【越犬吠雪(えっけんはいせつ)】の意味と例文と使い方

越犬吠雪(えっけんはいせつ)

牛や馬など動物に関係する四字熟語は大変多く、その中でも日本人に最も親しみがある犬についての言葉も当然ながらいくつもあります。その中の一つが「越犬吠雪」で、ここでは犬を過小評価している面は否めませんが、当時の時代背景を鑑みるとこの様な喩えも自然なのでしょう。それでは、解説になります。

越犬吠雪の意味

「越犬吠雪」の意味は以下の通りです。
・当たり前の事でも、無知な人は何かと疑いを持ってしまう。
・初めて見たものに過剰に反応したり警戒する。
・無知で知らない事が多いと、他愛無い物にも必要以上に警戒し恐れる事。
・諺「越犬雪に吠ゆ」も同義。
「無知は罪」的な解釈も可能な四字熟語が「越犬吠雪」です。無知で知らない事が多いと、他愛無い物や常識である事すら知らないので、過剰に反応したり警戒をする様を言い表しています。元々は中国の逸話からで、暖かい地方である南部・越で育つ犬達は、雪を初めて見ると警戒し吠えてしまうので、その様から中唐の文人・柳宗元が残した表現です。”越犬”は中国(春秋時代)の南部に住む民族や地方である「越で飼われる犬」、”吠雪”は「雪に吠えたてる」となります。現代流に解釈すると、恥ずかしい行動や言動をする大人に対して、「越犬吠雪」を使うのは最大級の侮辱に等しいほど馬鹿にした喩えです。

越犬吠雪の由来・出典

「越犬吠雪」の由来は、中国唐代の詩人・柳宗元による「答韋中立論師道書」となります。

越犬吠雪の類義語・同義語

「越犬吠雪」の類義語には、「蜀犬吠日」「呉牛喘月」などが挙げられます。

越犬吠雪の使い方・例文

例文1.コンビニやファミレスなどで店員に態度が悪く騒ぐ客を見ると、心の中で越犬吠雪な人と軽蔑してしまう。
例文2.成人式で暴れる若者は、世間から越犬吠雪と思われる事を理解していないのだろう。
例文3.経営者として成功している父が、「私にも世間知らずで越犬吠雪な過去があった」と吐露した。
例文4.若い時は多かれ少なかれ越犬吠雪となる事も仕方ないが、いい年の大人になっても威張り喚くようではどうしようもない。
例文5.越犬吠雪と他人から思われないように、新聞や本を読み見聞を少しでも高める努力をしている。
「越犬吠雪」を無知や常識知らずと解釈した例文となります。

越犬吠雪の会話例

男性
昨日、街を歩いていたら凄い人を発見したよ。
女性
どんな人ですか?
男性
歩きタバコと歩きスマホを同時にしているんだよね。もちろん、タバコを吸っているからコロナなのにマスクもしていない。
女性
今時そんな人がいるんですね。それでこっちが注意して逆ギレし騒がれたら、越犬吠雪そのものですね。

職場の男女が、街中で発見した常識知らずな人について会話をしています。

越犬吠雪の豆知識

犬に関係する四字熟語で「越犬吠雪」は比較的マイナーな扱いです。最も有名なのは「犬猿之仲」で、「犬馬之心」や「犬牙相制」なども知っている人が多いでしょう。現在の日本では愛犬家も多く、犬というとペットや番犬など家族の一部という扱いですが、古代中国では野良犬という扱いが一般的だったと四字熟語の意味からも理解できます。犬が吠えたり、牙でケンカをする、野良として好き勝手に生きる等の様子を漢詩や四字熟語としたのが多いのも、その為ではないでしょうか。

越犬吠雪の難易度

「越犬吠雪」は漢字検定準1級から10級相当の文字組み合わせで、”吠”は準1級で大学一般レベル、”越”は4級で中学レベル、残り二文字は小学校で習う四字熟語となります。

越犬吠雪のまとめ

「越犬吠雪」は、大多数にとっては常識な事でも無知な人は何かと疑いを持ったり、過剰に反応して騒いでしまうという意味があります。大昔の中国南部は雪が滅多に降らないので、そこで暮らす犬が雪を見ると警戒し吠えてしまうので、そこから誕生した四字熟語です。現代は、無知な人を蔑む際や自ら自嘲気味に用いるのが多いです。

越犬吠雪でこわごわした態度をとる
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