【羊頭狗肉(ようとうくにく)】の意味を例文や会話、由来・出典まで解説!

羊頭狗肉(ようとうくにく)

「羊頭狗肉」とは「見掛けと中身が違う、或いは粗悪品を売る喩え」です。羊の頭の看板が出ているのでお店に入って肉を購入したら、実は犬の肉だったというオチから、見掛けと中身の矛盾や違いを説いた代名詞のような言葉として広く定着しています。また、中国では今も昔も羊の肉は重宝され人気の食材という背景も関係しています。そんな事情を踏まえつつ「羊頭狗肉」の解説をさせて頂きます。

羊頭狗肉の意味

「羊頭狗肉」の意味は以下の通りです。
・見かけだけ立派で中身が伴わない。
・羊の頭を看板に出した肉屋が、実際には犬の肉を売りつける事から転じて、見掛けと実際が一致しない喩え。
・「羊頭を懸けて狗肉を売る」(ようとうをかけてくにくをうる)の略。
”羊頭”は「羊の頭」、”狗肉”は「犬の肉」で、元々は古代中国から伝わる有名な言葉「羊頭を懸けて狗肉を売る」を略したのが「羊頭狗肉」です。古代から羊の肉は中国では人気で、鍋などの食材として体を温める漢方的な点からも多く食べられてきました。一方、犬(狗肉)も同様に昔から食べられてきましたが、羊の方が圧倒的に人気が高く日本で言うところの牛肉と豚肉のような差があります。このような背景から「羊頭狗肉」とは、羊の頭を看板としていながら実際には犬の肉を売るという、誤魔化しやインチキ販売をしている事です。それから、見掛けや表面と中身が一致しないや粗悪品を売る喩えとなっています。よって、銭ゲバ・あくどい・強欲・詐欺師・ズルい・ぼったくり・不当・不正・詐欺・詐称といった倫理的に問題ある様々な言葉と非常に近いものがあります。

羊頭狗肉の由来・出典

「羊頭狗肉」の由来は、中国春秋時代の政治家・晏嬰の言行録「晏子春秋」となります。

羊頭狗肉の類義語・同義語

「羊頭狗肉」の類義語には、「牛首馬肉」「羊質虎皮」「有名無実」などが挙げられます。

羊頭狗肉の使い方・例文

例文1.ネット上は一部だが羊頭狗肉のような広告が多いので、特に高齢者は買物の際には注意すべきだ。
例文2.激安価格の商品ばかりが並ぶと、羊頭狗肉なのではと勘繰ってしまう。
例文3.選挙前の政治家の街頭演説や公約と当選後の活動ほど羊頭狗肉となるものはなく、よく恥ずかしげもなく呑気に活動できると不思議でならない。
例文4.全身をブランド品で固めて成金アピールしても、ネット上の動画投稿だけで儲けるのは姑息な手段で羊頭狗肉と皮肉を言いたくなる。
例文5.現代は羊頭狗肉だろうと、一定数の熱狂的に応援してくれる信者を集めれば、そこで王様を気取り悠悠快適な生活を送れてしまう。
様々な見掛けだけの人について「羊頭狗肉」を使った例文です。

羊頭狗肉の会話例

男性
まったく今の日本はどうなっているんだよ!
女性
何に怒っているの?
男性
コロナだっていうのに街は人で溢れ、マスクしているからって好き勝手して感染予防に協力をしようっていう気持ちがないよね。行政側の国や東京都も口では立派な事をいうけど、中身はないし。
女性
羊頭狗肉って事だよね。…でも私達もそんな一人じゃない。なあなあで全部良しとしたツケがコロナだと思うから、適当な理由を言い訳にして協力をまったくしないからね。

コロナ禍の人々の生活様式や国対応などに憤る男性と、それは全員の所為とする女性の会話です。

羊頭狗肉の豆知識

「羊頭狗肉」から”羊”に関する四字熟語は、服を脱いで上半身裸で羊をひく事から、降伏して相手に服従する「肉袒牽羊」、枝道が多く逃げた羊を見失う事からどれを選ぶべきか思案にあまる「多岐亡羊」、本を読んで羊の番を怠けていたら逃げられてしまった「読書亡羊」などがあります。

羊頭狗肉の難易度

「羊頭狗肉」は漢字検定準1級から9級相当の文字組み合わせで、”狗”は準1級で大学一般レベル、”羊”は8級で小学校中学年レベル、”頭”と”肉”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

羊頭狗肉のまとめ

「羊頭狗肉」は古代中国に伝わる有名な言葉を略したもので、そもそもは、羊の看板を掲げた店が実は犬の肉を販売していた事です。そこから、見掛けと中身が違うや実際は別の物を売る、或いは粗悪品を販売するという喩えとして現在は使われています。よって、詐欺や詐称やズルいといった言葉とも非常に近いものがあります。

羊頭狗肉を表す肉。
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