壺中之天(こちゅうのてん)
「壺中之天」とは、壺(つぼ)の中の世界を表す四字熟語で「別世界や酒を飲んで俗世間(一般の暮らしをしている世界)を忘れる」といった意味を持ちます。人は誰しも現実世界から目を背けたくなったりお酒の力に頼って日常を忘れようとします。今回はそんな意味を持つ「壺中之天」の解説です。
壺中之天の意味
壺中之天の意味は以下の通りです。
・別世界、別天地。
・酒を飲んで俗世間を忘れること。
・現世から離れた理想郷。
壺の中(壺中)にある楽園(天)を意味しています。背景としては中国後漢の時代に費長房(ひちょうぼう)という人がいました。ある日薬を売る老人が薬を売り終わると壺の中に入っているのを見て一緒に中に入れてもらうと中には立派な建物があり、美味しい料理やお酒が並んでいました。老人と費長房はそれを存分に楽しみ壺から出てきたという故事からできた四字熟語です。
壺中之天の由来・出典
「壺中之天」の出典は、中国後漢朝について書かれた歴史書である「後漢書(ごかんじょ)の方術伝」であり、費長房という役人が薬売りの老人と壺の中に入って、別世界を楽しんだという話からきています。
壺中之天の類義語・同義語
「壺中之天」の類義語には、「壺中天地」「楽園」「壺中の天」が挙げられます。
壺中之天の使い方・例文
例文1.ラスベガスはギャンブラーにとって壺中之天のような場所だ。
例文2.仕事が忙しくストレスが溜まっているので、願わくば壺中之天のような場所に行きたい。
例文3.壺中之天ではないが、今日は浴びるほどお酒を飲みたい気分だ。
例文4.壺中之天を憧れて海外に飛び出たが現実はそれほど変わらなかった。
例文5.意味もない日常に嫌気がさしてどこか壺中之天のような場所へ行きたい。
「壺中之天」を使った例文となります。
壺中之天の会話例
会社の同僚同士の会話です。
壺中之天の豆知識
「壺中之天」の元となった故事に出てくる老人は神仙(しんせん)で罪を償うために下界(人間の世界)に降りてきたそうです。
壺中之天の難易度
「壺中之天」は漢字検定準1級から10級相当の文字組み合わせで、”壺”は準1級で大学・一般レベル、”中”は10級で小学1年生レベル、”之”は準1級で大学・一般レベル、”天”は10級で小学1年生レベル、の四字熟語となります。
壺中之天のまとめ
毎日のように同じ日々を過ごしていたりストレスが溜まってくるとどうしても日常を忘れたいと思うものです。昔も今も今の世界を離れて全く別の世界で何も考えずに過ごしたいと思う気持ちは同じなのですね。辛いと思ったら小さな幸せを見つけて噛み締めましょう。