【用管窺天(ようかんきてん)】の意味と例文と使い方

用管窺天(ようかんきてん)

「用管窺天」とは「視野が狭く見識が足りない事」です。若い時は柔軟な発想でも、年を取ると新しい事は受け付けないのでどうしても頭が固くなってしまい、それで周囲からは煙たがられたりするものです。特に成功者や頭が良い人ほど往々にしてそんな傾向に走りがちなので、皆さんも思い当たる節があると思います。とどのつまり「視野が狭い人」に正面から注意するのはなかなか骨が折れますが、「用管窺天」の解説となります。

用管窺天の意味

「用管窺天」の意味は以下の通りです。
・視野が狭く見識が足りない。
・細い管から天(空)を覗く事から転じて、視野が狭い事の喩え。
・「管を用いて天を窺う」(くだをもちいててんをうかがう)と読む。
”用管”は「細い管」「細い管を使う」、”窺天”は「天を見る」「空を覗く」となり、視野が狭い喩えが「用管窺天」です。視野が狭いとは具体的には既成概念に囚われ、枠に嵌まった物の考えしか出来ない人です。喩えとして揶揄する様に用いる事が多いので、官僚や政治家や大企業など社会的成功を収めているが、だからこそ頭が固かったり融通が利かない人に対して使う傾向があります。成績や頭脳が優れているのと、視野の広さ狭さは無関係と言いたいからでしょう。また、有名な諺であり四字熟語でもある「井の中の蛙大海を知らず」(坎井之蛙)とも同じような意味を持つ事でも知られています。「視野が狭い」とは短絡的・柔軟性がない・未熟などが類似なので「用管窺天」も同様になると理解出来ますが、一方で「視野が狭い」はポジティブな意味合いとなる場合もあり、それだけ一つの事に熱中しているので他の事が入らないともなります。今回の「用管窺天」における「視野が狭い」ではネガティブな意味合いですが、必ずそうなるとは限らずその都度違うという事です。

用管窺天の由来・出典

「用管窺天」の由来は、中国戦国時代の思想家・荘子の著書「荘子」となります。

用管窺天の類義語・同義語

「用管窺天」の類義語には、「管窺蠡測」「夜郎自大」などが挙げられます。

用管窺天の使い方・例文

例文1.理由を聞かずに怒鳴る課長は今時珍しい用管窺天で、部下からの信頼も薄い。
例文2.少子高齢化に何の対策もしてこなかった政府や官僚は、自分達が裕福だから問題ないと胡坐をかいたつけであり用管窺天そのものである。
例文3.用管窺天とならないように、子供には色んな事に挑戦させるのが良いのだろうが、それにはお金が掛かってしまう。
例文4.ネットの世界は極端な意見ばかりだが、それを見て満足している人達も用管窺天なんだろう。
例文5.平日は職場と家の往復だけ、休日は部屋に籠り筋トレという日々で我ながら用管窺天な生活と自覚はしているが、どうしようもない。
視野が狭い人やそんな生活スタイルについて「用管窺天」を使った例文です。

用管窺天の会話例

男性
あー、目が痛い。
女性
休日だからって、家でゲームやスマホばかりしていたら、そうなるわよ。
男性
うん。分かってはいるけど…。
女性
そんな事ばかりしていると、あっという間に年を取るし、用管窺天で頭が固い人になるわよ。

休日にゲームやスマホばかりの夫に対し、妻が苦言を呈する会話です。

用管窺天の豆知識

「用管窺天」は「視野が狭い」という意味なので、人間や動物の視界について解説をします。人間の視野は両目で約120度で、これは他の動物の平均値である約180度と比べてかなり低くなります。肉食動物ほど視野が狭く、反対に草食動物や魚は視野が広くなります。様々な説がありますが、食物連鎖の頂点に立つ人間は視野が狭くても生き残れるので自然と視野が狭くなり、逆に襲われる可能性が高い生き物ほど逃げられるように視野が広いと言われますが、これも絶対ではないようです。厳密には、視野以外にも色彩感覚や嗅覚や温度などの感覚めいた察知能力も関係していて、これらを総合的に加味したのが動物や生き物が捕まえたり、逃げる能力となりそうです。要するに、「視野が狭く」ても他で補えば問題ないので、これは頭が固いとする「用管窺天」にも当て嵌まる理屈ではないかと思えます。

用管窺天の難易度

「用管窺天」は漢字検定準1級から10級相当の文字組み合わせで、”窺”は準1級で大学一般レベル、”管”は7級で小学校中学年レベル、”用”は9級、”天”は10級でそれぞれ小学校低学年レベルの四字熟語となります。

用管窺天のまとめ

「用管窺天」は細い管から空を覗く事から、視野が狭いや見識がない喩えとなる四字熟語です。頭が固い、融通が利かないなども類似となり、それぐらいに偏った考えの人の事です。諺や四字熟語で有名な「井の中の蛙大海を知らず」(坎井之蛙)とも良く似ている言葉として知られています。

用管窺天な性格にならないよう、常に気をつけている。
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