【安宅正路(あんたくせいろ)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

安宅正路(あんたくせいろ)

「安宅正路」とは「住み心地良く安らかにさせてくれる家と人が進むべき正しい道から、人としての優しさである”仁”と守るべき道の”義”の事」です。”仁”と”義”(仁義)というと昔ながらの義理人情のヤクザや任侠社会を連想しますが、実は古代中国の思想家・孟子の詩が発祥となっています。人が進むべき正しい道と説いているのに、犯罪組織が親分子分といった血の関係性で使うのですからなかなか本末転倒になってしまっています。

安宅正路の意味

「安宅正路」の意味は以下の通りです。
 ・住み心地の良い家と人の踏むべき正しい道から、悲しみの徳「仁」と信頼の徳「義」の喩え。
 ・「仁」と「義」の事。
”安宅”は「住み心地の良い家から安らかな身の置き場」「”仁”の喩え」、”正路”は「人の歩むべき正しい道」「”義”の喩え」で、住み心地良い家と正しい道から”仁”と”義”の喩えになるのが「安宅正路」です。これだけで”仁”と”義”の喩えと理解するのはかなり難しいので補足をすると、由来となる書物「孟子」には「仁は人の安宅なり、義は人の正路なり」と書かれているので、そもそも最初から”仁”と”義”は含まれているのです。しかし、四字熟語とする際に省略されたので、「安宅正路」だけを見ると突然”仁”と”義”が出てきた印象になるのです。それを踏まえて解釈すると、人は心地良い良い家があると思いやりや情けである”仁”、正しい道を歩むと他の人から信頼される”義”という気持ちが芽生えるのです。だから、安らぐ家や正しい行いは大事であると説いていて、人が持つべき善良な精神とする”仁”と”義”が「安宅正路」になります。

安宅正路の由来・出典

「安宅正路」の由来は中国戦国時代の思想家・孟子の思想を伝える書物「孟子」の「離婁・上」となります。

安宅正路の類義語・同義語

「安宅正路」の類義語には、「寛仁大度」「三綱五常」「五倫五常」などが挙げられます。

安宅正路の使い方・例文

例文1.安宅正路、今日も人の為に役立ち感謝の言葉を投げ掛けられ嬉しい気持ちになった。
例文2.私が安宅正路の気持ちを持てるのは、家には大切な家族が待っていてくれているからだ。
例文3.富士山を登っている時は途中で見知らぬ登山客と声を掛け合ったり、困っているなら助けたりと安宅正路な振る舞いが平気で出来るのに、東京に帰ってくると急にギスギスして他人は敵で何か過ちを犯せば自業自得と徹底的に糾弾する自分自身の態度は理解に苦しむ。
例文4.豪邸に住んでも安宅正路と成れない人も多い事から、どんな家に住むよりもその家から安らぎが得られるかが重要なのだろう。
例文5.近所の公園を掃除していたら誰かが不審者と通報したようで警察から取り締まりをされてしまい、この国にはもう安宅正路が残っていないと実感した。
「安宅正路」を使った例文となります。

安宅正路の会話例

男性
コンビニの支払いって現金、それともクレジットカードのどっち?
女性
どっちも違う。ペイペイじゃないの普通は。そっちは何?
男性
俺はクレジットカード派だったけど、最近は現金にしているんだよ。お釣りを募金して社会に貢献しようと思って。
女性
それはそれは安宅正路を積んで、いい気になっているのね。その前に私への借金を早く返済しなさいよ。

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安宅正路の豆知識

「安宅正路」から”仁義”に関する四字熟語は、旅の途中で泊めてもらい食事を振る舞われた事を生涯の恩義や仁義にする「一宿一飯」、無用の仁義を通したら余計に酷い目に遭う「宋襄之仁」などがあります。

安宅正路の難易度

「安宅正路」は漢字検定5級から10級相当の文字組み合わせで、”宅”は5級で小学校高学年レベル、”安”と”路”は8級で小学校中学年レベル、”正”は10級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

安宅正路のまとめ

「安宅正路」は優しさや信義の事である”仁”と”義”という意味になります。住みよい家は心を安らげる置き場所でそこに人が進むべき正しい道を合わせて、人とは本来は正しい道に進まなければならず、それが出来る事によって”仁”と”義”も自然と備わり周囲も認めてくれるのでしょう。

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