【現状維持(げんじょういじ)】の意味と例文と使い方

現状維持(げんじょういじ)

日本が観光大国を目指しているのは知っていますよね。世界的な観光人気にあやかり、東京五輪なども背景にしてインバウンド消費を目論んでいるのです。そして、日本人自体も旅行が大好きなので、外国人旅行客が増えれば、それが日本人マインドにも好影響となる算段だったのです。しかし、コロナで目論見が見事に崩れつつありますが…。閑話休題、Go To トラベルもありますが日本はそれだけ旅行に力を入れているのに、国や文化や国民性としては閉鎖的ですよね。何事も「現状維持」を好み、流行に敏感な若い世代でも、肝心な部分は変化を嫌い急に保守的で古風を装います。そんな「現状維持」についての解説となります。

現状維持の意味

「現状維持」の意味は以下の通りです。
・現状をそのままにして保つ事。
・現在の状況や情勢のままで、そのまま変えずにおく。
”現状”は「現在の状態」、”維持”は「現在の状態を保つ」「持ちこたえる」となり、現在の状態を保つのが「現状維持」です。主に使われる機会が多いのは、政治経済では経済対策や選挙戦、社会インフラ工事、学校成績、プロ野球の契約更改、個人の性格などとなります。「現状維持」には責任逃れや放棄、変化を恐れるや嫌う、面倒事を避けるといった人間の本質的な心理も隠れています。現状に特別満足していないが、大きな不満も無ければ、敢えて行動をする必要がないと思ってしまうのです。良い状態を続ける「現状維持」なら理解できますが、悪い状態でも変える事でさらに悪化するのではという思いから「現状維持」にしがみ付く事もよくあります。それが顕著なのが現在の日本で、欧米各国では人々がデモなどで社会不満に大きな声を上げるのに対し、日本人全般や若者世代まで目を背けたり無関心を装います。将来的にはさらに大きな問題なると理解しても、それより「現状維持」の居心地良さを最優先とするのです。中高年世代はさらに顕著で、どんなに問題が山積みでも、自分達が良ければいいので責任逃れとして「現状維持」を非常に好みます。変化を嫌う国民性と言えばそれまでですが、出る杭は打たれる社会が長年続き「現状維持」で穏便に過ごした結果、弊害が目立っても改善できなくなったしまったのは皮肉ではないでしょうか。使い方としては、「現状維持する」「現状維持の方向」「現状維持のまま」といった形になります。

現状維持の由来・出典

「現状維持」の由来は、残念ながら不明です。文献としては、明治大正を代表する小説家・森鴎外の著書「吃逆」(1912年)などに文言が記されています。

現状維持の類義語・同義語

「現状維持」の類義語には、「現状凍結」「現状保持」「成長維持」などが挙げられます。

現状維持の使い方・例文

例文1.プロ野球の契約更改が行われ、昨年活躍した人気選手は現状維持だったが満足気に記者会見に応じた。
例文2.上司に職場改善を申し入れたが、不満そうな顔をしてだけで結局は現状維持で続く事になった。
例文3.日本のお得意は現状維持で、役所に改善を求めても声が通る事は皆無だ。
例文4.息子に成績を聞いたら笑顔で現状維持と答えたが、もともとクラスでビリの方だろうと思ったが、俺に似たんだなと口を噤んだ。
例文5.家族関係は現状維持、給料は激減、ボーナスは見送り、体重は大幅増、糖尿病は大幅悪化が今年一年の総評だ。
家族関係、プロ野球の契約更改などで「現状維持」を使った例文です。

現状維持の会話例

男性
ところで、お願いがあるんだけど…。
女性
もしかして、あれの事?
男性
そう、あれ! 今年は俺、一生懸命働いたよ。世間がコロナで給料下がると叫ばれる中、俺は逆に給料を上げたんだよ。だから、小遣いをアップしてくれよ。頼む!
女性
現状維持にしようと思っていたけど…、分かりました。じゃあ千円アップで、来年から毎月1万2000円ね!

夫が妻に小遣いアップを懇願する会話です。

現状維持の豆知識

「現状維持」はネガティブな印象が強い言葉ですが、工事に関してはそうではありません。現在の状況を維持する工事なので、老朽化した道路や橋梁などの工事はインフラ整備として重要な事です。また、道路工事は新設工事・改良工事・維持修繕工事に分類され、それぞれ役割が違ってきます。それ以外でも、投資世界などで使われる「現状維持バイアス」という専門用語は、変化は避ける心理作用で、損切りをしなければいけないと分かっているが、自分に都合良く理由付けして苦痛を回避する考えです。これは投資以外でも、日常生活でも多々その様な場面があります。

現状維持の難易度

「現状維持」は漢字検定4級から8級相当の文字組み合わせで、”維”は4級で中学レベル、”現”と”状”は6級で小学校高学年レベル、”持”は8級で小学校中学年レベルの四字熟語となります。

現状維持のまとめ

「現状維持」は、現在の状況を変化させずにそのままにする事です。新しい変化よりも、物事が良くても悪くても現在のままを選択し、特に日本ではその傾向がどの年代でも高い所があります。責任逃れ、面倒事を嫌うのが「現状維持」でもあるので、国民性や習慣なども大きな影響を与えて国民に深く根付いてしまっているようです。

現状維持は後退と同義
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