【七生報国(しちしょうほうこく)】の意味と例文と使い方

七生報国(しちしょうほうこく)

「七生報国」とは「何度も生まれ変わるや国に忠誠を誓う」という意味です。そこから、とても尊い言葉であると感じますが、一方で国を二分する可能性を秘めた扱いが大変難しい言葉という現実もあります。それでは、軍国主義に走った日本の歴史的な背景が関係している「七生報国」の解説をさせて頂きます。

七生報国の意味

「七生報国」の意味は以下の通りです。
・七度生まれ変わって国に忠誠を尽くす。
・仏教用語の生まれ変わりから転じて、国に対して永遠に忠誠を尽くす事。
・天皇に報いる事から、第二次世界大戦下のスローガンとして国民を昂揚させる言葉。
”七生”は「仏教用語でこの世に七度生まれ変わる」「永遠」「未来永遠」、”報国”は「国家に報いる」「国に忠誠を尽くす」「天皇に忠誠を誓う」となり、要するに天皇や国に対して絶対的に忠誠を誓う言葉が「七生報国」です。元々は仏教用語であり七度生まれ変わっても絶対に忠誠を尽くす事から、永遠や未来永劫・未来永遠さらには輪廻転生とほぼ同義であり、要するに仏教精神における四苦八苦の死を受け入れ、それでも生まれ変われるという尊い言葉でしたが、第二次世界大戦下では日本の軍国主義のスローガンとなった事で「七生報国」は今でも扱いが難しい言葉となってしまいました。他にも、昭和35年日本社会党の浅沼党首を殺害し服役中だった右翼活動家・山口二矢が、「天皇陛下万歳、七生報国」と遺書を残して自害するなど、どうしても過激な思想や自殺で用いる言葉として残念ながら定着してしまったのは否めません。根底には自殺をしても生き返れるという考えであり、天皇や大日本帝国主義を絶対視しているのが要因となっています。現在でも右翼系のスローガンとして「七生報国」は、例えば街宣車に大きく文字が貼られていたり、掛け軸やステッカーやTシャツなど関連グッズが販売されているほどです。従って、本来は仏教用語であり未来永劫などある種の純粋な生まれ変わりを意味していましたが、その後は日本の軍国主義と相まって天皇主義や天皇制を象徴する言葉になって、現在は実際の右翼やネット上の過激な保守やネット右翼が好んで使う言葉となっています。

七生報国の由来・出典

「七生報国」の由来は、鎌倉時代の武将・楠木正成が足利尊氏の軍に敗れて自害する際に発した言葉となります。

七生報国の類義語・同義語

「七生報国」の類義語には、「尽忠報国」「忠君愛国」「輪廻転生」などが挙げられます。

七生報国の使い方・例文

例文1.ブラック企業だと分かっているが、入社したのも何かの縁と七生報国する覚悟で仕事に臨む。
例文2.どの競技でも日本代表として試合に出場する選手は、七生報国な気概が胸にあるのだろう。
例文3.ロシアや北朝鮮の諜報員は七生報国な気持ちがなければ、とてもじゃないがあんな危険な任務は全うする事が出来ないはずだ。
例文4.韓国アイドルやファッションが好きな若い世代に、七生報国の精神を説いてもきっと笑われるだけだろう。
例文5.私にとって七生報国の生まれ変わりとは、仮想世界における戦争ゲームFPSという感覚だ。
「七生報国」をスポーツや若い世代の感覚とした例文となります。

七生報国の会話例

男性
東京五輪の組織委員会の会長がやっと決まったけど、どう思う?
女性
もう一日中、そのニュースばっかりなんだもんね。正直、どうでもいいわよ。
男性
でも、橋本新会長。顔が喜んでいないよね。もし会長就任を拒否したら、背後の実力者達から酷い目に遭うから、仕方なく受けた感じだね。
女性
日本は七生報国を是とする考えが大きいから、権力の中枢にいたら拒否は絶対に出来ないんでしょうね。

東京五輪の組織委員会新会長に就任した橋本氏について、男女が会話を繰り広げます。

七生報国の豆知識

第二次世界大戦下における日本の軍国主義を象徴するスローガンは「七生報国」以外にも「減私奉公」「臥薪嘗胆」「武運長久」「八紘一宇」などがあり、四字熟語以外なら「欲しがりません勝つまでは」「一億総特攻」「皇國の興廃この一挙に有り」「贅沢は敵だ」「聖戦だ己れ殺して国生かせ」などとなります。当時はまるでどこかのアジア諸国と変わらない惨状だったのです。

七生報国の難易度

「七生報国」は漢字検定6級から10級相当の文字組み合わせで、”報”は6級で小学校高学年レベル、”国”は9級、”七”と”生”10級でそれぞれ小学校低学年レベルの四字熟語となります。

七生報国のまとめ

「七生報国」は、元々は仏教用語で七度生まれ変わっても国に忠誠を尽くすという意味合いでしたが、その後は日本の軍国・帝国主義のスローガンで用いられたり、戦後から現在における天皇主義を掲げる愛国者や右翼系が好む特別な言葉となっています。よって、扱いや解釈が大変難しい言葉ですが、「国に忠誠を誓う」「何度も生まれ変わる」と理解して通常は問題ありませんが、特別な言葉として捉える人達が多いという現実も一方ではあります。

父は七生報国が座右の銘だと言っていた。
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