【鱸膾蓴羮(ろかいじゅんこう)】の意味と例文と使い方

鱸膾蓴羮(ろかいじゅんこう)

「鱸膾蓴羮」とは「故郷を思い出す料理から、懐かしく思い慕う情の事」です。誰しも故郷には特別な思いがあるでしょうが、進学や就職で東京に上京をした人は尚更ではないでしょうか? そんな思いは今も昔も変わらず、古代中国でも地方から都会に出た人は故郷への思いを募らせていたようです。

鱸膾蓴羮の意味

「鱸膾蓴羮」の意味は以下の通りです。
 ・故郷を懐かしむ思い。故郷を懐かしく思い慕う情。
 ・故郷の懐かしい味や料理。
 ・逆さにした「蓴羹鱸膾」も同義。
 ・ジュンサイの吸い物とスズキの刺身から、故郷の懐かしい味を思い出して望郷の念に苛まれる事。
”鱸膾”は「スズキの刺身料理」、”蓴羮”は「ジュンサイの吸い物」で、中国晋時代の江南の料理とされるスズキの刺身とジュンサイの吸い物から故郷を懐かしむ気持ちや思いが「鱸膾蓴羮」です。晋時代の故事「晋書」によると、文人・張翰は故郷の料理であるスズキの刺身とジュンサイの吸い物を食べたいあまり仕事を辞めて田舎に戻ってしまった事から、故郷を懐かしむ気持ちの喩えとなります。

鱸膾蓴羮の由来・出典

「鱸膾蓴羮」の由来は中国晋時代の歴史書「晋書」の張翰伝となります。

鱸膾蓴羮の類義語・同義語

「鱸膾蓴羮」の類義語には、「越鳥南枝」「狐死首丘」などが挙げられます。

鱸膾蓴羮の使い方・例文

例文1.共働きの両親の下で育ったので、スーパーの惣菜は自分にとっては鱸膾蓴羮と呼べる懐かしい味でありご馳走である。
例文2.田舎の料理が美味しいと言うのは大ウソで、これだけ全国各地に配送システムが確立された今では、腕の良い都会のシェフが吟味した新鮮食材で作る料理が鱸膾蓴羮であると断言したい。
例文3.ネット動画を見ていると行った事もない田舎を鱸膾蓴羮と錯覚してしまうが、同じ場所でも投稿者が変わると何とも思わないのだから、美味しく感じるのは単に動画の編集テクニックなだけである。
例文4.人生の半分以上を刑務所で過ごせば、鱸膾蓴羮に思うのは囚人料理という事なのだろう。
例文5.毎晩一日の終わりにバナナを食べて牛乳を飲むので、偶然昼にバナナや牛乳を飲み食いすると鱸膾蓴羮のような気持ちが芽生えて、仕事を投げ出したくなる。
「鱸膾蓴羮」を使った例文となります。

鱸膾蓴羮の会話例

男性
お盆休みは実家に帰るんでしょう?
女性
コロナで帰れなかったけど、やっと制限なしになったから、これで堂々と帰れるわ。
男性
やっぱり実家の料理が楽しみなの? 鱸膾蓴羮って言うし、母親の手料理は格別だよね。
女性
それが今でも月に数回ぐらい母の手料理を宅配で送ってもらうから、実はあまり恋しくはないのよ。

職場の同僚女性が久しぶりに実家に帰省するという会話内容です。

鱸膾蓴羮の豆知識

「鱸膾蓴羮」から”故郷”に関する四字熟語は、故郷を忘れない喩え「狐死首丘」、人が今生きているのはこの世に身を置いているだけで、死ぬ事は故郷に帰るように本来居るべき場所に落ち着くという「生寄死帰」などがあります。

鱸膾蓴羮の難易度

「鱸膾蓴羮」は漢字検定1級相当の文字組み合わせで、”鱸”と”膾”と”蓴”は1級で大学一般レベル、”羮”は常用外漢字の四字熟語となります。

鱸膾蓴羮のまとめ

「鱸膾蓴羮」は故郷を懐かしく思う気持ちであり、ふるさとの味の事です。母親の手料理などはふるさとの味とされますが、古代中国の故事ではジュンサイの吸い物とスズキの刺身を懐かしい味としてこれを食べると故郷を思い出すそうです。

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