得手勝手(えてかって)
満員電車での迷惑行為、コロナ渦でのマスク未着用、それからネット掲示板の誹謗中傷などからは人としての本質が見え隠れするものです。もちろん、それらの行為だけで一概に判断するのもどうかという意見もあるので、必ずしもとは言い難いですが、それでも他人に迷惑をかけている自覚は最低限持つべきではないのでしょうか。今回の｢得手勝手｣は迷惑行為を平気で出来てしまう人でもあり、相手よりも自分の欲求や都合を最優先にするので、今の自分の利益が行動原則になります。ルールを破って好き勝手しても平気でもある、そんな｢得手勝手｣についての解説となります。
得手勝手の意味
｢得手勝手｣の意味は以下の通りです。
・我儘。我儘放題。
・他人に構わずに自分の都合を優先する。
・何事も自分に都合良く解釈し行動する。
”得手”は｢巧みで得意｣｢体得した技｣｢最も得意｣、”勝手”は｢自分に都合良く｣｢具合の良し悪し｣｢都合や便利｣で、｢得意な事を都合良く｣といった意味でそこから上記の様な、自分の都合を最優先する我儘や自分勝手となります。｢得手勝手｣と我儘の違いは、我儘には贅沢という意味も込められているのに対し、｢得手勝手｣は自分の都合を優先という感じがあります。また｢我儘な娘｣とはなりますが、｢得手勝手な娘｣という形はありません。要するに、同じ我儘でもその性質には違いがあると理解できます。現代人は得てして、人付き合いが苦手だったりコミュニケーション不足とも言われ、本人としては普通でも、周囲からは｢得手勝手｣と烙印が押されている場合もあります。自らが｢得手勝手｣と自覚があれば良いのですが、最近は自覚なき我儘な人も増えて、例えば飲み会などは絶対に参加しないや、スマホばかりで常識や礼儀を知らないのも、ある種の｢得手勝手｣な人です。一般的な使い方としては、｢得手勝手な生き方｣｢得手勝手が過ぎる｣といった形が多くなります。
得手勝手の由来・出典
｢得手勝手｣の由来は、残念ながら不明です。文献としては、江戸時代の俳諧論書｢毛吹草追加｣(1647年)などに文言が記されています。
得手勝手の類義語・同義語
｢得手勝手｣の類義語には、｢我田引水｣｢自分勝手｣｢独断専行｣などが挙げられます。
得手勝手の使い方・例文
例文1.流石に海外を3年間も放浪していたら、両親や親せきから得手勝手な生き方が過ぎると注意されても仕方がないかと、久しぶりの我が家の玄関を前に立ち止まってそう思った。
例文2.得手勝手な性格なので俺も車の運転は向いていないと、某俳優のひき逃げ事件を見てそこだけは共感した。
例文3.コンビニのレジ打ちスタッフは、得手勝手なお客が多くて内心はらわたが煮えくり返っているだろう。
例文4.得手勝手が過ぎたと、妻が娘を連れて家を出てからやっと気付いたが、時すでに遅しだ。
例文5.スポーツ界で成功するには、得手勝手でエゴが強いぐらいでないと逆にダメなんだろうと、不倫や暴行に薬物など問題行動を起こす人があまりにも次から次へと出てくる事情からそう感じた。
様々な｢得手勝手｣な人達に対する例文となります。
得手勝手の会話例
夫が仕事から帰宅したら、妻が家事を何一つしておらず、さらに逆ギレするという会話です。
得手勝手の豆知識
｢得手勝手｣や｢我儘｣な人とは具体的には、自己主張が強い、相手に迷惑をかける、時間がルーズ、間違いを認めない、謝罪をしない、態度が横柄、ナルシストといった特徴がある人です。案外と世間にはこの様なタイプが多いので、実際はその度合いや複数当て嵌まるかで｢得手勝手｣か否かの判断となりそうです。｢得手勝手｣なタイプでも、どこか憎めずに許せるタイプも居れば、相手からとことん嫌われてしまう人もいます。｢得手勝手｣を自覚するなら、前者の他人から許してもらえる人徳を身に付け、程々の我儘に留めておくべきでしょう。
得手勝手の難易度
｢得手勝手｣は漢字検定6級から10級相当の文字組み合わせで、”得”は6級で小学校高学年レベル、”勝”は8級で小学校低学年レベル、”手”は10級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。
得手勝手のまとめ
｢得手勝手｣とは、他人はお構いなしで自分の都合を最優先させるという意味です。そんな人が｢得手勝手｣であり、我儘や我儘放題、自分勝手とも同義となります。より平たく言うなら、自己中･空気が読めない･マイペースな人で、それだけ他人よりも自分中心で第一なのでしょう。
