一木一草(いちぼくいっそう)
「一木一草」とは「少しばかりの草木から、極めて僅かな物やそこにある全ての喩え」です。実際には一本の木はあっても一本の草はかなり稀だと思いますが、要はそれぐらい極めて僅かという事なのでしょう。その表現として「一木一草」は非常に相応しく、言葉や文字からその風景を想像しやすくなります。
一木一草の意味
「一木一草」の意味は以下の通りです。
・一本の木と一本の草。また、一本の木と草が全てとして、そこにある全て物の事。
・一本の木と草から、僅かな草木。
・一本の草木だけから、僅かなものしかないや取るに足りない喩え。
「一木一草」は文字通り一本の木と一本の草しかない状態で、僅かな草木しかないというのが基本となる意味です。そこからいくつかの喩えや解釈も可能となり、僅かな草木が全てとして「そこにある全ての物」、少しの草木しかないので「極めて僅かな物の喩え」や「取るに足りない喩え」となります。使い方としては「一木一草に至る」「一木一草をも慈しむ」「一木一草も生えない」といった風になり、全てや僅かを強調する表現です。
一木一草の由来・出典
「一木一草」の由来は残念ながら不明です。文献としては、短詩「俳諧」の「続五論」(1699年)などに文言が記されています。
一木一草の類義語・同義語
「一木一草」の類義語には、「一草一木」などが挙げられます。
一木一草の使い方・例文
例文1.事業で成功した父親の遺産を相続する事になり、一体どれだけの預貯金があるのか楽しみにしていたが、蓋を開けたら貯金が一木一草な状態で思わず妻と笑ってしまった。
例文2.今年の夏は炎天下が続き、自販機で冷たい物を買おうとしても売り切ればかりの一木一草となる事が多かった
例文3.職場で俺を嫌っているのは精々、一木一草ぐらいだろうと思っていたら、全員が嫌っていると知ってショックを受けた。
例文4.コロナ陽性者が一木一草になるのは、一体いつになる事か誰にも分からない。
例文5.家に居場所がないマイホーム主義の俺は休日になると庭の雑草を取ってばかりいるので、今では一木一草も生えない最高の状態を維持出来ている。
「一木一草」を使った例文となります。
一木一草の会話例
職場の同僚男女の会話で、女性の方は机の周りに無駄な物が一切なく作業効率を上げたつもりですが、実際は見た目重視だったという内容です。
一木一草の豆知識
「一木一草」から”一”に関する四字熟語は、鳥が少しだけ飲む事から己の分に満足して多くを求めない喩え「一飲一啄」、人は社会状況で栄える時もあれば恥辱に塗れる事もある「一栄一辱」、行ったり来たりする「一往一来」などがあります。
一木一草の難易度
「一木一草」は全4文字が漢字検定10級で、小学校低学年レベルの四字熟語となります。
一木一草のまとめ
「一木一草」は一本の木と一本の草そのものから、僅かな物やそこにある全てという喩えになります。草木以外にも様々なケースで喩えとして使えるので意外にも利便性が良い四字熟語になっています。