主客転倒(しゅかくてんとう)
「主客転倒」も日常では滅多に使いませんが、中々興味深い意味合いを持つ言葉なので覚えて損はありません。個人的には、昨今多い裏切りやどんでん返し系のドラマ等の作品が好みなら、そんな様を言い表している言葉とも言えるので気になる所ではないでしょうか? そんな「主客転倒」についての解説となります。
主客転倒の意味
「主客転倒」の意味は以下の通りです。
・主人と客の立場が逆転する。主な物事と従属的な物事が逆になる。
・主人と客の立場が逆転する事から転じて、物事の立場や順序が逆転する事で、大事にする事を疎かにして些末な事を重視するようになる。
・物事の優先順位や重要性が逆になり、些細な物と重大な物を履き違える。
「主客転倒」は文字通り、”主客”の「主人と客」を”転倒”の「逆さまにする」で、「主人と客が逆さになる」で「主人と客の立場が逆転する」となります。要するに、本来はお客こそ大事にするのを、主人を第一に大切に扱ってしまう失態です。そこから転じて、物事の立場や順序などを履き違えあべこべになるのが「主客転倒」となります。実際に使用する際には「主客転倒も甚だしい」「主客転倒する~」「主客転倒した~」といった感じで、本来は上の者がその状況では下になっている様を表現して用いられます。
主客転倒の由来・出典
「主客転倒」の由来は、残念ながら不明です。”主客”は中国が発祥でそこから派生したと推測できますが詳細は分かりません。文献としては、小説家・里見弴の「大道無門」に文言が記されています。
主客転倒の類義語・同義語
「主客転倒」の類義語には、「釈根灌枝」「舎本逐末」「本末転倒」などが挙げられます。
主客転倒の使い方・例文
例文1.父と兄は将棋になると親子といえども関係性が逆転する主客転倒となり、実力者の兄が手取り足取り指導する。。
例文2.近所の居酒屋はオーナーが飲みにくると店員はペコペコして過剰な接待となり、本来のお客を無視する主客転倒となって笑える。
例文3.コロナ渦によってこれまで高慢だった大企業も不景気を肌で感じ、主客転倒であったと再認識をするだろう。
例文4.再婚した妹は、新しい旦那に嫌われないように努力しているが肝心な子供の世話が行き届かなくなり、主客転倒して最終的にはどちらからもそっぽを向かれそうで心配だ。
例文5.我が社の会議は、お客よりも上司や社長に顔色を窺うもので完全に主客転倒となってしまい、それが業績悪化に反映されている。
「主客転倒」を親子の将棋や近所の居酒屋などに使った例文となります。
主客転倒の会話例
彼女の実家に行く事になり、職場の同僚女性に相談するという会話内容です。
主客転倒の豆知識
正直なところ、日本人には「主客転倒」はやや違和感があると思います。お客を大事にするのは理解できるが、同様に一家の長である主人も大事だからです。日本ならお客を家に招いても、上座に座るのは主人であり、下座に座るのが客となります。中国でこの様なマナーがあるか分かりませんが、日本人が思う以上に昔ながらの中国人はお客を大事にして持て成すそうです。料理は当然中華料理で、大皿料理がいくつも並びます。丸いテーブルは上座下座の概念が薄そうですが、主人以上に持て成す精神があるので、それを誤った際には「主客転倒」となるのでしょう。
主客転倒の難易度
「主客転倒」は漢字検定4級から8級相当の文字組み合わせで、”倒”は4級で中学レベル、残り三文字は8級で小学校中学年レベルの四字熟語となります。
主客転倒のまとめ
「主客転倒」は本来はお客が大事で持て成すのに、主人と客の立場が逆転して客よりも主人を尊重してしまう事です。そこから転じて、物事の重要度や順番などを履き違える際に使われます。要は、本来何を一番大事に扱うか理解できない喩えが「主客転倒」です。