承前啓後(しょうぜんけいご)
「承前啓後」とは「学問や文化などの歴史を大切にする言葉で、先人から受け継いだものがあるから現在があり未来を切り開けるという教え」です。解釈の仕方によって如何様にも捉えられますが、要するに大切な事は脈々と受け継がれ、それがあるから未来があるという事なのでしょう。人々の平和な暮らしがあるのも先人の努力によるもので、そんな当たり前を今一度認識させてくれる「承前啓後」の解説となります。
承前啓後の意味
「承前啓後」の意味は以下の通りです。
・昔からのものを引き継ぎ未来を切り開く。
・学問や事業を引き継ぎ後世に伝える大切さの言葉。
・「前を承け後を啓く」(まえをうけあとをひらく)とも読む。
”承前”は「前文や前例を受け継ぐ」、”啓後”は「後世に導く」「未来に繋げる」で、学問や文明や事業などを次の世代に伝えて、未来をより良くするという古代中国で大切にされてきた物の考え方です。親世代からの学問や文明といった遺産を受け継ぎ、それを現役世代が発展させて、また次の子供世代に受け渡すというバトンタッチを繰り返す事で、国がより成長するのです。よって、未来志向でとても前向きな言葉が「承前啓後」です。
承前啓後の由来・出典
「承前啓後」の由来は残念ながら不明です。文献としては、”承前”は平安時代初期の法令集「三代格式」(809年)などに文言が記され、”啓後”の文献は見つかっていません。
承前啓後の類義語・同義語
「承前啓後」の類義語には、「温故知新」「覧古考新」「継往開来」などが挙げられます。
承前啓後の使い方・例文
例文1.何かにつけて承前啓後を口癖にしていた教師を当時はバカにしていたが、大人になって有難味が理解できた。
例文2.歴史的な文化遺産を見学すると、承前啓後の大切さが痛感する。
例文3.コロナによって承前啓後が失われる社会になりそうで正直とても怖い。
例文4.祖父から父が受け継ぎ、今は修行中の私がいずれは引き継ぐか、この小さな商売が果たして承前啓後として維持できるのか近所の閉店した店を見る度に不安が募る。
例文5.初対面の年上の人を敬うには、承前啓後などを口にしておけば取り敢えずは場が繋がる。
未来への期待や不安で「承前啓後」を使った例文です。
承前啓後の会話例
タイムカプセルの掘り出しについて夫婦が会話を繰り広げています。
承前啓後の豆知識
「承前啓後」から”未来”に関する四字熟語は、綿々と続く時間の流れの「往古来今」、仏教用語で過去現在未来の三世を仏は見通す「三世了達」、現世も来世も永遠にという「生生世世」、遙か過去から未来までで永遠の「万古千秋」、未来に渡る果てしない年月の「未来永劫」などがあります。
承前啓後の難易度
「承前啓後」は漢字検定3級から9級相当の文字組み合わせで、”啓”は3級で中学卒業レベル、”承”は5級で小学校高学年レベル、”前”と”後”9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。
承前啓後のまとめ
「承前啓後」は前例を受け継ぐ”承前”、後世に伝承や導くという”啓後”を合わせて、主に学問や事業や文化などを受け継ぎ後世に継承させ未来を切り開いていく事です。文化や学問などの重要さを説く言葉で、古代中国で大切にされてきた考えです。