【薄利多売(はくりたばい)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

薄利多売(はくりたばい)

「薄利多売」とは「利幅が小さい商品を大量販売して全体利益を上げる商法」です。要するに、売上1個当たりの利益単価や利益率は低いので、その分を補うように大量に販売して儲かるようにする仕組みです。何だかんだ言いつつも日本では大変好評な販売法で、100円ショップや低価格洋服のファストファッションなどは「薄利多売」の申し子とも呼べるのではないでしょうか。そんな「薄利多売」について自論も含めつつ解説をさせて頂きます。

薄利多売の意味

「薄利多売」の意味は以下の通りです。
・利益を少なくした激安価格な多くの品物を売り、全体利益を上げる商法。
・個々の商品の利幅は小さいが、大量販売によって利益が出るようにする販売戦略。
・利益が少ない商品やサービスの大量販売で成功する商法で、特に日本で支持される。
”薄利”は「利益の薄い」「少しの利益」、”多売”は「品物をたくさん売る」「大量に売りさばく」となり、価格が安く消費者がお得に感じる商品を大量に販売して、利益を上げる商法が「薄利多売」です。要するに、お客さんがお得だと感じる価格設定にして、一つひとつの販売では利益が少ないので、数をこなす事で利益に結び付ける販売戦略です。今ではすっかり当たり前ですが、かつてはファーストフードや大手スーパーや大手家電量販店などの代名詞と呼ばれていました。その背景には、長期に渡る日本経済の不景気や円高なども関係し、大半の消費者は安い商品ではないと財布の紐が緩まなくなったのです。近年では大手アパレルや100円ショップ、さらには激安を売りにするフランチャイズ系飲食店、さらにはネット通販やオンラインショップ、個人で物販ビジネスを展開する者などが参入して、非常に厳しい争いが展開されています。「薄利多売」は消費者の心を掴む上では最も効果的で、それだけ大勢のお客に購入して貰えるチャンスがあります。一方で販売数(回転数)を上げないと利益に結びつかない点や、先見の明がないと売れ残り商品が多くなり不良在庫となるデメリットもあります。何よりこれだけライバル店が多いと、「薄利多売」を徹底的に追及する我慢競争のような側面も出てくるので、想定よりも利益が出なくなる可能性があります。一方、最近は定額制サービスの「サブスクリプション」(サブスク)も流行り、「薄利多売」のビジネスモデルも過渡期を迎えているのかも知れません。

薄利多売の由来・出典

「薄利多売」の由来は残念ながら不明です。文献としては、日本の社会主義者・堺利彦の著書「売文集」(1912年)などに文言が記されています。

薄利多売の類義語・同義語

「薄利多売」の類義語には、「不当廉売」「転売利益」などが挙げられます。

薄利多売の使い方・例文

例文1.妻の実家は薄利多売で知られる地元ではちょっとした有名な弁当店だが、近くに大手チェーンが出店してからは青色吐息となってしまった。
例文2.薄利多売のコツは人件費を徹底的に削るしかなく、だから個人の家族経営なら何とかやっていける。
例文3.デフレの象徴が薄利多売だが、政治家や役人はそもそも激安店を利用しないので、その厳しい実情を知らない世間知らずが呑気に国を運営するのだからそれは消費や経済が冷え込むに決まっている。
例文4.大手リサイクルショップの激安セールなどは、ある意味で薄利多売をギリギリまで追い込んだ最終形態のようなものだ。
例文5.ネットを利用した個人売買の薄利多売で儲けるには相当数を売らないと儲けがなく、普通に働いた方がマシになる。
様々な例で「薄利多売」を使った文章となります。

薄利多売の会話例

男性
今日のお昼どうしようかー? そうだ。ニュースでよく取り上げられる、激安弁当のお店に行かない?
女性
えーと、あの下町の亀戸にあるライブ中継しているお店だよね。よし行こう!
男性
でも、あのお弁当屋さんって、あれだけ安くてどうやって利益出しているんだろうね?
女性
それは薄利多売でしょう。激安でも売って売って売りまくるから、利益が上がるんだよ。

東京亀戸にある人気の激安お弁当店に行こうとする恋人同士の会話です。

薄利多売の豆知識

「薄利多売」の反対は、多くを販売できないが一つ売れると利益が多い「厚利少売」です。例えば、高級マンションや高級車や高級時計など富裕層向けの商売は典型的な「厚利少売」で、「薄利多売」とは真逆のビジネスケースです。最近では個人事業主でも実力や自信がある人は敢えて「厚利少売」に活路を見出す人もいますが、なかなか難しいのが実情です。

薄利多売の難易度

「薄利多売」は漢字検定4級から9級相当の文字組み合わせで、”薄”は4級で中学レベル、”利”は7級で小学校中学年レベル、”多”と”売”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

薄利多売のまとめ

「薄利多売」は利益が小さい商品やサービスを大量に販売して利益を上げる事で、日本の小売や外食などを支え消費者からも歓迎されるビジネスモデルとなっています。近年は店舗販売だけでなくネットのフリマやオークションを利用した個人がせどり的に儲ける手法としても注目されています。しかし、時代変化のスピードが激しい現在では「薄利多売」の商法も難しくなるケースが多くなり、転換期を迎えているのかも知れません。

薄利多売は英語でgrowry sales。
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