泥船渡河(でいせんとか)
「泥船渡河」とは「泥で作った船から、世渡りが困難で危険な喩え」です。泥で作ったというのは飽く迄も喩えですが、泥の船で川を渡るのはそれぐらい危険であり、危機が迫っているのが「泥船渡河」です。実際に生命を脅かすのは当然ながら、経済面や生き方におけるダメージで特に使われる傾向があります。そんな「泥船渡河」についての解説となります。
泥船渡河の意味
「泥船渡河」の意味は以下の通りです。
・人生行路が危険となる喩え。世渡りが危険な喩え。
・泥で作った船で川を渡る事から、転じて、世間との付き合いが危険な事。
・「泥船に乗りて河を渡る」の略。
”泥船”は「泥を積んだ船」「土船」「泥で作った船から、ダメになりそうな組織や計画の喩え」、”渡河”は「河を渡る」「船や橋で河川を渡る事」から、泥で作られた船で川を渡るとなり、そこから人生や世渡りが危険な喩えとなります。要するに、現在でも喩えで度々使われる「泥船」とほぼ同じ意味です。違いとしては、「泥船」の場合はより幅広い解釈が可能で組織や計画にその他全般まで使えるのに対し、「泥船渡河」は前述したような世渡りなど少し限定されますが、最近はそこまで拘らず、当然ながら意味は通用するのであまり問題はないようです。よって、「泥船」=「泥船渡河」で、泥沼・破滅・ドツボ・蟻地獄・泥沼化なども類似となります。
泥船渡河の由来・出典
「泥船渡河」の由来は、大乗仏教の「大品経」(大品般若経の略)の「三慧経」となります。
泥船渡河の類義語・同義語
「泥船渡河」の類義語には、「風前之灯」「焦眉之急」「危急存亡」などが挙げられます。
泥船渡河の使い方・例文
例文1.氷河期世代なので世間がコロナや経済で泥船渡河になって悲観していくほど、内心は少し喜んでいる自分がいてしまう。
例文2.今後の日本はアメリカに付いても中国に付いても、その結末は泥船渡河が待っているだろう。
例文3.テレビやネットでは論破する者が求められ称賛されるが、どんなに相手を言い負かしてもその先には泥船渡河が待っているだけではないのか。
例文4.泥船渡河だからもがくべきなのか、それとも泥水までも受け入れて投げ出して終わりにするべきなのか、正解はよく分からない。
例文5.脱サラして飲食店をオープンしたが、最初の三日間はお客が一人もやってこず、泥船渡河な船出だと我ながら無謀さに呆れてしまった。
様々な先行きの危うさについて「泥船渡河」を使った例文です。
泥船渡河の会話例
悲観的な恋人同士が現在や将来について会話をしています。
泥船渡河の豆知識
「泥船渡河」のように”危険”に関する四字熟語は、細い糸で千鈞もの重量を吊るす事から危険な喩え「一縷千鈞」、髪の毛で重いものを引く事から危険な喩え「一髪千鈞」、虎の尻尾や春の氷から危険な喩え「虎尾春氷」、非情に切迫し差し迫った危険の喩え「燃眉之急」、便利な物も使い方を誤ると危険になる「諸刃之剣」などがあります。
泥船渡河の難易度
「泥船渡河」は漢字検定準2級から9級相当の文字組み合わせで、”泥”は準2級で高校レベル、”渡”は4級で中学レベル、”河”は6級で小学校高学年レベル、”船”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。
泥船渡河のまとめ
「泥船渡河」は泥で作った船で川を渡る事から、人生の生き方や世渡りが危険な喩えです。また、何かとよく使われる「泥船」ともほぼ同義で、要するに泥で出来ている船なのでいつ沈んでもおかしくなく、それが危険が迫っていると解釈できます。