【拱手傍観(きょうしゅぼうかん)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

拱手傍観(きょうしゅぼうかん)

日頃大人しい性格だと、つい何事も他人任せにしてしまいませんか? 積極性がないというか、自分が出しゃばるよりも、他の人に任せた方が良いだろうという最善判断のつもりですが、これが周囲から見るとやる気がないや消極的とうつる場合もあるのです。だから人付き合いって、本当に面倒ですよね。傍観者というのは特に日本ではいちばん良いポジションなはずですが、これも最近の会社や職場では「やる気なし」として厳しい評価を下される事も多くなっているようです。そんな傍観者に厳しいのは古代中国でも同様なようで、それを言い表す「拱手傍観」についての解説となります。

拱手傍観の意味

「拱手傍観」の意味は以下の通りです。
・手をこまねいて何もしない、また傍で見ているだけ。
・手を出さないで黙って見ているだけ。
・判断すべき重大な事態でも見ているだけの態度を批判して使う。
・「こうしゅぼうかん」とも読み、”傍”を”旁”に変えた「拱手旁観」も同義となる。
”拱手”は「(中国の敬礼で)お辞儀をする」「手をつかねて何もしない」「腕組み」「手を出さない」、”傍観”は「傍で見ている」「関与せずに見ているだけ」となり、どちらも「見守るだけ」という同じ意味を繰り返しています。日本人的な感覚では、親が子を見守るや邪魔をしないで見ているという受け止めもありますが、本来は何も行動をしないで見ているだけの態度を批判する際に使う事が多いです。所謂、”傍観”に対するネガティブな意味合いがそのまま当て嵌まる感じです。”傍観”には、安全圏で見ているだけ、知らん顔、高みでの見物といった感もあるので、それが「拱手傍観」となると、中国式の敬礼や腕組みをしているだけで後は一切何もしないと解釈できます。使い方としては、「拱手傍観している」「拱手傍観して黙視する」といった形が多くなります。因みに、”拱手”は「拱手礼」とも呼ばれ、左手で右手のグーを握るような挨拶で、女性は反対に右手が上になり左手を包むようになります。

拱手傍観の由来・出典

「拱手傍観」の由来は、残念ながら不明です。”拱手”は中国だけでなく韓国や沖縄などに古くから残る伝統的な礼儀であり挨拶です。古代中国の戦国時代には、有名な武将達が既にこの挨拶をしていたと伝えられています。

拱手傍観の類義語・同義語

「拱手傍観」の類義語には、「隔岸観火」「袖手傍観」「冷眼傍観」などが挙げられます。

拱手傍観の使い方・例文

例文1.担任教師は教え子の自主性を促すとして拱手傍観を徹していたが、今になって考えると単に教えるのが面倒だったのだろう。
例文2.新人の頃から何かと理由を付けて拱手傍観をしていたので、30代になっても仕事が出来ないサラリーマンの典型になってしまった。
例文3.コロナ渦でも何もしないし、そもそもそんな力もない拱手傍観な政治家を見ていると、内閣と地方の首長だけ存在すれば後は存在価値がないと分かってしまった。
例文4.父親は飲んでは暴れる昭和世代特有な人だったが、家族が本当の危機に陥っても拱手傍観で、結局は酒の力を借りないと何も出来ない人だった。
例文5.拱手傍観な男にはならないと誓い、今から偉人達の伝記本を読み漁り生き様を胸に刻んでいる。
口だけで行動力がなく存在意義がない人達を「拱手傍観」とした例文です。

拱手傍観の会話例

男性
ところで、今日の子供の参観日どうだった?
女性
それがあの子ったら、あまりやる気がないのよね。他の子は積極性があるのに、うちの子は黙って眺めているだけって感じなの!
男性
まあ、まだ小さいしな。積極性がなくてもいいんじゃないか!
女性
あなたまで、そんな事を言わないでよ。このままじゃ、大人になってもボーっと拱手傍観しているだけになるわよ。だから、塾でも通わせましょうよ。

小学生の息子の参観日に出席した母親に、父親が感想を聞いています。

拱手傍観の豆知識

「拱手傍観」の類語「袖手傍観」と「冷眼傍観」の微妙な違いについての解説となります。「袖手傍観」は何もしないで見ているだけで、「拱手傍観」と同様に傍観者という意味合いが強くなります。”袖手”は袖の中に手を入れる事なので、明らかに手を出す気がないと理解できます。「冷眼傍観」は冷ややかな態度で見ているとなり、こちらも傍観者には変わりありません。”冷眼”は冷静な目つきともなるので、もしかしたら「拱手傍観」や「袖手傍観」よりは事態を真剣に眺めているのかも知れません。しかし、この”傍観”を使った三つの四字熟語には明確な違いはなく、使い方はそれぞれの裁量に任せられています。

拱手傍観の難易度

「拱手傍観」は漢字検定1級から10級相当の文字組み合わせで、”拱”は大学一般レベル、”傍”は4級で中学レベル、”観”は7級で小学校中学年レベル、”手”は10級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

拱手傍観のまとめ

「拱手傍観」は手をこまねき何もしないという意味で、まるで傍観者の様に眺めるだけで手助けや重要な判断などをまったくしない事を批判めいて使う四字熟語です。要するに、口も出さないが手も出さない役立たずな人を厳しく非難しています。また、平時なら傍観者でも問題がないかもしれませんが、重大な事態でも何もしない場合を特に「拱手傍観」と表現します。

拱手傍観で何もしない
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