造次顛沛(ぞうじてんぱい)
｢造次顛沛｣とは｢忙しいや慌ただしい、又は僅かな時間などの喩え｣です。仕事が忙しい時、家事などが大変で時間がない時などに用いられ、個人的には余裕がない表現の｢テンパっている｣に近いものを感じるのですが皆さんはどうでしょうか？ それでは、忙しい時を意味する四字熟語｢造次顛沛｣の解説となります。
造次顛沛の意味
｢造次顛沛｣の意味は以下の通りです。
・忙しくて慌ただしい。咄嗟の時。
・僅かの時間。極短い時間。
・｢そうしてんぱい｣とも読む。
”造次”は｢短い時間｣｢慌ただしい｣｢造次顛沛の略｣、”顛沛”は｢逆さまにひっくりかえる｣｢躓き倒れる｣｢慌ただしい｣｢とっさの場合｣となり、慌ただしいという同じような意味を繰り返して上記の様な意味合いです。正確には”顛沛”は躓くや引っ繰り返るともなりますが、｢造次顛沛｣は僅かな時間･咄嗟･慌ただしいという意味が込められています。従って、束の間･瞬時･急変･即座･急展開なども類似となり、目を離した瞬間に事態が一変している様でもあります。実際に文章などで使う際は、｢造次顛沛も忘れない｣｢造次顛沛でも｣、また読点を用いて｢造次顛沛、｣といった形が多く、それぞれ｢忙しい時～｣という解釈ができます。
造次顛沛の由来・出典
｢造次顛沛｣の由来は、中国春秋時代の思想家･孔子の言葉をまとめた書物｢論語｣の｢里仁｣となります。
造次顛沛の類義語・同義語
｢造次顛沛｣の類義語には、｢応接不暇｣｢多事多端｣｢多事多忙｣などが挙げられます。
造次顛沛の使い方・例文
例文1.引っ越し業者でバイトしているので、年度末の繁忙期は造次顛沛で休まる暇もないが、それだけたっぷり稼げるのでやめられない。
例文2.実家に帰省したら帰り際に、｢造次顛沛、ゴールデンウィークは高速道路も混んでいるから車の運転には注意してね｣と、祖母が声をかけてきた。
例文3.友達とふざけながら歩いていたら、目の前をパトカーや救急車が勢いよく飛んでいった。きっと何か事件事故が発生し、警官や救急隊員は造次顛沛で必死なのだろう。
例文4.友人は部活や家の手伝いなどをしても、造次顛沛を有効に使って見事に難関校に合格した努力家だ。
例文5.ギャンブル好きなので、仕事終わりに造次顛沛と自分に言い聞かせて、結局は閉店までパチンコをしてしまう。
忙しい、僅かな時間といった意味合いで｢造次顛沛｣を使った例文です。
造次顛沛の会話例
職場の男性が大変そうな同僚女性に声を掛けたら、それすら迷惑だったという会話やり取りです。
造次顛沛の豆知識
｢造次顛沛｣の様に”忙しい”に関連する四字熟語は、非常に多忙な｢応接不暇｣、仕事が多く大変な｢多事多端｣、戦乱の慌ただしさ｢兵馬倥偬｣、忙しい中でのひと息つく｢忙中有閑｣、期間が短いや慌ただしい様の｢朝種暮穫｣などがあります。
造次顛沛の難易度
｢造次顛沛｣は漢字検定1級から8級相当の文字組み合わせで、”沛”は1級、”顛”は準1級でそれぞれ大学一般レベル、”造”は6級で小学校高学年レベル、”次”は8級で小学校中学年レベルの四字熟語となります。
造次顛沛のまとめ
｢造次顛沛｣は非常に忙しいや慌ただしい、又は咄嗟や僅かな時間という意味合いの四字熟語です。通常は忙しいという時に｢造次顛沛｣を使う傾向ですが、喩えとして僅かな時間や咄嗟の代わりに使う事もあります。実際にはなかなか難しい言葉ですが、文学作品などで好まれる表現でもあるので、覚えておきましょう。
