【阡陌交通(せんぱくこうつう)】の意味と例文と使い方

阡陌交通(せんぱくこうつう)

「阡陌交通」とは「田んぼのあぜ道」です。あぜ道とは隣合う田んぼの間にある道で、要するに農道などの事です。一般的には軽トラなどが通れる道幅が確保されている感がありますが、中には人が通れる程度の細い道もあぜ道と呼ぶので、その辺りは様々なのでしょう。そんな「阡陌交通」についての解説に入らせて頂きます。

阡陌交通の意味

「阡陌交通」の意味は以下の通りです。
・あぜ道が張り巡らされている。
・田んぼのあぜ道が四方に通じていて、どこへでも行ける事。
・「阡陌交通ず」と訓読する。
”阡陌”は「東西南北に通じるあぜ道」「十字路のあぜ道」、”交通”は「どこにでも通じる道」で、上記のようにあぜ道が張り巡らされている、四方に通じる十字路のあぜ道が「阡陌交通」です。一般的な普通の道路の十字路は「四通八達 」となるので、飽く迄もあぜ道の十字路に限定しています。よって、田んぼ道・農道・畑道なども類似の表現です。自論も含めると、かつての古代中国は田畑が現在よりも多く、あぜ道である「阡陌交通」があちこちにあったのでしょう。そこでの様々な日常的な様子を「阡陌交通」という言葉を使って表現していたと思われます。

阡陌交通の由来・出典

「阡陌交通」の由来は、中国晋時代の詩人・陶潜の伝奇小説「桃花源記」となります。

阡陌交通の類義語・同義語

「阡陌交通」の類義語には、「四通八達 」「四衢八街」「四通五達」などが挙げられます。

阡陌交通の使い方・例文

例文1.田舎の実家に帰ると、子供の頃に小学校の行き帰りで通った阡陌交通を見るととても懐かしく感じる。
例文2.今後は高齢化社会が進むので、整理されず荒れ放題な阡陌交通がさらに増えていく事だろう。
例文3.阡陌交通から虫の鳴き声が聞こえてきた。
例文4.トラクターまでハイブリッドになれば、阡陌交通を走る音も静かになるが、どこか物足りなさを覚えてしまう。
例文5.昔のお笑い番組は田んぼや阡陌交通を使ったおふざけ企画があったが、今ではまったくなくなり寂しい限りだ。
田んぼのあぜ道として「阡陌交通」を使った例文となります。

阡陌交通の会話例

男性
地元ってどんな感じ?
女性
私は福島の郡山なので、程々の田舎だけど生活する分では不便はないですよ。完全な車社会ですけど。先輩は?
男性
郡山は都会だよ。俺の実家は村だから、本当に田舎。それこそカエルやコオロギが阡陌交通で毎晩合唱しているからね。
女性
それはそれで趣があるじゃないですか。でも地元の話をしていると、段々と懐かしくなって帰りたくなりますね。

職場の同僚男女が互いの地元や実家について会話をしています。

阡陌交通の豆知識

「阡陌交通」から”田んぼ”や”田畑”に関する四字熟語は、晴れた日は田畑を耕し雨の日は読書をして心穏やかに暮らす「晴耕雨読」、男は田畑を耕し女は機を織るという天から与えられた職分の「男耕女織」、肥えた田んぼを買わない事から子孫を甘やかす遺産を残さない「不買美田」、自分の田んぼだけに水を引く事から自分勝手という「我田引水」などがあります。

阡陌交通の難易度

「阡陌交通」は漢字検定1級から9級相当の文字組み合わせで、”阡”と”陌”は1級で大学一般レベル、”交”と”通”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

阡陌交通のまとめ

「阡陌交通」は”阡陌”があぜ道、”交通”は道路が張り巡らされているとなるので、二つを合わせて田んぼのあぜ道が張り巡らされている事で、要するに田んぼの十字路です。大昔の中国や日本は農地が今よりも多く、それこそ現在の都会でもあちこちにあったと想像できます。そんな点在するあぜ道を表しているのが「阡陌交通」なのです。

あぜ道が張り巡らされている画像
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