入れて沐浴抒溷を感じてもらったら、泣き声が止んでホッとした。
例文3.沐浴抒溷をしてから妻が眠るベッドに静かに入ったら、臭いと一言言われて追い出された。
例文4.天皇陛下など高貴な人々は、大事な儀式前には沐浴抒溷を済ませているのだろう。
例文5.大学入試の前日はビジネスホテルで念入りに沐浴抒溷をしたのを今でも鮮明に覚えている。
体を清める行為として「沐浴抒溷」を使った例文となります。

沐浴抒溷の会話例

男性
今年もコロナで参拝に行けなかったね。
女性
仕方がないよ。来年こそワクチン接種で行けるでしょう。
男性
前向きだねえ、いつも。でも、という事は体を清める人も少なくなっているのかな?
女性
沐浴抒溷って言う事。確かにそうかも知れないね。神聖な儀式が中止になれば、沐浴抒溷をする必要もないものね。

夫婦がコロナ禍の生活変化で儀式なども中止になり、「沐浴抒溷」をする人も減っているのではと会話をしています。

沐浴抒溷の豆知識

「沐浴抒溷」は体を清める事なので類似の四字熟語は、灰を飲んで胃中の汚れを洗い清める「飲灰洗胃」、神聖な仕事の前に飲食や行動を慎み水で心身を清める「斎戒沐浴」、体に香を塗って清める「三釁三浴」、酒や肉食を断ち修行に専念したり汚れを寄せ付けず心身を清らかにする「精進潔斎」などがあります。

沐浴抒溷の難易度

「沐浴抒溷」は漢字検定1級から7級相当の文字組み合わせで、”沐”と”抒”と”溷”の三文字は1級で大学一般レベル、”浴”は7級で小学校中学年レベルの四字熟語となります。

沐浴抒溷のまとめ

「沐浴抒溷」は神聖な儀式などの前に、髪や体を洗って身を清める行為です。云わば宗教的な側面が強く大事な儀式前に行ったり、或いは信者が修行で滝行を行うなどの事です。よって、一般人には馴染みが薄いですが、大事なイベントなどを前にして単なる入浴を敢えて「沐浴抒溷」として気持ちを盛り上げたりする際に用いたりします。

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