独立不覊(どくりつふき)
最近は滅多に見聞きしないが、かつては特別な意味を込めて使用されていたと察する言葉ってありますよね。今回の「独立不覊」はそんな言葉で、幕末や明治時代の最中、或いは昭和初期など日本の歴史的な転換点ではきっと多様されていたはずです。なぜなら、”独立”と”不覊”には国民の思いめいたものが込められていると、勝手ながらに感じ取れてしまうからです。では、どの様な意味の言葉なのか解説に入らせて頂きます。
独立不覊の意味
「独立不覊」の意味は以下の通りです。
・他人の束縛を受けない。他人に影響されず自分の考えで行動する。
・他国や他人などの干渉を受けない状態で、単独の意志で行動できる。
・逆さにした「不覊独立」も同義となる。
・「独立不羈」も同義となる。
”独立”は「他とは離れて一つだけ立つ」「他人の援助や束縛が無い」「他国の権力に従属しない」、”不覊”は「物事に束縛されず行動が自由」「才能が並外れている」といった意味があり、大凡で同じ様な意味の「束縛されない」を繰り返し使い強調するのが「独立不覊」です。さらに深掘りすると、”独立”は、個人的な両親からの自立めいたものから、国家が他国からの干渉を受けないという主権国家めいた意味までと実に振れ幅が広いです。一方、”不覊”は個人的な自由であり、才能も優れているという意味合いがあります。その二つを合わせた「独立不羈」は完全なる個人的な言葉となり、他人や両親などの影響や束縛をされずに、己の考えによってのみ行動する事です。平たく言うなら、「自我の確立」や「自立」でありそれだけ人として成長した証なのでしょう。
独立不覊の由来・出典
「独立不覊」の由来は、残念ながら不明です。文献としては、”独立”は平安時代末期の説話集「今昔物語集」、”不覊”は江戸時代末期の洋学者・柳川春三の「柳河春三編・万国新話」に文言が記されています。
独立不覊の類義語・同義語
「独立不覊」の類義語には、「独立独歩」「独立独行」「独立独住」などが挙げられます。
独立不覊の使い方・例文
例文1.子供の頃はあれだけ両親にべったりだった妹が、大学進学で独立不覊して東京に出て行く事になった。
例文2.職場の先輩は飲み会などに参加しないので周囲から浮いているが、仕事は誰よりも出来るので独立不覊として皆から認めれている絶対的な存在だ。
例文3.しがらみがない独立不覊な生き方に憧れ田舎に引っ越したが、周辺住民との地域コミュニケーションを必要以上に求められ東京以上の息苦しさを感じるようになった。
例文4.人生で成功するには独立不覊となり他とは一線を画すべきだと思っていたが、それは単なる偏った考えであったと事業を失敗してから気が付いた。
例文5.両親は一人息子に独立不覊するよう促すが、口達者な怠け者に逆に言い返される。
職場や家族などの関係性に「独立不覊」を使った例文となります。
独立不覊の会話例
職場の女性が高校入学で上京し、東京で寮暮らしをしていたという会話です。
独立不覊の豆知識
「独立不覊」から”独立”の関連話題として、主要国の独立日を調べてみました。中国こと中華人民共和国が成立したのは1949年10月1日、台湾は1912年1月1日、ロシアは1991年12月25日です。日本が建国されたのが正確には分かっておらず、神話によると7世紀頃とされているが3世紀や5世紀ともする説があり、建国記念日は2月11日となります。この建国記念日という概念は世界共通ではなく、独立記念日や憲法記念日、または独立を宣言した日など各国によって状況はまちまちです。アメリカは1776年の独立宣言に署名した日(7月4日)で、それが現在の独立記念日です。
独立不覊の難易度
「独立不覊」は漢字検定1級から10級相当の文字組み合わせで、”覊(羈)”は1級で大学一般レベル、”独”は6級で小学校高学年レベル、”不”は7級で小学校中学年レベル、”立”は10級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。
独立不覊のまとめ
「独立不覊」は他人や家族などから干渉や束縛されない、自分の考えで行動するという意味で、要するに自我の確立や個人としての独立となる四字熟語です。精神的な意味合いも強いですが、例えば、就職や進学で一人暮らしをしたり、会社を退職して独立する際などに使用する言葉となっています。