遠慮会釈(えんりょえしゃく)
有名や人気がある四字熟語は多々ありますが、｢遠慮会釈｣ほど日本人を象徴している言葉もないのではないでしょうか？ 謙遜している様子が窺えますし、何よりも控えめな様が古き良き時代の日本人らしさがありますよね。ただ、普通ならこの様な意味合いですが、実は使い方が限定されなかなか難しい言葉でもあります。そんな所まで、まるで実は肩身が狭く控えめな日本人気質がある言葉となっています。それでは、使い方に重点を置いた詳しい解説となります。
遠慮会釈の意味
｢遠慮会釈｣の意味は以下の通りです。
・言動や態度を控えて相手に思いやる事。
・人に対して慎む心と軽い挨拶。
・控える事をしない人に対して｢遠慮会釈もない｣｢遠慮会釈なしに｣といった形で一般的には使う。
・逆さにした｢会釈遠慮｣も同義となる。
”遠慮”は｢言動や行動を慎み控える｣｢辞退する｣｢引き下がる｣、”会釈”は｢軽い挨拶｣｢対応｣｢相手への心配り｣｢思いやり｣で、普通に考えると相手を慮り気を遣っている様ですが、実際の使い方としては、言動や態度が悪い人や思いやる事が出来ない人を否定するように｢遠慮会釈もない｣と使うのが一般的です。通常の四字熟語の多くは、肯定にも否定にも使用可能ですが、｢遠慮会釈｣の場合は否定のみと理解して問題ありません。ですから、｢遠慮なし｣と使い方はよく似ていて、現代流に解釈するなら｢無神経｣｢ずうずうしい｣｢図太い｣といった人を批判する際に、｢遠慮会釈もない｣と使われます。
遠慮会釈の由来・出典
｢遠慮会釈｣の由来は、残念ながら不明です。文献としては、江戸時代の談義本｢当風辻談義｣(1753年)などに文言が記されています。
遠慮会釈の類義語・同義語
｢遠慮会釈｣の類義語には、｢跳梁跋扈｣｢厚顔無恥｣などが挙げられます。
遠慮会釈の使い方・例文
例文1.娘の彼氏が大変厚かましい奴で、結婚も決まっていないのに私に馴れ馴れしい態度をした時は、心底から遠慮会釈もない男だと感じた。
例文2.新宿駅の通勤ラッシュは、遠慮会釈もない奴らばかりで、肩がぶつかってもそのまま素通りだ。
例文3.両親の躾がなってなかったので、遠慮会釈もない大人に成長してしまった。
例文4.ネット上では貧しい人達をマナーがないと批判するが、それなら裕福な上級国民も十分に遠慮会釈や常識がないと反論したくなる。
例文5.娘は遠慮会釈がなく自由気ままに育ってしまったので、マナー教室に通わせようかと本気で考えている。
様々なケースで態度が悪い人々を｢遠慮会釈｣とした例文です。
遠慮会釈の会話例
Go To キャンペーンのポイント不正に憤る男女2人が会話をしています。
遠慮会釈の豆知識
”遠慮”を使った四字熟語は｢遠慮会釈｣の他に、｢深謀遠慮｣｢遠謀遠慮｣｢遠慮近憂｣などがあります。｢深謀遠慮｣は周到綿密な計画や準備、｢遠謀遠慮｣は｢深謀遠慮｣と同義、｢遠慮近憂｣は将来を見通さないでいると身近で心配事が起きるという意味になります。”会釈”に関連する四字熟語は｢社交辞令｣｢一路平安｣などになります。
遠慮会釈の難易度
｢遠慮会釈｣は漢字検定4級から9級相当の文字組み合わせで、”慮”と”釈”は4級で中学レベル、”遠”と”会”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。
遠慮会釈のまとめ
｢遠慮会釈｣は、人に対して気遣いや思いやれる人でありそんな挨拶の様ですが、実際に使用する際にはその様な行為を出来ない人を否定するように｢遠慮会釈のない｣といった形で使用します。よって、慎ましく思いやりある人を称賛する形で｢遠慮会釈がある｣とは使用しません。飽く迄も、態度悪い人などを批判する際に使います。
