【義理一遍(ぎりいっぺん)】の意味と例文と使い方

義理一遍(ぎりいっぺん)

生まれた時から日本で生活していると何とも感じませんが、他所の国から来た外国人から言わせると、独特の”義理”を大切にする文化に困惑をするそうです。本心や本気で思っていないのに、礼儀や世間体のあまり物を贈ったりするのは、なかなか理解し難いものがあるようです。そこに”恥”という、本来おかしいと思う事でもそれを否定するのはよろしくなく、黙認するのが美徳とする文化も加わると、一層理解され難いのは想像が付きます。この様な日本人ならではの感覚めいたものの中で、今回の「義理一遍」はそんな曖昧とも言える表現であり、世間を気にする態度の事です。その人の匙加減や気質、さらに時代背景や地域などにも大分左右される言葉ですが、解説に入らせて頂きます。

義理一遍の意味

「義理一遍」の意味は以下の通りです。
・世間体を飾る為の形式的な物事や対応をする事。通り一遍。
・心は籠っていないが、世間体を考えた上での形式的な物事。
・諺「道理百遍、義理一遍」から後半部分を抽出したもの。
”義理”は「物事の正しい筋道」「人が守るべき道」「付き合い上の仕方ない行為」、”一遍”は「一回」「一度」「心が籠らない」で、「心は籠っていないが世間体を気にして形式的に物事に対応する」となります。元の形は諺「道理百遍、義理一遍」からで、「道理を百回聞かせるより、義理を尽くした行為を見せると人の心を動かせる」という意味で、そこから「義理一遍」だけになると上記の様な意味合いになります。世間体の考えた形式的な対応とは、簡単に言うなら「義理事」を大切にすると理解できます。例えば、お世話になった人にお歳暮やお中元を贈ったり、お土産のお返しをする、香典を出すなどの行為です。これらは「義理事」とも呼び、贈らなくて良い場合も世間体を気にして敢えて続ける事もあります。「義理事」は一方で、ヤクザが好む言葉でもあるので最近は避けて、使用しない場合もあります。よりくだけた表現なら、当人には気持ちがないなら、嫌々・しぶしぶ・仕方なし・泣く泣く・面倒・嫌々・煩わしいといった感情を抱きながら対応していると感じられます。また、実際の文章としての使い方は、「義理一遍の挨拶」「義理一遍な対応」「義理一変と感じた」といった形になります。

義理一遍の由来・出典

「義理一遍」の由来は残念ながら不明ですが、諺「道理百遍、義理一遍」か又は漢詩としての「道理百遍義理一遍」から抽出したと推測できます。文献としては、江戸時代に誕生した文芸形式の「浮世草子」の「好色五人女」(1686年)などに文言が記されています。

義理一遍の類義語・同義語

「義理一遍」の類義語には、「社交辞令」「形式主義」などが挙げられます。

義理一遍の使い方・例文

例文1.義理一遍ながらも、お正月になると甥っ子姪っ子達にお年玉を渡しているが内心は本当に複雑だ。
例文2.芸能人になると、知り合いの結婚式で義理一遍な挨拶をするのがお約束になっている。
例文3.祖父が地元ではそこそこの有力者なので、未だにお中元やお歳暮が贈られてくるが、これらは義理一遍なだけの産物そのものだ。
例文4.町内会の集まりほど、無駄な事はないと思っているが、義理一遍でも参加をしないと後で陰口を叩かれてしまう。
例文5.毎日毎朝、死んだ様な目をした社員が集まり、一応の常識として義理一遍な挨拶を同僚と済ます事ほど、間抜けな一時はないものだ。
嫌々ながらの対応を「義理一遍」とした例文です。

義理一遍の会話例

男性
しまったー。また、忘れたよ。
女性
もしかして、また忘れたのお歳暮? もう、ネットで注文すればいいんじゃない!
男性
それはダメだよ。きちんと売り場で商品を確かめて、それを贈らないと!
女性
世間はお歳暮なんて義理一遍なものよ。あなたは変な所で頭が固いから…。来週には忘れずに頼みますよ。

お世話になった人にお歳暮を出そうとしたが、思わず忘れてしまった夫と妻の会話やり取りです。

義理一遍の豆知識

”義理”に関係する四字熟語は「義理一遍」以外では、「忘恩負義」「義理人情」があります。「忘恩負義」は恩義を忘れて義理に背く、「義理人情」は義理と人情そのものです。そもそも”義理”とは日本特有の「恥の文化」と繋がり深いもので、”恥”を気にするので”義理”を大切にするのです。守るべき礼儀や常識であり、人付き合いを円滑にさせる秘訣めいたものです。そこから、お歳暮やお中元、冠婚葬祭などの習慣が義理チョコの普及にも影響を与えたと言われています。

義理一遍の難易度

「義理一遍」は漢字検定準2級から10級相当の文字組み合わせで、”遍”は準2級で高校レベル、”義”は6級で小学校高学年レベル、”理”は9級、”一”は10級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

義理一遍のまとめ

「義理一遍」は、世間体を気にするあまり形式的に物事を行うという意味で、具体的にはお歳暮やお中元から日々の挨拶などの対応をする事です。これらは面倒と思いながらも、世間体や長年の習慣として続けてしまいがちです。そんな心が籠っていない義理的な繋がりからの応対が「義理一遍」となります。

義理一遍でごまかす
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