【抑揚頓挫(よくようとんざ)】の意味と例文と使い方

抑揚頓挫(よくようとんざ)

「抑揚頓挫」とは「文章や会話などで調子を上げ下げして勢いを変えたりする事」です。どんなに良い話でも一本調子で淡々と続くと、退屈で思わず眠くなってしまいますよね。ですから、途中で声の大きさやリズムに変化を付けたり、真面目話に冗談を入れたりすると話に惹き込まれて印象深くなるのです。それが「抑揚頓挫」で、巧みな会話スキルや文章テクニックとも解釈可能な言葉となっています。それではより詳しい解説に入らせて頂きます。

抑揚頓挫の意味

「抑揚頓挫」の意味は以下の通りです。
・言葉や文章の調子を上げ下げしたり、勢いを急に変える等をする事。
・話し方や文章の用法についての言葉で、調子や勢いを急に上げたり下げたりして変化を与えて表現力を高めたり、印象に残るようにするテクニック。
”抑揚”は「抑えたり上げたりする」「会話や音楽や文章などで調子の上げ下げ」「貶したり褒めたり」、”頓挫”は「勢いが弱まる」「力が急に挫ける」「文章や議論などで高まった後に急に調子を落として変化させる」で、どちらも同じような意味合いを持つ言葉となっています。それを繰り返して、声や文章などの調子を上げ下げする事で印象に残るようにするテクニックが「抑揚頓挫」です。ですから、会話や文章が得意な人は、このテクニックを自然なり意識して用いているのです。例えば、標準語よりも訛りある言葉の方が感情が伝わりやすかったり、或いは記憶に残るのも「抑揚頓挫」が関係していると言っても過言ではありません。

抑揚頓挫の由来・出典

「抑揚頓挫」の由来は、中国南宋時代の政治家・謝枋得による選集文献「文章軌範」となります。

抑揚頓挫の類義語・同義語

「抑揚頓挫」の類義語は残念ながらありません。比較的に近いのが「軽妙洒脱」、四字熟語以外なら「アクセント」「イントネーション」「音調」などがあります。

抑揚頓挫の使い方・例文

例文1.忘年会での部長の挨拶は抑揚頓挫が巧みで、酔いが一気に醒めてしまうほどだ。
例文2.なぜ凡庸でありがちな物語のこのドラマを毎回欠かさずに見るのか考えてみたら、役者の演技や声が抑揚頓挫でとても上手いからだと気が付いた。
例文3.赤子や愛犬ですら抑揚頓挫で感情を表現するのに、最近の若い世代は何でもスマホばかりで感情を表に出さず、それどころか携帯会社に料金やデーターが搾取される事を喜びと感じる変わった感性の持ち主ばかりだ。
例文4.退陣会見では饒舌で抑揚頓挫を披露するが、自分の不都合な事が訊かれる国会答弁は同じ発言を繰り返すという暴挙を平然と繰り返す。
例文5.街頭演説など見ず知らずの他人に共感を得てもらう時は、抑揚頓挫なスキルが必須である。
文章や会話の抑揚についての例文となります。

抑揚頓挫の会話例

男性
そろそろ、ニュース番組を見ない?
女性
もうそんな時間だね。チャンネルを変えないと。
男性
でも、アナウンサーってどうやったらこんなに上手に原稿を読めるんだろうね?
女性
本当ね。訛りが多い私達夫婦じゃ絶対に無理。それに抑揚頓挫がある読み方がまたいいのよね。

ニュース番組を観ている夫婦が感想を言い合っています。

抑揚頓挫の豆知識

「抑揚頓挫」から”話し方”や”口調”に関する四字熟語は、文章や話が秩序立って論理で展開される「理路整然」、音楽や口調や文章などが単純で変化に乏しい「一本調子」、会話や文章が軽やかで洗練されている「軽妙洒脱」などがあります。

抑揚頓挫の難易度

「抑揚頓挫」は漢字検定2級から3級相当の文字組み合わせで、”頓”と”挫”は2級で高校卒業レベル、”抑”と”揚”は3級で中学卒業レベルの四字熟語となります。

抑揚頓挫のまとめ

「抑揚頓挫」は言葉や文章の調子の上げ下げの事で、人の心に訴えるような会話や文などに対して使われます。緩急であったり勢いとも言い換えられ、これを巧みに使うと相手に強く印象を残せるのです。政治家や有名人などで話が上手いと評判の多くは、自然と「抑揚頓挫」になっているのです。

抑揚頓挫で話してる様子を絵にした画像
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