【前虎後狼(ぜんここうろう)】の意味を例文や会話、由来・出典まで解説!

前虎後狼(ぜんここうろう)

「前虎後狼」とは「前から虎、後ろからは狼となり、災難が次々訪れる喩え」です。日常生活でも一つの苦労が終わったと思ったら、今度は別の問題が発生して頭が痛くなる事ってよくありますよね。それが「前虎後狼」なのです。古代中国は虎や狼が多かったようなので、そんな不幸な遭遇を言い表している言葉となっています。それでは解説に入らせて頂きます。

前虎後狼の意味

「前虎後狼」の意味は以下の通りです。
・災難など苦難が次々と起こる。
・一つの災難が終わっても、また次の災難に襲われる喩え。
・前から来る虎を防いでも後ろから狼がやって来る事から、転じて、試練が次々降り掛かる事。
・諺「前門に虎を拒ぎ後門に狼を進む」を略したもの。
・諺「前門の虎、後門の狼」も同義。
”前虎”は「前から虎が来る」「前から虎が襲ってくる」、”後狼”は「後ろから狼が来る」「後ろから狼が襲ってくる」で、前後から獣に襲われるのが「前虎後狼」です。そこから「絶体絶命」に近い意味合いの言葉で、一つの災難が去っても新たに次の災難がやって来るという、災難が連続する喩えです。よって諺の「一難去ってまた一難」は完全な同義となり、災難や不幸続きで困難な状況を言い表しています。厳密には、虎に襲われる事態を避けた後に、今度は狼にも襲われそうになるという解釈が正しいようで、従って虎と狼の板挟みや前後に逃げ場がないとするのは誤りです。

前虎後狼の由来・出典

「前虎後狼」の由来は、中国元時代の学者・趙雪航(趙弼)の書物「評史」となります。

前虎後狼の類義語・同義語

「前虎後狼」の類義語には、「舎虎逢狼」「前狼後虎」などが挙げられます。

前虎後狼の使い方・例文

例文1.よっぽど前世の行いが悪かったのか、私の人生はこれまで何度も前虎後狼な目に遭ってきて、もう嫌になる。
例文2.数学で赤点を取ると、必ず英語も赤点で前虎後狼とはこの事だ。そして家に帰ると両親からテスト結果で大目玉が待っている。
例文3.安い中古車を購入したら、バッテリーが上がったと思ったら今度はタイヤ交換やエンジンオイル交換と次々出費がやってきて、これは前虎後狼ではないかと思ってしまう。
例文4.都会の若者はコロナを舐めているようだが、命は落とさなくても高熱が続き、治っても味覚障害や抜毛に体調不良が続くという前虎後狼に陥るのに、それでも遊びを重要視するのだから笑ってしまう。
例文5.昔は不良連中が常に町中を闊歩していたので、大通りで絡まれて何とか逃げると今度は裏通りでカツアゲに遭うという前虎後狼な不運が本当によくあったのだ。
日常生活での様々な災難や不運について「前虎後狼」を使った例文です。

前虎後狼の会話例

男性
どうしたの酷い有様だね。
女性
おかえりー。丁度いいところ、手伝ってよ。
男性
部屋がグチャグチャだよ。何があったの?
女性
雨が降ってきたから急いで洗濯物を入れていたら、部屋で転びそうになって「危ない」って大声を出したら…、そしたら猫が驚いてテーブルの上の物を落としてって散々。久しぶりに前虎後狼な出来事に遭遇したわ。

愛猫によって散らかってしまった部屋を見て驚いた夫と妻の会話です。

前虎後狼の豆知識

「前虎後狼」から”災難”に関する四字熟語は、他人の災難に手を貸さず傍観しているだけの「隔岸観火」、病気や災難から逃れる為に神や仏に祈る「加持祈禱」、災難を未然に防ぐ喩え「曲突徙薪」、十七歳や四十九歳などは災難が多いという俗信の「七難九厄」、あらゆる苦しみや災難の「七難八苦」などがあります。

前虎後狼の難易度

「前虎後狼」は漢字検定準1級から9級相当の文字組み合わせで、”狼”は準1級で大学一般レベル、”虎”は2級で高校卒業レベル、”前”と”後”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

前虎後狼のまとめ

「前虎後狼」は、前から来る虎を防いでも今度は後ろから狼がやって来るという事で、そこから、不幸や災難が次々と降り掛かるという意味です。連続して訪れる災難に困惑する言葉で、諺の「一難去ってまた一難」とまったく同じ意味と言えます。

前虎後狼の虎。
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