【阿諛便佞(あゆべんねい)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

阿諛便佞(あゆべんねい)

あなたの周囲にも、仕事や勉強は出来ないのに上司や教師へのおだて・持ち上げが上手で、妙に気に入られる要領が良い人っていませんか? 良く言えば有能なんでしょうが、悪く言えば口先だけで同僚や仲間からは嫌われるタイプです。「阿諛便佞」とはそんなタイプを言い表し、口先達者な人となります。それでは、より詳しい解説をさせて頂きます。

阿諛便佞の意味

「阿諛便佞」の意味は以下の通りです。
・相手が気に入る様に口先巧みに調子を合わせる。
・相手の懐に飛び込み、調子良く合わせて振る舞う。
・心にもないお世辞などで相手を上機嫌にさせるが、言葉には正直さや誠意が欠けている。
・「阿諛弁佞」とも書き同義となる。
平たく言うなら、「阿諛便佞」は「おべっかを使う」「ごますり」「太鼓持ち」などの事です。仕事なら、上司や取引先など自分よりも立場が上の者に、お世辞や媚びを売って、とかく気に入られ様とする行動や会話の事です。大なり小なり、特に社会人なら多少はその様な事をするものですが、通常範囲が社交辞令とするなら、それ以上の第三者が見たら度を越しているのが「阿諛便佞」ではないでしょうか。”阿諛”は「顔色を見て相手が気に入る様に振る舞う」、”便佞”は「口達者だが心に誠実さがない」となります。

阿諛便佞の由来・出典

「阿諛便佞」の由来は、残念ながら不明です。文献としては、”阿諛”は臨済宗の僧・義堂周信による南北朝時代の漢詩文集「空華集」(1359年頃)、”便佞”は日本の歴史文学「太平記」(14世紀後半)等にそれぞれ文言が記されています。

阿諛便佞の類義語・同義語

「阿諛便佞」の類義語には、「阿附迎合」「阿諛追従」などが挙げられます。

阿諛便佞の使い方・例文

例文1.同期による部長への過剰なごまをする阿諛便佞な姿を見ると、よくやるなーと呆れるが、本音ではそこまでサラリーマンに徹せられない自分が腹立たしい。
例文2.阿諛便佞をバカにする者もいるが、立派な社会を生きる上での処世術だ。
例文3.阿諛便佞をしないで済むのは、本の一握りのエリートや天才だけだろう。
例文4.女性の阿諛便佞とは色目使いで、これに勘違いをして自分もまだまだイケると勘違いをする中年男性も多いようだ。
例文5.結局は人間同士の交流なので、阿諛便佞な方が出世や社会に溶け込むのは間違いない。
「阿諛便佞」を肯定的に捉えた例文となります。

阿諛便佞の会話例

男性
見て、新型iPhoneを手に入れたよ。
女性
いいなー。早くも新型ゲットですか。あれ、それって限定カラーじゃないですかー! さすが先輩はオシャレでカッコ良すぎますよー。
男性
やっぱり分かる! これ限定物なんだよねー。でも少し褒め過ぎじゃない。
女性
そんな事はないですよ。褒め殺しとか阿諛便佞だと思わないで下さい。もう心の底から尊敬しています。

新型iPhoneを手にした職場の男性先輩に対し、後輩女性が過剰におべっかを使っている様子です。

阿諛便佞の豆知識

「阿諛便佞」は口先が巧みとなりますが、これはある意味で”狡猾”とも取れます。”狡猾”は狡賢い・計算高いとなり、四字熟語では「狡猾老獪」「海千山千」「奸佞邪知」などです。「奸佞邪知」は媚びへつらうという意味なので、「阿諛便佞」ともかなり近い意味が込められています。そして、「八方美人」「外交辞令」なども「阿諛便佞」とほぼ同義と言っても差支えないと思われ、結局は微妙なニュアンス違いはありますが、その状況に応じて使い分けるしかありません。

阿諛便佞の難易度

「阿諛便佞」は漢字検定1級から7級相当の文字組み合わせで、”佞”と”諛”は1級、”阿”は準1級でそれぞれ大学一般レベル、”便”は7級で小学校中学年レベルの四字熟語となります。

阿諛便佞のまとめ

「阿諛便佞」は、相手に気に入られようと口先達者で調子よく合わせる、またその様な人の事です。所謂、おべっか使いや太鼓持ちと同じで、社会人になると特にサラリーマンの営業で多いタイプです。心にもない言葉を巧みに使い分け、おまけに感情がないので第三者からは嫌われるタイプですが、生きる上での処世術とすれば実に賢く、現に出世が早いのも事実です。

阿諛便佞に調子を合わせる女性
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